前半ブロックの続き
⒍
吉岡友見さん
コント『42歳独身女性のバカンス』
⑴
ネタ
①
ノースリーブのバカンス風の格好をしている、友見。
友見「ボンボヤージュ!」
どこか(=客席)に向けて、楽しげに声を上げる。
②
ここで、事前収録された友見の声が流れる。
友見『私の名前は吉岡友見』
友見『42才独身』
友見『今期逃しまくりマクリスティー』
と、ナレーションにも年齢を感じさせるダジャレが入る。
友見『だけど、寂しくないわ』
友見『今こうして、優雅な船旅をしている』
クルーズ客船の手すりから海に向かって声を出していたようだ。
③
次の瞬間友見が甲板に座り込み、子どもが駄々をこねる(生の)
友見「ほんまはさーびーしーいーっ!」
友見「早く彼氏ほーしーいーっ!」
友見「誰よ!、世界一周の船旅をしたら、」
友見「その言葉を信じて30才から船旅を始めて、もう12年よ!
友見「他の乗客は飲み会したり、老夫婦で集まったりしてる」
友見「私は一人でやることないから、ヨガの体験をしてる!」
友見「2年前には教える側に回りました!」
④
友見「オエッ」
友見「船酔いするから、ほんとは乗りたくないのよ!」
友見「3ヶ月で酔い止め50箱って!」
⑤
友見「誰か声を掛けてくれよ!」
その時、誰かが声を掛けてきて、友見の表情が柔らかくなり、
女性らしく七色の声を使い分け、異性に対する声に変わり、
友見「えっ? プールですか?」
友見「そこを真っ直ぐ行って、階段を降りた先です」
友見「でも、こっちの扉から行った方が近道なんです」
好みの男性なのだろう。
可愛らしく自分をアピールする、友見。
友見「えっ?、隣は彼女?」
友見は地声に戻り、
友見「あっ、はい。じゃ(=さっさとあっち行け)」
カップルが去った後、
友見「ふざけんなっ!」
友見「自分で調べろよ!」
ふと自分を客観視し、
友見「船旅しすぎて船の構造に詳しくなった自分が恐ろしいわ」
⑥
友見「だめだめ、気持ちを落ち着けないと」
年齢相応に?謎かけを始める、友見。
友見「船旅とかけて、私の12年と解く」
友見「その心は、どちらも『こうかい(=航海・後悔)』
終
⑵
審査員寸評
久馬「僕、コントが好きなんで、コントに目が行きました」
久馬「女性陣がいいですね。吉岡友見さん」
ゴエ「これはシリーズ化ですかね?」
ゴエ「(6月公演で)僕が審査した時もありました」
⑶
感想
6月公演の『42歳独身会社員』と同じ世界観ですね。
設定が会社か船上かの違いでした。
会社員編も凄く面白く、6月公演の個人的一位でした。
後日レポートできればと思います。
吉岡「♪負けないで もーうー少し~…」
⒎
松浦景子さん
コント『出勤?』
⑴
ネタ
①
普段着に派手なバレエ風メイクをし、
夫に対し、
景子「行ってくるわね」
景子「晩御飯は冷蔵庫に入れてるから」
景子「えっ?、『どこに行く?』ってパートよ」
景子「もしかして疑ってるの!?、浮気してると」
景子「『そんな顔で浮気できるわけない』?」
景子「どう言う意味? 太った?」
景子「『違う』? 『メイク』?」
景子「私、そんなにメイクしてるかしら?」
景子「ほら、私、スーパーのお惣菜コーナーでゲソ揚げてるから」
景子「透明の扉あって、お客さんに見られるでしょ?」
景子「普通のメイクだと、油で落ちるから」
②
景子「じゃあ、行って来るわね」
景子「えっ?、『バレエ』?」
景子「そんな、私がバレエ習ってるわけないじゃない」
景子「バレエ教室で習うのに、幾ら掛かると思ってるの?」
景子「入会金が6千円で月謝が16,300円」
景子「発表会をしたら、先生のお花代で15万くらい掛かるのよ?」
バレエ絡みのお金に異常に詳しい、景子。
景子「私がバレエしてるわけないじゃない」
景子「スーパーのパートの時給は340円なのよ?」
景子「労働基準法ギリギリでヒーヒー言いながら働いてる」
アルバイトの時給については相当疎い、景子。
③
景子「やばい! 10時までに会場入りしないと怒られる!、先生に」
景子「違う!、店長に」
ここで『ドカーン!』と2分半経過を知らせる爆発音がし、
同時に赤い照明に変わり、強制終了。
景子「あーっ!(苦笑)」
⑵
感想
人間ごっこらぼ同様、「バレエ教室に行こうとしている」答えが早々に示され、
どこをゴールにするか着目しながら観ていました。
⒏
清ちゃん・音ちゃん (清水啓之・音羽一憲)
コント『ドラマ撮影』
⑴
ネタ
①
下手袖から監督・清水(清水啓之さん)の声が響く。
清水『シーン30。スタート!』
舞台中心に立つ役者・音羽(さん)の演技。
音羽「犯人は分かった!」
上手側前方を指差しながら、
音羽「犯人は…鈴木さん!、あんただ!」
清水「カット!」
清水がメガホンを持ち、険しい表情で現れる。
(一瞬、素の顔で客席を見る芸人・清水啓之の癖を出しながら
)
音羽が清水に対し、
音羽「演技が臭かったですか?、犯人の名前呼ぶところ」
清水「?、台詞が全部ちゃうねん!」
清水「お前の台詞は『あー、腹減ったな』や!」
清水「台詞、言うてみい」
音羽が主役風に
音羽「ここに集まっていただいたのは…」
清水「『あー、腹減ったな』や!
」
清水「ちゃんとやってくれ!」
②
清水が上手袖に消え、撮影再開。
清水『シーン30。スタート!』
音羽「ここに集まっていただいたのは…」
即、清水が現れ、
清水「おーい!!」
清水「気ー狂うてんのか!」
清水が台本を指差しながら、
清水「台本、見ろ!」
音羽は頭を指でトントンとしながら、
音羽「台詞ならここ(=脳)に入ってますから」
清水「ここ(=台本)見ろ!」
③
音羽の台詞を清水が指導することになる。
清水「あー、腹減ったな」
音羽は抑揚無く、ロボットのように
音羽「あー腹減ったな」
清水「下手くそすぎるやろ!」
音羽は端役では気持ちが入らないよう。
清水「もう一回!」
清水「あー、腹減ったな」
清水の手本の後、音羽が気持ちを入れて、
音羽「お前が高校を卒業してから…」
清水「新しいの出てきた!」
④
清水「帰れ!、クビや!」
音羽「えー、昼の弁当食べられないんですか?」
清水「当たり前や!、帰れ!」
音羽「分かりましたよ」
音羽がとぼとぼと(下手側に)去っていく。
音羽「朝も食べてないのに…(トホホ)」
音羽はしみじみと
音羽「ああ、腹減ったなぁ〜」
清水「それーっ!!」
終
⑵
審査員寸評
久馬「8組目はまさかのサプライズでした」
久馬「川畑座長が出るとは」
と、
ゴエ「川畑座長は出ておりません」
久馬「えっ?、『川ちゃん・音ちゃん』ですよね?」
ゴエ「清ちゃん・音ちゃんです」
⑶
感想
普段いじられることが多い清水啓之さんですが、実は回しも巧み。
笑いも演技もできて、器用な座員さんですよね。
マキザッパで体の各箇所を叩かれ『イターイ』を間違えるネタも
実際は計算尽くではないでしょうか?
⒐
岩崎タツキさん
漫談『実家の家業』
実家がお寺で、
岩崎「だから、僕、女性にもてるんです」
岩崎「、68歳と72歳の女性に」
岩崎「『私が死んだ時はあなたに頼むわね』って」
…といった内容。
⒑
ベターズ (森田展義・佐藤武志)
漫才『親族間のセクハラ』
⑴
ネタ
①
佐藤さんが下手側、森田さんが上手側に立ち、スタート。
森田「若手の劇場や言うてるのに、すんませんね」
森田「、ベテランが老人連れてきて」
②
ここから本題へ。
夫婦や親族間のセクハラについて話し合う。
佐藤「嫁はんの妹の風呂を覗くのは?」
森田「そんなもん、アウトに決まっとる!」
佐藤「妹の娘の風呂を覗くのは?」
森田「アウトや!(苦笑)」
佐藤「娘、赤ちゃんなんやけど」
森田「ほな、セーフやないか!(苦笑) 見守っとらな危ない」
佐藤「嫁はんのお父さんの風呂を覗くのは?」
森田「一緒に入れ!(苦笑)」
佐藤さんが股間辺りに手を持っていき、観客に股間のあれこれを意識させ、
佐藤「お父さん、手術して、全部取ってしまったんで…」
森田「アウトや!(苦笑)」
佐藤「顎のイボを」
森田「ほな、セーフやないか!(苦笑)」
要はミルクボーイの手法が下地にある、ミルクボーイ風漫才。
③
中盤はドタバタで、佐藤さんのWヤング色強め。
佐藤さん起点で嫁の服を脱がす脱がさないの話に。
佐藤さんが急に客席に向けて、
佐藤「アホーッ!」
と言い出したり、緩めのコーナーになる。
④
終盤は再びアウト・セーフの話で締める。
佐藤「ウクライナに侵攻したのは、ロシア『セーフ』(=政府)」
森田「もうええわ!」
と同時に2分30秒経過の爆発音がし、終了。
⑵
審査員寸評
①
矢野「まる兄(=佐藤さん)、最高!」
漫才師視点では、
矢野「ただ、時間配分がちょっと上手くいってなかったかな?」
矢野「最後の方慌ててた」
ゴエ「ずっと漫才をしてきた大ベテランに言いますか?(苦笑)」
コント師視点では、
久馬「僕は逆に爆発音にオチを合わせたのかと思って、お見事と」
ゴエ「戦争の爆発音ではございません」
久馬「オチに合わせてSEを流したのかな、と。()」
②
矢野「まる兄が嫁の服を脱がすとこなんですけど、」
矢野「ほんまの嫁さん(=浅香あき恵さん)の裸が浮かんでしゃなあい」
矢野「吐きそうになりました!」
矢野「仲良いんで言いますけど」
⑶
感想
①
4月公演でも披露された、ミルクボーイ風漫才。
ミルクボーイの場合は
内海「コーンフレークやないか!」
内海「ほな、コーンフレークと違うか…」
と、駒場さんの話す『何か』がコーンフレークかどうか、内海さんが判定。
ベターズの場合は
森田「アウトや!(苦笑)」
森田「ほな、セーフやないか!(苦笑)」
と、佐藤さんの話す『行為』が問題無いかどうか、森田さんが判定。
このアウト・セーフ部分を今回のテーマ『セクハラ』に変えると
森田「セクハラや!(苦笑)」
森田「ほな、セクハラちゃうやないか!(苦笑)」
ミルクボーイさんのネタは対象物が変わるだけで新ネタになる発明ですね。
個性で勝負するプロに模倣されるということは、それだけ手法が秀逸である証で、
いずれは漫才の教科書レベルになるのかもしれませんね。
②
佐藤さんの大オチについて
言葉遊びの好きな森田さんが考えたのでしょうか?
森田さんは際どい話題に好んで飛びつく印象もありますし。
一方、佐藤武志さんも政治ネタが好きで、
あき恵さんの周年イベントでは妻を時の権力者夫人に身立て、痛烈批判したほど
お二人の性格・好みが上手くマッチしたオチと言えますよね。
[審査員トーク]
⒈
寛平「みんな頑張ってます」
ゴエ「女性陣は芸達者ですね」
ネタバトル公演の審査員評価は毎回、女性座員さんが高め。
矢野「演技が出来てるし、2分の中に物語があるんで、
⒉
ゴエ「後半ブロックではまた祐代君が登場します」
矢野「えー!?」
ゴエ「『えー!?』って何ですか?」
久馬「同じネタですか?」
ゴエ「パターンは変わってますので、ご心配無く」
その4に続く