⒒
⑴
下手玄関付近に盗人の裕・敦史、女将の友見、
上手端に共謀する行人・大黒・健太・瀧見・湯澤、人質の美優、
吉本新喜劇の一般的な人質場面が出来上がる。
大黒「権利書をこっちに寄越せ!」
大黒「さもないと、こいつがどうなってもしらんぞ!」
と、大黒がドスを美優の顔に近づける。
美優「キャーッ!」
⑵
友見が裕たちに助けを求める。
友見「お願いします!、助けてください!」
裕が前に出て、大黒たちに対し、
吉田「人質やったら俺が代わる! その子を解放してくれ」
裕が大黒に少しずつ近づく。
大黒「それ以上、近づくな」
裕が近づきすぎて、ドスで腕を斬りつけられてしまう。
吉田「…っ!」
斬られた前腕肘付近を押さえながら、
奥重「おい!、斬ることないやろ!」
大黒たちに怒りを向ける、敦史。
⑶
敦史が裕のもとに駆け寄り、椅子に座らせる。
奥重「アニキ、消毒せな!」
奥重が焼酎の一升瓶が置かれた棚を見て、
奥重「あれや!」
奥重が一升瓶を手にし、胡座を組み、焼酎を飲む。
裕の傷口に吹きかけるのかと思いきや、グビグビと飲み続け、
奥重「はぁ~、美味しい」
吉田「消毒ちゃうんかい!」
奥重「コロナの時期なんで無理です」
吉田「ゴクゴク飲んどったぞ?」
⑷
吉田「止血しないと。ハンカチか何か…」
友見がハンカチを取り出し、敦史に渡す。
敦史「アニキ、拭いていいですか?」
吉田「おうっ」
すると敦史が傷口ではなく自分の額を拭く。
吉田「どこ拭いとんねん!」
敦史は額を拭いたハンカチで裕の傷口を縛ろうとする。
吉田「汚いなあ! 大丈夫か!?」
敦史が裕の手首にハンカチを巻き始める。
吉田「もっと上や!(苦笑)」
奥重「もっと上…」
敦史が今度は裕の首をハンカチで絞めようとする。
吉田「死んでまうわ!」
吉田「ここ(=前腕肘付近)や」
敦史が傷口をかなりキツめに絞めようとする。
吉田「絞めすぎや!(苦笑)」
すると、敦史が逆ギレする。
奥重「やったことないんすよ!」
奥重「人質代ろうとして斬られた人を止血するなんて、
敦史は特殊な状況下での止血をなんとか成功させた。
⒓
⑴
敦史が裕に対し、
奥重「アニキ、任せといてください!」
敦史が大黒の前に出て、大黒に対し、
奥重「お前はもうええ」
敦史「小さい奴来い」
しかし、行人も健太も瀧見も小柄で、
敦史「、全員小さいけど。(苦笑)」
行人が前に出てきて、納得する敦史。
敦史の言う『小さい奴』は行人のことだったよう。
奥重「女子を騙して人質にして刃物をちらつかせる。最低や」
奥重「俺が懲らしめたるわ」
行人「やるっちゅうんか」
奥重「ひょろひょろが無理すんな」
行人「俺のことがひょろひょろに見えるんけ」
奥重「『見えるんけ』ってどこの人や? 『け』って」
ウケるウケない関係なく、自由に発言する敦史。
全員「…(苦笑)」
行人「見せたるわ。見て驚くなよ?」
奥重「誰が驚くか!」
行人が客席に背中を向けて服を脱ぎ、客席の方を向くと
ボディービルダーらしい鍛え上げられた身体が露わになる。
お腹も綺麗なシックスパックになっていて、
吉田「バキバキやないか!(苦笑)」
行人が客席を意識し、さまざまなポージングをするが、
決めポーズは全て同じで、
吉田「一種類しか無いんか!(苦笑)」
⑵
行人の身体付きを見た裕が敦史のことを心配する。
吉田「敦史、大丈夫か!?」
奥重「大丈夫です。中国で修行してたから」
吉田「いつ?」
奥重「2歳の時」
吉田「2歳!?」
奥重「記憶無い。でも、功夫を見た、と思う」
吉田「あかんやないか!」
⑶
敦史は行人に対抗し、客席に背中を向けて服を脱ぎ始める。
吉田「大丈夫?」
上半身裸になると、
吉田「背中がもうあかん!(半笑)」
かつ、白のコルセットがズボンからはみ出して見える。
吉田「コルセット外してくれ。(苦笑) 痛々しい」
奥重「、ヘルニア。(苦笑)」
敦史が客席の方を向くと、だらしない身体が露わになる。
相撲取りのような張りのある太り方ではなく、
セルライト状のお腹になっている。
吉田「ダルダルやないか!(半笑)」
敦史は腹部を両手で中央に集め、シワでシックスパックを表現する。
吉田「脂肪ぎゅっとして、なんしてんねん!(半笑)」
奥重が行人に対し、
奥重「びびったやろ」
吉田「ある意味びびったわ。(苦笑)」
⑷
奥重「アニキ、あいつ(=行人)倒していいですか?」
吉田「いける!?(苦笑)」
奥重が行人に殴りかかるが、行人の強烈なストレートを浴び、
一発で仰向けに倒れる。
奥重「気持ちいい〜」
(これはダメなやつだ!)
ダメージの見える敦史だが、
大事MANブラザーズバンド『それが大事』を歌いながら、
なんとか起き上がろうととする。
奥重「♪負けない事っ」
身体を起こしかけた敦史だがダメージで身体を支えられず、倒れ込む。
吉田「ヘルニアってこと?」
奥重「♪投げ出さない事っ」
身体を起こしかけた敦史だがダメージで身体を支えられず、
奥重「♪逃げ出さない事っ」
身体を起こしかけた敦史だがダメージで身体を支えられず、
奥重「♪信じ抜く事っ」
ようやく敦史が立ち上がる。
敦史が行人に近づきながら
奥重「♪ダメになりそうな時 それが一番大事ー」
で、行人に対し、120度頭を下げて謝る。
吉田「謝んのかいっ!」
敦史が裕のもとに逃げ戻ってくる。
奥重「アニキ、あんな奴に勝てるわけないでしょ!」
様子を見ていた大黒が怒鳴り声を上げる。
大黒「ふざけんなっ! さっさと権利者渡せ!」
ここまで事態に進展は見られず。
⒔
⑴
膠着状態。
そこに、刑事の椎森・岩崎が戻ってくる。
椎森「すいません。カバンを間違えたみたいで」
人質になった美優を見た椎森たちが驚く。
椎森「えっ!?、どういうことですか!?」
すると、敦史が椎森の前に立ち、
奥重「♪ポンポンポンポン ポンポポポン」
吉田「なんしてんねん!(半笑)」
椎森「えっ!?、
椎森「彼氏とリゾート会社と借金取りがグル!?」
椎森「ほんで、
吉田「今のでなんで分かんねん!?」
⑵
岩崎「先輩、自分があいつらを懲らしめにいきます!」
椎森「岩崎、感情的になるな」
椎森「あいつら(=大黒たち)
椎森「悪い奴は山ほど見てきたけど、
椎森「俺、あいつらのこと信じるわ」
岩崎「先輩…」
椎森が両手を上げ、大黒にゆっくり近づく。
椎森「一人の人間として聞きたい」
椎森「なんでそんなことしたんや?」
椎森と岩崎の話を聞いていた大黒が心を許し、理由を打ち明ける。
大黒「それは、」
大黒が理由を話し始めた瞬間、
豪快な一撃で大黒を殴り倒す。
信じるどころか騙し討ちを狙っていたようだ。
健太・行人・瀧見と一撃で倒し続ける、椎森。
女性の湯澤もお構い無しに一撃でKOする。
吉田「滅茶苦茶や!」
高速でアリステップを披露する、椎森。
その動きから運動神経がズバ抜けていることが分かる。
椎森の動きに惚れ惚れする、敦史。
奥重「(僕の)師匠かも…」
奥重「師匠!」
敦史が椎森に近づくと、椎森が敦史を豪快に殴り倒す。
またアリステップを始める、椎森。
吉田「一番やばい奴や!」
とにかく、椎森のおかげで犯人たちが無力化された。
⑶
岩崎が犯人たちに対し、
岩崎「なんやかんやで逮捕する!」
吉田「罪状言え!」
岩崎は裕の声は無視して、犯人たちに対し、
岩崎「手ー繋げ!」
吉田「手錠でしょ!?」
今度は岩崎が裕の声に応じて、
岩崎「休暇中で持ってなくて」
吉田「ああ」
岩崎が先導する形で大黒・健太・行人・瀧見・湯澤が連行される。
岩崎「さっさと歩け!」
すると、なぜか全員バレエのステップで捌けていった。
吉田「白鳥の湖になってるやん!」
その8に続く