⒌
⑴
盗人の裕と敦史、二人。
奥重「アニキ、今のうちに壺を交換しましょ!」
裕と敦史が西郷の壺と模造品を入れ替えようと中央奥通路横の棚に
西郷の壺を持ち上げる。
その時、一升瓶を持った椎森と岩崎がお風呂から戻ってくる。
西郷の壺を持ち上げている裕を見た椎森が激怒する。
椎森「おい、お前ら!」
すると、裕が西郷の壺をラグビーボールに見立て、
敦史とパスし合い、モノボケする。
吉田「行こう、花園に」
吉田「、ラグビーボールちゃうねん!」
とノリツッコミ。
裕が椎森たちに対し、
吉田「すみません、旅館が素敵すぎてテンション上がっちゃって」
と、壺を棚に戻す。
⑵
椎森「おい、お前ら!」
椎森「、ワシの酒が飲めんのか!」
椎森は酒癖が悪く、裕たちに絡んでいただけのよう。
椎森「飲みなさい!」
騒ぎを聞きつけ、友見が現れる。
友見「ちょっと、椎森さん、何やってるの!」
友見「飲みすぎよ!?」
椎森「飲んだらあかんのかいっ!」
⑶
ここで、客の玉置が中央奥通路から現れる。
玉置「一風呂浴びてこよう」
泥酔している椎森がふらつき、
椎森が玉置の存在に気付き、
椎森「とんでもないハゲが来よった」
岩崎も泥酔気味で、椎森の頭を指差しながら、
岩崎「ほんまですね」
椎森「ワシちゃう!」
椎森が玉置に対し、
椎森「お前、とんでもないハゲやな」
玉置「…?、そっちもハゲてますやん」
椎森「ブチ殺すぞ!」
玉置「ひーーーっ!!」
玉置が上手端通路に消えるが「ひー」がいつまでも止まらない。
吉田が上手端通路を覗き込み、
吉田「まだそこおるんかい!(苦笑)」
玉置が奥に向かったようで、ようやく玉置の悲鳴が止んだ。
この捌けネタは玉置のアイデアだろうか?
⑷
友見「椎森さん、岩崎さん、飲むなら部屋で飲みましょう! ね!」
友見に背中を押される形で三人が客室に向かった。
ロビーはまた裕と敦史二人きりになる。
⒍
⑴
盗人の裕と敦史、二人。
吉田「好都合や!」
奥重「今のうちに壺を交換しましょ!」
裕と敦史が西郷の壺と模造品を入れ替えようと中央奥通路横の棚に
西郷の壺を持ち上げる。
その時、若めの女性(佐藤美優)が旅館を訪れる。
美優「ただいま…」
すると、裕が西郷の壺を宗教儀式用の道具に見立て、
壺を上下に振りながら、
吉田「ハンバラバー!」
と叫ぶ。
吉田「、何やこれー!知らんぞー!」
自分でやっておいて、自分の行為にケチをつける、裕。
裕が美優に対し、
吉田「すみません、旅館が素敵すぎてテンション上がっちゃって」
と、壺をそっと棚に戻す。
⑵
騒ぎを聞きつけ、上手端通路から友見が現れる。
友見「美優!」
美優「お母さん…」
友見「今まで何をしていたの!?」
どうやら、美優は「女優になる」と家を飛び出した友見の娘のよう。
なぜか敦史が二人の間を取り持ち始める。
奥重「女将さん、落ち着いて」
敦史が真顔になり美優に語り掛ける。
奥重「確か、美優さんと言ったね」
奥重「お母さんの目を見て、想いを伝えるんや」
吉田「何でお前が仕切っとんねん」
奥重「美優ちゃん、頑張れ」
背中をポンと優しく触れ、励ます。
吉田「何でお前が励ましてるんや」
⑶
美優が友見と向き合う。
(敦史→美優→←友見、の立ち位置で)
美優「…」
すると、敦史がマキザッパを奥から取り出し、
奥重「早よ言え!」
と、美優の背後からマキザッパで美優の頭頂部を叩く。
吉田「何叩いとんや!」
吉田「久々に帰ってきて、言葉出てけえへんねん!」
⑷
美優が再び友見と向き合う。
美優「…」
美優「女優に、」
美優が想いを伝え始めたところで、
奥重「早よ言えや!」
と、美優の背後からマキザッパで美優の頭頂部を叩く。
吉田「言うてる!」
奥重「テンポ悪い」
奥重「ボクシングと一緒でテンポが大事」
吉田「例えが悪い。(苦笑)」
吉田「俺から見たらお前が一番テンポが悪いぞ?」
⑸
美優が再び友見と向き合う。
美優「女優になるために、」
美優が想いを伝え始めたところで、
奥重「(女優になるのは)無理や!」
と、美優の背後からマキザッパで美優の頭頂部を叩く。
ここは当てどころが悪くマキザッパが曲がり、美優の顔面に当たってしまう。
吉田「めり込んでるやん!(苦笑)」
美優が自分の顔を押さえ、笑いを堪える。
美優が敦史の方を見ると、
敦史はマキザッパを自分の頭の上に乗せ、リーゼントに見立て、
肩で風を切る感じで美優に対し、
奥重「チースッ!」
吉田「やればええっちゅうもんちゃうぞ!(半笑)」
冗談半分のダメ出しをする、吉田。
⑹
美優が再び友見と向き合う。
美優「女優になるために東京に行ったけど上手くいかず、」
美優「仕事も無くなって、どうしたらいいか分からなくなって…」
美優「今日はお母さんに謝ろうと思って帰ってきたの」
美優「勝手に出ていって、心配掛けてごめんなさい!」
美優が友美に頭を下げて謝る。
母親に心配掛けたことを反省しての謝罪ではなく、
上手く行かず路頭に迷いそうだから帰ってきたように聞こえるが、
友見は怒らず、優しく迎え入れる。
友見「いいのよ」
友見「あなたも沢山辛い思いをしたのね」
友見「美優、おかえりなさい」
美優「お母さん。(涙)」
友見が美優を抱擁する。
すると、美優の背後から奥重が手を回し、二人を抱擁する。
(奥重→美優→←友見、の立ち位置)
奥重「おかえり」
吉田「何やねん!(苦笑) 誰のつもりや?」
ここで、友見が素気味に笑い出す。
友見「(奥重の)汗と鼻息が凄い…。(苦笑)」
敦史が二人から離れ、
奥重「お父さんや」
吉田「違うし!」
⒎
⑴
友見が美優に対し、
友見「東京から帰ってきて疲れたでしょう。お風呂に入ったら?」
美優「その前にお母さんに紹介したい人がいるの」
身勝手な行動の謝罪の直後に彼氏を紹介する、
美優「入ってきて?」
美優が下手袖方向に呼び掛けると、
爽やかそうな青年・行人(生瀬行人)が現れる。
行人「失礼します」
美優が友見に対し、
美優「彼氏なの」
⑵
行人が友見に挨拶する。
行人「はじめまして」
行人「美優さんとお付き合いさせていただいている、
行人「つまらないものですが」
行人が紙袋を友見に渡そうとする。
すると、敦史が紙袋を覗き込み、
奥重「安いもんですわ。メンズノンノ」
友見は空気を読まない敦史を完全に無視して、
友見「毎月見ています」
と、紙袋を受け取る。
友見「若いのにしっかりしてるわね」
美優「そうなの」
美優「
生瀬「女性が困っていたら助けるのは当然だから」
友見「謙虚で頼もしいわ」
すると、敦史が友見に対し、
奥重「ありがとうございます」
吉田「お前褒めてんちゃうから!」
先ほどから一切空気を読まない敦史を行人が見ると、友見が行人に対し、
友見「(奥重のことは)気にしなくていいから」
⑶
友見「美優のこと、よろしくお願いします」
友見「今日はめでたい日だから、
友見「生瀬さんに客室を用意しますね」
友見「あっ、3部屋全部埋まってたわ!」
すると、友見は裕のもとまで行き、
友見「ということで、お引き取りください」
吉田「なんでやねんっ!!」
暗転
その5に続く