仕事中に設けられた一時間休憩。

我がカット場から徒歩にして約50歩のところに食堂を兼ねた休憩室がある。

その50歩をどう歩くかがキーポイントだ。

普段何気なく歩く50歩にテーマを持たせる事により、より有意義な休憩が取れるし、休憩から帰る時もやる気が漲るに違いない。





まだ昇格して2ヶ月の新米機長が無事国際線のフライトを終え機内から降り立った。

その顔には無事フライト終えた安堵感からか俄かに笑みがこぼれている。

幾多のフライトを経験しているベテラン機長をもってしても、離着陸には緊張がはしると言われているこの世界。

さっきまで脈々と波打っていた鼓動は、一歩また一歩と歩みを進めるにつれて徐々に収まっていくのがわかった。

妙に軽い足取りは、数メートル先の休憩室に先月結婚したばかりの妻が待っているせいだろうか……。



なんて感じでいつも休憩室に向かいます。

※誤解が生じないよう念の為申しておきますが、私は機長でもないし、愛妻どころか女性の影すら見当たらないので悪しからず。


で休憩室からの帰りは、






『先生、急患です。』



和やかだった休憩室にピンと緊張の糸が張りつめる。

『で、クランケの様態は。』

1時間前にオペを終えたばかりの新人医師の表情が一瞬にして引き締まった。

素早くゴム手袋をし、颯爽と手術室に向かう後ろ姿は、妙に頼もしかった……。



なんて感じでいつもカット場に帰ります。

※くれぐれも誤解が生じないよう念の為申しておきますが、私はどこにでもいるコロッケを切るだけのフリーターです。
看護婦さんといい仲になったりとかって艶っぽい話しは生涯体験した事は御座いません。



追伸…

今度コンパに行こうと密かに企んでおります。