2023/09/08

【あき恵ちゃん祭りvol.2 最後のルッキズム!】

 

 

 

[はじめに]

こんばんは。こんにちは。

気まぐれレポートの回です。

早速、公演をざっくりと振り返っていきます。

 

 


 

[概要]

6年半ぶりの開催で、

前回同様、新喜劇とショーの二部構成。

 

 

「この先ますます容姿弄りがし辛くなって、

座員たちが肩身の狭い思いをするかもしれない。

でもね。

私は容姿弄りでお客さんが少しでも笑ってくれるならそれでいいと思っている。

私はブサイク役に誇りを持っている。

これからも新喜劇のために覚悟を持ってブサイク役を続けていく。

たとえ私が『最後のルッキズム』になったとしても、闘い続けるわ」

 

浅香あき恵さんの終盤の台詞に集約される新喜劇でした。

 

 

[上演時間]

第一部:新喜劇…85分

(休憩…10分)

第二部:ショー…40分

エンディング…15分

計150分
 

 

[その他画像]

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↑来場者にプレゼントされた大分県産のかぼす

(私事で心底どうでもいい話ですが、かぼすカルピスにして美味しくいただきました)

 

 

 


 

[第一部:新喜劇]

物語

 

容姿弄りが許されない時代が訪れ、新喜劇出番もTV出演も全て失った、

吉本新喜劇座員・浅香あき恵。

 

「あの時、マドンナ役から弄られ役に転向しなければ、ずっと輝き続けられたのに」

あき恵は後悔の念に駆られる。

 

その矢先、あき恵は感電事故で40年前にタイムスリップ、

マドンナ役から弄られ役への転向を考え始めた若き自分(金原さん)の姿を目にする。

 

あき恵は身を明かさず、昔の自分と接触。

マドンナ役を続けるよう促し過去を変えるつもりが、

次第に若き日の前向きな姿に感化され、弄られ役の誇りを取り戻す。

 

再び感電し、無事に2023年現在へ戻ることができた、あき恵。

過去に干渉したことで現在に変化が見られ、容姿弄りが批判されない世の中になっていた。

あき恵にも仕事の依頼が引っ切り無しに舞い込み、芸能活動は順風満帆のようだ。

 

だが、好ましくない変化も…

 

小学生の可愛らしい娘ちっち(川筋ライラさん)の見た目が

高齢者(若井みどりさん)のようになってしまった。

若井「ママ~!照れ

 

浅香「右上矢印いやーーーああっ!!ガーン」(⇐お昼休みのサイレン) 笑い泣き笑い泣き

 

羞恥心を捨て、腹の底から力一杯張り上げる、

名弄られ役・浅香あき恵の魂の叫びがこだました。

 

 

 

 

構成

 

大まかには四章構成

 

あき恵さんの容姿弄りを主軸とする、シンプルな新喜劇 (25分)

 

 展開

・屋台の大将(内場勝則さん)に惚れる新人アルバイトあき恵(あき恵さん)

・ヤクザが大将にショバ代を要求

・あき恵が凄んでヤクザを追い払う

・大将はあき恵に感謝するも恋愛関係は断固拒否する大オチ

 

 見どころ

・内場さんが回し

・あき恵さんの容姿弄りオンパレード

・他出演座員さんは定番ネタ

・何かと調子の悪い森田まりこ清水啓之夫妻

 ⇒二人に頭部を弄られる側の一の介さんが「もっと自信持って言え!(苦笑)」 笑い泣き

・鮫島さんの「可愛いやなんて嫌やわあ」を喰らう、ベテラン烏川さん

 ⇒烏川「久々で新鮮やった!、何年振り!?(半笑)」

 

①は実際は吉田裕座長週のNGK舞台稽古。その稽古後の座員団らん (20分)

 

 展開

・TV局の意向で弄られ役座員『浅香あき恵』の出演見合わせが告げられる

・仕事を失い、弄られ役に転向した過去の選択を悔いる、座員のあき恵

・感電事故で(裕座長とともに)40年前にタイムスリップ

 

 見どころ

・②以降、吉本新喜劇座長=本人役で出演する吉田裕さんが回し

・内場夫妻ネタ⇒妻が遠征仕事中で呑み歩けると大はしゃぎのところに妻が現れ…

 

1983年編 (35分)

 

 展開

・1983年時のNGK稽古前

・自身の過去の選択を止め未来を変えたい、あき恵

・若い頃の自分に感化され、弄られ役を続ける覚悟を決める

・2023年に再度タイムスリップ

 

 見どころ

・40年前の未知やすえさん役は酒井藍ちゃん 笑い泣き

 ⇒酒井「ぶーぶー、ぶーぶーぶー、ぶーぶー、ぶー…。私、やすえですねん!」

 ⇒その様子をあき恵が遠巻きにして見ながら、

  浅香「キョロキョロ?、あんなにぽっちゃりしていたかしら…?」 笑い泣き

 

・演出家すち子と演出助手千葉(千葉公平さん)によるデタラメギャグ指導

 ⇒やすえ(藍ちゃん)に「ダメよ、ダメよ、ダメなのよ~」を授けようとする

  酒井「…、それはしたくないショボーン右下矢印」 笑い泣き

  一介「なんでや!(苦笑)アセアセ」 笑い泣き

 

・演出家と演出助手、上下関係にある二人の緩い笑い

 すち「(ギャグ指導は)一旦、休憩にしましょうニヤリ
 千葉「では…一旦休憩ということでニコニコ
 すち「なら…一旦休憩にします」 笑い泣き
 千葉「一旦……休憩ということで」 笑い泣き
 すち「…、一旦…にします」 笑い泣き
 千葉「一旦…ということで」
 すち「事の発端は…」 笑い泣き
 すち子が韻を踏むと藍ちゃんも加わり、
 酒井「ノンタンの発端は…」 笑い泣き
 千葉「では、ノンタンを観ながら一旦休憩ということで」

 緩々の楽しい掛け合いでしたが、

 脱線が過ぎたか、この日の客席の反応は次第に怪しくなり…

 そのことに演者が気付かないわけもなく、千葉さんがすっちーさんに
 千葉「あの、これはいつまで続けるんでしょうか?(苦笑)」 笑い泣き笑い泣き
 すち「止め時ですニヤリ」 笑い泣き

 

再び現在編 (5分)

 

 展開

・過去干渉による現在の変化→容姿弄りが問題視されない風潮になった

・小学生の娘の見た目が高齢者風に変わる大オチ

 

 

 


 

[第二部:ショー『あき恵ナイトフィーバー』]



MCはタキシード姿の千葉公平さん

 

⒈

あき恵さんの歌唱

曲『うっせえわ』 ←選曲!笑い泣き

 

ノリノリで歌い終わり、決めポーズで大の字を作り天井を見上げる。 笑い泣き

 

頃合いを見てMC千葉さんが登場すると、あき恵さんが千葉さんに確認。

浅香「ちょっと(私の歌唱が)速かった?キョロキョロアセアセ

浅香「…、歌っているうちに『なんか違う』って思っちゃってタラー」 笑い泣き

千葉「僕もこんなの歌えませんから」

歌唱に自信の無いあき恵さんを千葉さんがフォロー。

 

(『♪うっせえ、うっせえ、うっせえわ』の前の)

千葉「『はーっ』の部分が恐竜(の咆哮)みたいだった。(苦笑)」 笑い泣き

 

 

べたーず (佐藤武志さん・森田展義さん)

 

漫才『アウトorセーフ』

 

佐藤さんの考えがアウトかセーフか、森田さんが判定。

終盤は妻としてのあき恵さんを扱き下ろす内容。

 

佐藤「嫁(=あき恵)の裸、見たいやろ?ウインク

森田「誰がババアの裸見たいねん!(半笑)」 笑い泣き

佐藤「失礼なこと言うな! 新喜劇のヒロインやったんやぞ!?(半笑)」

森田「あんなもん、ヒロインやなくてヒドイン(=酷いん)や!(半笑)」 笑い泣き

といった具合。

 

コンビ結成当初の付け焼刃感は全く見られず、相当盛り上がりました。

 

一通り漫才が終わったところであき恵さん怒りながら現れプンプン

浅香「帰ったら家族会議よえー」 笑い泣き笑い泣き

佐藤・森田「…!!(苦笑)アセアセ

 

浅香「(舞台袖に)早よ行けーーっ!!ムキー

あき恵さんの怒号にそそくさと退散する二人。 笑い泣き

 

千葉さんがあき恵さんに尋ねる。

千葉「漫才をする旦那さんはどうでしたか?ニコニコ

すると、先ほどまで夫を罵倒していたあき恵さんが標準語の甘え声で

浅香「…、かっこいいおねがいラブラブ」 笑い泣き

 

千葉「なんだかんだ言って、旦那さんのことが好きなんですねニコニコ」 照れ

 

 

市川由紀乃さんの歌唱

 

第二部の目玉

 

余談:開場前の出来事

 

2階ロビーでお祝いの花を撮影していると、一人の客に写真撮影を頼まれまして。

『詳細な構図込みで2枚(=2パターン)』の注文に熱意と面白みを感じ、

私も開演時刻まで特別予定がなかったので、

「折角なら、(あなたが)納得いくまで撮影しますよ?ウインク」と何種類も撮ったんです。

それがキッカケで色々話してくださって。

 

関東から来ていて、北海道公演まで観に行くほどの由紀乃さんファンだ、と。

由紀乃さんキッカケで吉本新喜劇を観るようになり、

歌舞伎座公演や『ぐれいてすと な 笑まん』も観覧した、と。

笑まんで購入したBIGうちわ(川畑さん・吉田裕さんのもの)も応援用に持参した、と。

 

由紀乃さんのことをと表現されていました。

 

私は由紀乃さんを生で観るのはこの日が初で、

由紀乃さんファンのかたと楽しい時間を過ごせたおかげで俄然興味が湧きました。

 

一曲目:『花わずらい』

 

話を公演に戻しまして。

 

「由紀乃ー!おねがい爆  笑キラキラ」「待ってました!」等、ファンの声が飛び交うなか登場。

 

いざ歌唱する姿を見ると滅茶苦茶かっこいいですね。

それも、清らかな格好良さ。

私の専門分野、ロックスターのハチャメチャなかっこよさとはまるで違いました。

 

二曲目:川畑泰史さんとのデュエット曲『運命と呼ばせて』

 

先ずは由紀乃さん一人が舞台に立つ状況で演奏開始。

由紀乃さんの女性パート歌唱後、

男性歌唱パートで川畑さんの登場に皆が注目する中、

舞台袖からマイク片手に堂々と現れたのはなんと烏川耕一さんニヤリ。 笑い泣き笑い泣き笑い泣き

烏川「♪今夜出会った~ 大阪の街で~~ニヤリ」 笑い泣き笑い泣き

 

烏川さんと由紀乃さんは見つめ合いながら歌詞の続きを一緒に唄う。 笑い泣き

烏川ニヤリ・市川照れ「♪通りすがりに指が~ ちょっと触れて絡んで~」

心地良さそうに歌う烏川さん。歌唱力は川畑さんには及ばずとも十分上手。

 

まるで由紀乃さんの恋人かのような貫禄のある振る舞いが大爆笑を誘いました。

烏川さんの登場シーンは今公演で最も盛り上がった瞬間かもしれませんね。

 

程なくして川畑さんが舞台袖から現れて曲を止めに入り、烏川さんに対し、

川畑「よう歌えたな!(苦笑)」 笑い泣き

 

(もちろん実際は段取り通りですが、)

烏川さんに悪びれる様子はなく、

烏川「プロの歌手と目を合わせられるから気持ちいいニコニコ」 爆  笑

 

退場時には恋人に優しく語りかけるように由紀乃さんに対し、

烏川「また今度ねウインク」 笑い泣き笑い泣き

市川「…照れ

 

烏川さんが退場。

仕切り直しで由紀乃さん・川畑さんの見事なデュエットが披露されました。

 

 

市川由紀乃さんコーナーの後は、

・必殺仕事人パロディ ⇒ あき恵さんは鮎川いずみさんポジで、鼻脂の使い手 笑い泣き

・池乃めだかさんの歌唱:五木ひろしさんの曲『契り』

・vol.1で披露されたミュージカル『アナと雪の女王』パロディの完全版

と、前回の構成が踏襲されていました。

 

 

 


 

[エンディング]

熱心なファンが舞台前まで行き、あき恵さんに花束を渡していました。

 

なかには祝儀袋を渡すファンも。

千葉さんが封筒を確認し、

千葉「絵ハガキですニコニコ」←祝儀袋です 爆  笑

 

あき恵さんが祝儀袋を落とすと末成映薫さんが拾い、

早足で舞台袖へと逃亡を計る。 笑い泣き笑い泣き

 

しかし、千葉さんが見逃さず、

末成さんの首根っこを掴んで元いた位置に連れ戻しながら、

千葉「ネコババするとはふてえ野郎だ!プンプン」 笑い泣き笑い泣き

末成「アハハッ右上矢印口笛爆笑

と無邪気に笑う末成さん。 笑い泣き

 

 

もう一人、花束を手にし猪突猛進気味に客席から舞台前へと近づく男性客が…

それは石田靖さん。 爆  笑

 

そのまま舞台に上がるとあき恵さんの頭を花束で叩き、

あき恵さんを倒すと股間に頭突きを喰らわせ、

ジャイアントスイングに。

観客と一緒に20カウント(=20回転)し、賑やかな場面になりました。

 

 

最後はあき恵さんによる歌唱『ポジティブシンキング』。

 

あき恵さんが歌い終えると、

前説時に千葉さんと観客が示し合わせた通り、観客・演者全員であき恵さんに対し、

千葉「せーのっ!ウインク、」

全員「ブッサイクやなーーっ!!爆  笑

 

浅香「オーマイガーッ!ガーン」 笑い泣き笑い泣き

 

 

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[閉幕後]

曲『ポジティブシンキング』が流れ出し、

暫くして、あき恵さんによる場内音声が聞こえてきました。

 

浅香『ご来場いただいたかた、本当に感謝ですニコニコ

浅香『愛してるるるるるーんニコニコラブラブ

 

 

 


 

[雑感]

新喜劇について

 

半年前のブログタイトル「『RRR』と『エブエブ』に見る多様一様」で、

早着替えで並行世界の様々な役を演じ、功夫・鼻脂拳で闘う『エブエブ』パロディ、

『エブリ新喜劇・エブリウェあき恵・オール・アット・ワンス』を期待!

と触れました。

 

「あの時、違う道を選んでいれば幸せになれたのに…」

エブエブは並行世界体験を通じて現在の自分を肯定する物語でしたが、

今回は過去に行くことで現在の自分を肯定する物語になっていました。

当たらずしも遠からずな内容で、大満足な新喜劇になりました。

 

補足 

鼻脂拳の方も第二部の『必殺仕事人パロディ』で鼻脂の使い手として見られました。

ミシェル・ヨーではなく鮎川いずみさんでしたね。

見た目もキャラクターも加代に似ていたと思います。

 

 

 

ルッキズム=外見至上主義について

 

浅香あき恵さんの容姿弄りを不快に感じたことが一度もありません。

その理由は何か、私の中では前々から結論が出ています。

 

 

容姿弄りが笑えるケース

 

・あくまで舞台上の出来事であること

・弄る側の言葉選びが適切かつ適量であること

これらの要件は当然のこととして、

弄られる側の要件で以下の2点を考えています。

 

① 美男美女に対するもの

 

美男美女への一方的な容姿弄りとしては、

例えば、井上安世さんのキン肉マン弄りや信濃岳夫さんの腐った小泉議員弄り。

 

美男美女が自ら崩して弄られに行くパターンなら、

例えば、金原早苗さんや佐藤太一郎さん。

 

素が美男美女と分かっているから、

つまり容姿弄りは真っ赤な嘘で本心とは異なるから、見ていて心が痛まないんです。

 

観客から芸人としてリスペクトされるだけの力量がある人に対するもの

 

例えば、烏川さんのひょっとこ弄りや松浦真也さんの頭部弄り。

容姿弄りのいやらしさを完全に打ち消すほどの芸人力に笑わせられている

といったところでしょうか。

 

こちらのケースでは、容姿弄りは挨拶がわりのジャブに過ぎませんね。

 

 

浅香あき恵さんの場合

 

美人かつ芸人としてリスペクトされるだけの力量がある、

上述した①②両方を満たしているんですよね。

 

最強です。

 

 

容姿弄りの難しさ

 

一方、①②の要件のいずれかが少しでも崩れるとあまり面白いものにならず、

自分の武器を探す座員さんが苦し紛れで手を出しても火傷するだけに思えたりします。

 

 

お笑いにおけるルッキズムとは?

 

いろいろ書き進めるうち、ルッキズムというものが分からなくなりまして…

 

美男美女に対する容姿弄りは真っ赤な嘘だから心置き無く笑える。

美男美女以外への容姿弄りは(芸人リスペクトが不十分な場合、)大して笑えない。

 

これは座員さん側に立場を変えればお笑いの外見至上主義と捉えることもでき、

そうなると観客の私の中にもルッキズム的思考が潜んでいるのかもしれません。

 

ルッキズムも難しいですね。

 

 

そもそも、容姿弄りは吉本新喜劇に必要不可欠な要素なのか?

 

劇終盤のあき恵さんの台詞「新喜劇のために覚悟を持ってブサイク役を続ける」。

今回の最大の主張でしたが、思いに少し温度差を感じる場面でもありました。

 

いちファンとしては吉本新喜劇全体の容姿弄り文化をさほど重要視してなくて…

容姿弄りがあるならあるで楽しみます、

無いなら無いでも何ら変わらず楽しめます、

そんなぬるめの温度感なのです。正直なところ。

容姿弄り以外の要素に吉本新喜劇の魅力を感じることが多いのは私だけでしょうか?

 

一方、あき恵さん個人については弄られる様子が凄く楽しいので見続けたいです。

新喜劇に容姿弄りを渇望しているわけではなくて、あき恵さんだから見たい、と。

ですので、新喜劇のためよりもご自身のために続けていただきたい、と思いました。

 

 

vol.3も楽しみにしています。

必ず観に行きます。

 

 

 

2023/09/08

【あき恵ちゃん祭り vol.2 最後のルッキズム!】 完