高知の宿 | あかり姫と坂本龍馬伝説

高知の宿


私は、気付いたら夕暮れの見知らぬ街を歩いていた。昨日までの自分がその通りを歩いているのが信じられない。

正しくは、競輪場を出て右手にまっすぐ。はりまや橋の手前の通りをまっすぐ歩いていた。


地図で見ると近く感じるが、実際に歩くとやたらと直線が長い。このまま行ったら、帰れなくなる気がする。でも、今は歩くしかない。ちなみに、後で分かることだが、これは遠回りの道だった。やはり旅行は下準備、下調べをきちんとしてから出かけるべきだと思う。


ようやく大きな通りに出て、右折してしばらく行くと、大きなスーパーがある。入ってみて驚いたのは、野菜の値段が安いことだ。東京ではこの季節、ホウレンソウなどの葉物は300円しているのに、高知では100~150円で買える。文旦なども安い。果物などで他県から仕入れているものの値段は変わらないが、ベーシックな生活費は高知の方が安く済む印象を受けた。私は安くなった文旦を一個100円で買った。


その通りを少し行くと、右手に小さな黄色い建物がある。そう、それが目当てのネット喫茶だった。その名は「D-pocket」という。


東京のネット喫茶に比べると、建物の外観はもの凄く頼りない感じがするが、なぜか駐車場には結構車が停まっている。もしかしたら意外に人気があるのかもしれない。そこで、システムを聞きに中に入る。12時間で2000円。座敷のボックスシートを一人で使ってもいいとのこと。部屋のカギはかからないし、引き戸だけど、何かをかければ見えなくなる。まあ、監視カメラが天井にあるのは若干気になるけれど、あまり見えない席を選べば問題はない。


こ、これなら泊まれる!と確信し、あっさり泊まることにした。せっかく高知に来たのだし、高知観光もしたいので、一晩かけてネットを調べることにしよう。


D-pocketは見かけに反して想像以上に良いところだった。ソフトクリームが食べ放題なのだ。チョコレート、キャラメル、ブルーベリー、ストロベリーの4種類のソースを自由にかけて食べられる。その隣には6番車と7番車の色のシャーベットがある。ドリンクバーの種類はネット喫茶としては豊富な方だ。味噌汁は常時飲み放題である。


実に素晴らしい!


ところで、今いる高知というところは、一体どんなとこなんだ?


高速バスのチケットボタンをクリックして高知にいるだけの私にとっては、それが最も重要なことなのだった。


つづく


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