本日発売!
⒈
総合的印象
聴き始めたばかりでアルバムの色・画が掴み切れていませんが、
現段階での印象は、
・優しく美しい作品
・ロックアルバムの必勝構成の中での大挑戦
・多種多様かつ良質な楽曲群
聴き始めれば、あっという間にエンディング。
通しで聴き易いですね。
⒉
優しく美しい作品
オープニング・エンディング・前半の締めのバラード、
要所の曲調がそう感じさせているのでしょうか?
優しさは歌詞にも表れていて。
自分と兄ノエルのことに触れつつ、
主にはファンに向けて書かれているように思います。
⒊
ロックアルバムの必勝構成の中での大挑戦
・一枚トータルで一作品
・驚きのあるオープニングとカタルシスが得られるエンディング
・前半の締めにバラード曲
・前半は受けの良い楽曲を、締めのバラード曲が最大限活きるよう適所に配置
・中盤は変化球
・終盤は再び盛り上げる
・曲調被りは徹底して避ける
・収録時間は最大50分程度
ロックアルバムの必勝構成を意識しつつ、
中盤を中心に果敢に挑戦している印象です。
ただ、聴き手を置き去りにしないよう、
あくまで商業作品として挑戦していることがリアムチームらしいですね。
『Revolution 9』は存在しません。
⒋
Mix
オアシスの4thアルバムでもミックスを務めたマーク・ステントが担当。
彼がミックスした作品は各パートがクリアに聴こえます。
ウォール・オブ・サウンドだったオアシスの音を変えた人ですよね。
⒌
アルバム曲
多種多様かつ良質な楽曲群を曲順に一曲ずつ見ていきます。
⑴
More Power
完璧な開幕。
(無情の世界+Dancing Queen+Looking Glassですが。笑)
タイトルから体育会系のMore Powerを想像していたところ、
リアムの切実さが伝わる非常に内省的なものでした。
初っ端から涙腺崩壊です。
♪
I can see so more things now that you've gone
How I wish I had more power
Is this what you came for?
お前が去った今、多くのことが分かる
もっと力があればいいのに
これがお前の狙いなんだろ?
袂を分かったノエルに向けられたもの、ノエルへの求愛ですよね?
「弟もソロアルバムを作って力を見せる時」
ノエルはそう言いました。
リアムは十二分なほど力を見せたのではないでしょうか。
そろそろ元の関係に戻る時では?
なにもオアシス再結成じゃなくていいと思うんです。
たまにノエルが曲を提供するだけでも。
たまにライブで一曲ゲスト出演するだけでも。
兄弟なんですから。
⑵
Diamond In The Dark
二曲目はArctic Monkeys風リフのモダンでダークな楽曲。
今作が挑戦的作品であることが早くも伝わってきます。
♪I'm shining like a diamond in the dark
リアムらしい歌詞ですね。
⑶
Don't Go Halfway
オアシス3rdアルバムのバラード曲『Don't Go Away』と似た曲名。
ですが、曲調の方は全く似ておらず、1990年代米国オルタナティブロック風。
終盤の疾走感溢れるメロディが堪りません。
二曲目同様、リアムとしては珍しい曲調ですね。
今作は米国のミュージシャンと積極的にコラボしていることも特徴です。
⑷
C'mon You know
希望溢れる歌い出しから、まさかのCome Together&サイケ展開という、
風変わりな表題曲。
アルバムとして見た場合、
その風変わりさがピュアな次曲のために良い仕事をしていると映りました。
ラストのサックスはVampire Weekendのエズラ・クーニグによるもの。
C’mon You Know、Everything’s Electric、Better Days、
アルバム発売前に先行公開された3曲については以前に触れておりますので、
今回は詳細は割愛します。
⑸
Too Good For Giving Up
前半のハイライト。
♪
You're too good for giving up
諦めるなんてもったいない=諦めるな
曲の頭から終わりまで、リアムの半生と重ねた歌詞がとにかく素晴らしいです。
歌が聴き手の心に響く要因、
それは決して歌唱技術ではないことに改めて気付かされます。
…と、先ず、前半5曲が秀逸です。
⑹
It Was Not Meant To Be
ここから中盤。
今楽曲はモーニンググローリーで言うところの『Hey Now!』ですね。
聴き手の緊張を解きほぐしリセットする、箸休め的な曲。
決して捨て曲ではありませんで、
Fountains of Wayne風の爽やかな佳曲です。
⑺
Everything's Electric
今アルバムのリードシングル。
予想通り、アルバムの全体像を隠す選曲がされていました。
フー・ファイターズのデイヴ・グロール作で、ドラムも彼が担当。
シンプルにかっこいいですね。
⑻
World's In Need
一聴してリアム単独での作曲と分かる楽曲。
リアム曲は淡白になりがちで
シンガーに徹した方が良いとの声もありますが、
淡白に感じさせないよう、チームがアラブ音楽風に上手くアレンジしていて、
面白い仕上がりになっています。
⑼
Moscow Rules
リアム版Michelle。
、かと思いきや、後半部は随分シリアスで洗練されています。
先述したエズラ・クーニグが作曲者と知り、納得がいきました。
クレジットを見ると、彼はbassでアルバム全般に関与していますね。
⑽
I'm Free
「♪俺は自由だ。その気になればブルースだって歌う」
『Whatever』の一節めをタイトルにした、パンク曲(The Clash!)。
オアシスにも『Headshrinker』等パンキッシュなロック曲はありますが、
パンクそのものは珍しいです。
ここまでが中盤。
中盤は特に挑戦的な印象です。
⑾
Better Days
終盤。
『Tomorrow Never Knows』や『Let Forever Be』風のドラムループの中、
ポジティブなメロディが流れる良曲。
Yeah Yeah Yeahsのギタリスト、ニック・ジナーがギター担当のようです。
次の最終曲とワンセットで捉えています。
⑿
Oh Sweet Children
荘厳な最終曲。
(リアムが大好きなビートルズそのものです。笑)
ささやくようなヴァースと大団円のコーラスの対比がカタルシスを生んでいます。
ヴァースとコーラスを橋渡しする『♪デデデッ、デデデ』が癖になりますね。
アルバムが終わる寂しさも感じさせ、
またオープニング曲『More Power』に戻りたくなります。
♪
Oh sweet children
I can't make it go away, I know
Oh sweet children
I can only offer you my love
ああ、愛しき子供たち
分かってるさ、俺にはお前たちをどうにもしてやれないことを
愛を注ぐことしかできないことを
Sweet childrenは今の若い世代のファンのことですよね?
⒍
ボーナス曲
名盤と言われる作品はアルバム未収録曲も充実しているもので。
今回、通常盤未収録のThe JokerとWave。
良すぎでしょう。
この2曲をアルバムから外す余裕。
レコーディングが充実していた証拠ですね。
⒎
ネブワース、そして来日公演
観衆16万人超が集う来週のネブワース公演、大成功に終わってほしいです。
そして、ライブツアーがひと段落したら、
是非とも来日して日本のファンにも愛を注いでほしいです。
[余談]
10年近く前にニンテンドー3DSで作った、髭もじゃリアム。
結構良くできていると思いません?