(第三景)
⒔
⑴
薄暗い照明。
大将・裕とクリーニング店のまりこが下手袖から現れ、店先で立ち止まる。
森田「大丈夫?、三日も入院してたけど」
吉田「まりこちゃんのおかげで助かった」
吉田「擦り傷程度やったみたいや」
まりこが救急車を呼んでくれたらしい。
⑵
森田「お店は?」
吉田「セロリとミソに任せてる」
店内を覗き、
吉田「でも、なんか暗いな…」
裕が店に入り、照明スイッチを押すとクラブの派手な照明がつき、
クラブミュージックが流れ出す。
新人アルバイトのセロリとミソが全身で小さくリズムを取りながら、
千葉「照明変えておきました」
吉田「(リズムに)乗らんでええ!」
裕が再度照明スイッチを押すと普段のうどん店の照明に戻る。
吉田「勝手なこと、すな!」
⑶
ミソが吉田に対し、
酒井「でも、社長はうどんの方も頑張ってたんですよ?」
酒井「昨日のお昼は100人のお客さんにうどんを出しました」
彼氏になったセロリを擁護し、アピールするミソ。
吉田「凄いな!」
セロリがミソに対し、
千葉「ミソは可愛いな」
吉田「時間が経つにつれ顔が赤なってるぞ? 大丈夫か?(苦笑)」
⑷
うどんの仕込みが間に合っていないようで、
その様子を見ていたまりこが独り言でダサカッコいい感じで、
森田「もしかして…、いいチームかも」
ドラマにある場面なのだろう。
大きな笑いが起こる。
まりこがクリーニング店に入っていった。
⒕
⑴
吉本うどん店の店長で、セロリに想いを寄せるプロレスアがやってくる。
熊元「セロリ?」
しかし、セロリは裕・ミソとともにうどんの仕込みをしていて、
フロアにはいない。
熊元「セロリ、いないのか…」
プロレスアの声を聞いたセロリが厨房から出てくる。
熊元「セロリ、いたのね」
熊元「久しぶりに遊びにいかない?」
千葉「ダメだ」
熊元「なぜ?」
千葉「君に伝えないといけないことがある」
千葉「俺はミソと付き合ってる」
熊元「嘘でしょ!?」
ショックを受ける、プロレスア。
⑵
ミソは話を聞いていたようで、厨房から現れる。
酒井「本当です」
熊元「ミソとプサ…セロリが付き合ってるなんて!」
緊張しっぱなしのプロレスア。
酒井「今、間に釜山入れた?(苦笑)」
熊元「あのっ、最近旅行に行ってたから…」
酒井「その間にゾロリ…セロリと付き合うことになった」
熊元のミスに合わせる、ミソ。
⑶
ミソが勝ち誇ったようにプロレスアに対し、
酒井「社長はワテの男ですねん!」
酒井「帰ってもらえます?」
酒井「社長、行きましょ」
ミソが厨房に戻る。
セロリがプロレスアを見て、
千葉「酔ってて、オバQにしか見えない」
セロリも厨房に戻った。
プロレスア、一人。
熊元「ア゛ーッ!!、ア゛ーッ!!、ア゛ーッ!!(号泣)」
悍ましい顔と声で泣き叫ぶ。
⑷
裕の父で吉本グループ社長の耕一と秘書・椎森が現れる。
耕一「なんちゅう泣き方しとんや」
熊元「店(長)…、社長。(涙)」
耕一「『店』ちゃう」
台詞をミスし続ける、プロレスア。
耕一「なぜ泣いている?」
熊元「セロリにオバQって言われたから…(涙)」
熊元「、クッキングパパはよく言われるけど」
耕一「似たようなもんだ」
⑸
耕一が何かの瓶を取り出す。
プロレスアに対し、
耕一「花月うどんの出汁にこの下剤を入れろ」
耕一「それで営業停止になり、裕は働けなくなる」
熊元「…」
熊元「分かりました」
プロレスアが下剤を受け取る。
椎森「社長、隠れて様子を見ましょう」
耕一と椎森が店外に出て、隠れて店内を覗き込む。
⑹
フロアにはプロレスア、一人。
裕・セロリ・ミソが仕込みを終え厨房から出てくる。
ミソがプロレスアに対し、
酒井「まだいたの?」
酒井「帰って」
熊元「…」
吉田「?、何か用ですか?」
熊元「やっぱりできないわ!」
プロレスアのぎこちない台詞回しに、
吉田「なんや、その三文芝居!(苦笑)」
熊元「できない!」
プロレスアが下剤をゴミ箱に投げ捨てる。
ミソがゴミ箱から下剤を拾う。
酒井「下剤!?」
酒井「もしかして下剤を入れようとしたの!? 最低!」
千葉「でも、プロレスアは実際には入れなかったよ」
プロレスアを庇う、優しいセロリ。
⑺
裕がプロレスアに尋ねる。
吉田「一体どういうことですか?」
プロレスアが店外で隠れて様子を見ていた耕一の方を見る。
裕が耕一に気付き、
吉田「父さん!」
耕一と椎森は裕たちに見つかり、仕方なく店内に入ってくる。
耕一は明るく振る舞いながら、テーブル席に座る。
耕一「ト、ト、トッポギセヨ!」
吉田「ごまかせてない!」
セロリが耕一に対し、
千葉「あんたらがプロレスアに指示したんだな?」
耕一「ど、ど、どこに証拠があるんでしょ~か?」
動揺を隠せない、耕一。
だが、セロリ側も明確な証拠を示せない。
⒖
⑴
すち『セロリー!』
千葉「父さんの声だ!」
照明が薄明かりになり、
下手袖から裕雅がチャミスルを口飲みしながら現れる。
裕雅がセロリにチャミスルの瓶をアピールし、
すち「マスカット味」
すち「…、すもも味の方が美味しい」
⑵
すち「ずっと見ていたよ」
裕雅がチャミスルを口飲みし、
すち「(耕一が指示した)証拠なら、」
またチャミスルを口飲みし、
すち「ここにある」
と、ICレコーダーを見せる。
千葉「飲み過ぎだよ!(苦笑)」
すち「父さん、明日は12:30入りだから、ゆっくりできるんだ」
顔を真っ赤にしたセロリが
千葉「僕は10:20入りだよ。(苦笑)」
⑶
吉田「ICレコーダーが浮いてる!」
幽霊の裕雅はセロリしか認識できない様子。
裕雅が裕のもとに行き、
すち「こいつは刺された時、長渕(の『トンボ』での演技)になっていた」
すち「自分が目立とう目立とうとしていた」
すち「悪目立ちは一番ダメなやつだ!」
吉田「…(苦笑)」
裕雅がセロリにICレコーダーを渡す。
すち「頑張れよ!」
千葉「ありがとう」
裕雅が下手袖に捌けるかと思いきや、プロレスアに近づき、
すち「お前は緊張しすぎだ!(苦笑)」
熊元「…(苦笑)」
裕雅が去っていった。
普段の照明に戻る。
その12に続く