⒒
⑴
花月うどん店の大将で展代の夫・直之
クリーニング店の蒲島・まみ夫妻、息子の亜由貴
直之と展代の息子ヒロシに成り済ましている、詐欺師の新名
下手寄りに、借金取り役に扮した詐欺師・健太
6名。
展代が奥に権利書を取りに向かったところで、
本物のヒロシと赤ちゃんを連れたヒロシの妻・英子(服部ひで子)
二人は店の前で立ち止まり。
英子「あなた、なに冗談言ってるの?」
ヒロ「ここにおったらハゲるから!」
英子「なら、いいじゃない。散髪代も浮くし」
英子「幽霊かどうか、ちゃんと確認しましょ?」
英子はヒロシと違って能天気な性格のよう。
英子「さあ、ハゲッツゴー!」
ヒロ「レッツゴーや!」
二人が入店する。
展代が権利書を持ち、奥から戻ってくる。
※
補足
赤ちゃんはこの後かなり粗雑に扱われることになりますが、
⑵
英子「ヒロシさんのお母さんとお父さんは…?」
蒲島たちが展代と直之であることを教える。
英子が展代と直之の前に行き、
英子「失礼します」
展代・直之「…?」
英子が展代の肩を触る。
幽霊にしてはしっかりした感触があり、
英子「あれ?」
(ヒロシ→英子→←直之、の立ち位置で)
英子が直之の乳首を4回触り、
直之がピュッピュルッピュドンを決める。
ドンを言い終わるかどうかのタイミングで、
英子「幽霊じゃないわ」
直之「(ギャグを)無視すな!」
英子は直之に構わず、ヒロシに対し、
英子「幽霊がこんなしょうもないギャグするわけない」
直之「おいっ!」
⑶
ヒロシが恐る恐る展代に近づき、展代の『胸』
ヒロシの子どもの頃の癖なのだろうか?
展代はヒロシに胸を触られるたび直之の『ピュッ』に似せた言い方で、
展代「ギュッ、ギュッ、ギュッ、ギュッ」
ピュッピュルッピュッドン!の言い方で、
展代「ギュッギュギュッギュ ギュッギュギュッギュ ギュッギュギュッギュ、」
ドンは言わず、ドンのタイミングでヒロシの頭をバン!
ヒロ「痛ーっ!」
本当に痛そうな、ヒロシ。
展代の方も叩いた手を押さえながら、
展代「私の手も痛かった!(苦笑)」
展代「何、触ってんねん!」
⑷
ヒロ「オカン、生きてた!?」
展代「あんた、誰ですの!?」
ヒロ「一人息子のヒロシや!」
展代「何言うてんの? ヒロシはこっち(=新名)」
ヒロ「その人は霊媒師でしょ?」
展代「ヒロシがこんな禿げてるわけない」
直之「そうや、ヒロシは禿げてないぞ」
カバ「こんなクソハゲに子供がいるわけがない」
まみ「…、ハゲッ!!」
ヒロ「シンプル!」
⑸
『オギャー』
英子が横抱きしている(おくるみの)赤ちゃんが泣き始める。
英子「泣き止まない。あなた、抱いて?」
英子がヒロシに赤ちゃんを渡し、
ヒロシはなぜか健太に赤ちゃんを渡す。
健太「ミルクですよー」
健太が赤ちゃんを胸毛だらけの胸に押しつける。
『オギャー』
健太が新名に赤ちゃんを渡し、新名が横抱きすると、
『キャハハハ』
赤ちゃんが笑い出す。
新名の隣に立っていた英子が新名に寄り添い、
英子「さすが、あなたね」
ヒロ「(旦那のヒロシは)俺や!」
ヒロ「英子はいつも間違える!」
⑹
展代が本物のヒロシに対し、
展代「さては身内に成りすまし、金品を騙し取る詐欺師ね!」
展代「あんた、警察に電話して!」
健太「警察はだめ!」
しかし、直之は警察に連絡してしまった。
⒓
⑴
花月うどん店の展代・直之夫妻
クリーニング店の蒲島・まみ夫妻、息子の亜由貴
直之と展代の息子ヒロシに成り済ましている、詐欺師の新名
借金取り役に扮した詐欺師・健太
本物のヒロシ夫妻(と、おくるみ赤ちゃん)
10名。
直之からの連絡を受け、早速、警察官の泰秀とほたるが現れる。
親泊「詐欺師を逮捕しにきました!」
新名と健太が観念した表情をするが、泰秀は亜由貴に対し、
親泊「逮捕する!」
全員「えっ?」
カバ「どうしてうちの亜由貴を逮捕するんですか?」
親泊「この男は息子さんではありません。亀井ススムです」
ほたるが手配書を広げると亜由貴の顔が現れる。
亀井は亜由貴に成り済まし、
※
注記
亜由貴は偽者で、詐欺師・亀井ススムと判明したため、
以後、偽亜由貴については亀井と表記とします。
⑵
亀井「バレたらしゃあないな!」
亀井が展代を人質にし、上手端に移動。
他の全員が入り口付近に移動し、対峙する。
ここで、亀井にアクシデント発生。
台本上はテーブルに置かれた包丁を手にして脅すはずが、
包丁が見当たらない。
展代も慌て、
亀井は普通にハタキを持ち、
亀井「このババアを殺されたくなかったら、
展代「怖い、(ハタキについた)ハウスダストが…」
展代に急遽アレルギー持ちの設定が加わる。
※
補足
台本上は、展代が幽霊風にはんぺんを額に付けて現れる場面で
包丁を持ちながら現れ、包丁をテーブルに置く決まりでした。
⑶
健太が新名に対し、皆に聞こえないように小声で、
健太「兄貴、今のうちに逃げましょ!」
新名「でも、お母ちゃんが…!」
健太「何、気持ち入ってんすか!」
新名が警察官の泰秀たちに対し、
新名「なんとかしてください!」
親泊「警察呼んできます!」
泰秀とほたるが逃げるように去っていった。
新名「あんたらや!」
⑷
直之が前に出て、亀井に対し、
直之「展代を放してくれ!」
直之「展代はハウスダスト症候群で大きな病院に通ってるんや!」
展代のアレルギー設定を広げる、直之。
亀井「それ以上、近づくな!」
ハタキを直之に向ける、亀井。
直之「俺はこう見えてもな、近所では評判の、『悪い人』なんや」
直之「ヘルニア」
直之「痛風」
直之「花粉症」
亀井「体が悪いんかい!」
直之「許さんぞ」
直之が亀井に殴り掛かろうとするが、ヘルニアで腰を押さえる。
直之が亀井を蹴ろうとするが、痛風で足を摩る。
直之が再度亀井に殴り掛かろうとするが、花粉症で目を擦る。
擦り終えた後、亀井を見る。
直之は亀井に背を向け、皆のもとに戻りながら、
直之「分かった。あいつは小さい堤真一や」
亀井「いつ、一番絞り飲んだ!?(苦笑)」
亀井「堤真一はかっこいいから、言われても悪い気せえへんわ。(
⑸
新名が前に出て、亀井に対し、
新名「待て!」
新名「お母ちゃんを放せ!」
亀井「それ以上、近づくな!」
ハタキを新名に向ける、亀井。
新名「俺はハウスダスト症候群ちゃうから、なんも怖ないぞ。(半笑)」
すると、亀井がようやくハタキを逆に持ち、凶器となり得る柄
新名「お母ちゃんを放せ!」
新名が近づき、亀井がハタキの棒で新名の腕を殴る。
新名がよろよろと後退する。
新名「…っ!」
⑹
『オギャー』
赤ちゃんが泣き出す。
英子が吉本新喜劇の川畑座長の出ギャグ風に、
英子「いないない、カー!(川畑座長顔)」
と赤ちゃんを笑わせようとするが、川畑座長顔では泣き止むはずがない。
カバ「貸して?」
蒲島が英子から赤ちゃんを受け取り、頭上に掲げ、
カバ「高い、高い」
今度は腹に引っ付け、
カバ「柔らかい、柔らかい」
だが、赤ちゃんは泣き止まない。
健太「貸して?」
健太が蒲島から赤ちゃんを受け取り、
健太「寒いんやな?」
と、
だが、赤ちゃんは泣き止まない。
泣き止まない赤ちゃんに苛立つ、健太。
赤ちゃんを揺さ振り始める、
健太「もうっ!!」
と、赤ちゃんの育児を放棄するように、赤ちゃんを上空に投げる。
展代を人質にしていた亀井が慌てて走り、
亀井「こんなことしたら余計泣いてまう!」
健太の行動に呆れ怒る、亀井。
しかし、赤ちゃんの反応は
『キャハハハ』
赤ちゃんが泣き止んだ。
亀井は根っからの悪人ではないことが垣間見える。
⑺
展代「今よ!」
展代はマキザッパで亀井を思い切り連打する。
亀井「痛い、痛いっ!」
警察官の泰秀とほたるが都合良く現れる。
親泊「そこまでや!」
新名はマキザッパで展代を思い切り連打する。
新名「包丁忘れんな!(半笑)」
亀井が逮捕された。
その12に続く