(第三景)

うどん屋大将・佐藤

佐藤の小学三年生の娘・ライラ

店員・吉田

新人アルバイト・小西

4名。

下手の佐藤から、上手の小西の順で並ぶ。

 

吉田「いやー、でも、まさか悪魔の仕業とは」

佐藤「ニュースを見たけど、被害が拡大しているらしい」

 

下手端のクリーニング店から大黒・啓之親子が店先まで現れる。

啓之「お父ちゃん、キャンプの約束は!?アセアセ

大黒「だから、誰!?、君のこと知らんから!えープンプン

大黒が付き纏う啓之を拒否するように、一人下手袖に消える。

啓之「お父ちゃん、待ってよ!ガーンアセアセ

啓之が大黒を追いかける。

 

二人の様子を見ていた吉田が

吉田「大黒さん、戸惑ってる」

小西「こっちはよいお父さんになっただけマシかも」

 

小西がライラに対し、

小西「ライラちゃん、誕生日にディズニー行けて良かったね」

ライ「仕事は…?」

佐藤「キャンセルする」

佐藤「ミッキーと写真撮るから可愛い服用意せなニコニコ

佐藤「店閉めて、今から服買いに行こ!ウインク

 

吉田「大将、まずいですよ。 味が落ちてるって噂になってますよ?」

佐藤「ライラちゃんのためや」

佐藤「ライラちゃん、行こ!」

 

(佐藤→←ライラ・小西←吉田、の立ち位置で)

ライ「やっぱり、嫌や…」

佐藤「…?」

ライ「こんなお父ちゃん、嫌や」

ライ「前の方がいい」

ライ「『ライラちゃん』って呼ばれるのも嫌」

ライ「『ライラ』がいい」

 

この後もライラが佐藤に想いを伝え続けるが、

小西がライラより大きい声で真顔で佐藤に語り出し、ライラの声がかき消される。

小西「ライラちゃんの話、なんとなく分かります」 

小西「子供っていうのは、」

 

吉田「黙っといて!アセアセ」 笑い泣き

吉田「我慢して!」

吉田が小西の話を止める。

 

ライラが佐藤に対し、

ライ「いっぱい遊んでくれても、おやつ好きなだけ食べさせてくれても、」

ライ「そんなん、偽物のお父ちゃんや」

 

ライ「口煩くても、お店のことばかりでも、前のお父ちゃんがいい」

ライ「ほんとのお父ちゃんに戻ってよ!ショボーンアセアセ

 

佐藤「分かった。戻ってみせる!ニコニコ

 

吉田「大将、なら、思い出を取り戻さないと」

佐藤「そやな!」

小西も吉田と同じ口ぶりで、

小西「大将、ぼんち揚もらっていいですか?口笛

佐藤「どうでもいい!」

小西「もう食べました?キョロキョロ

吉田「下がってて!」

どの場面もボケがしつこすぎる、小西。

 

ライ「(悪魔の)居場所、分かるの?」

佐藤「それなんや。カバキングたちを誘き寄せるええ方法があれば…」

すると、小西が何か閃いた顔でパン!びっくり拍手と手を叩く。

吉田「何か思い付いた?」

小西「今、シンキングタイムなんですね!ニコニコ

吉田「そこ!?」 笑い泣き

吉田「ほんま、空気読まん奴やな」 笑い泣き

 

小西「あっ、子供への愛情や思い出を嗅ぎ取ってくるんですよね?

吉田「じゃあ、大将がライラちゃんに愛情を注げばやってくるかも」

小西「でも、ニュースを見てると一度も吸われてない親が狙われてます」

小西「まだ吸われていない人のニオイに寄ってくるのかも…」

 

佐藤「大黒さんは吸われているし、誰かいい人がいるといいんやけど…」

 

鮫島・行人親子がうどんを食べに現れる。

佐藤・吉田・小西「(ぅ)おった!」

鮫島「嫌よ?、カバキングにニオイを嗅ぎ取られるのはタラー

鮫島は話を聞いていた様子。

 

佐藤「お願いします。協力してくださいお願い

鮫島「怖いから…」

小西「僕があなたの養子になりますので、協力してください!お願い(口笛)」

鮫島「やるわニコニコ

吉田「こんなん、養子に要るんですか?」

鮫島「要らないわよ、こんなオッサンニヤリ

吉田「言葉がキツい…(苦笑)」 笑い泣き

 

鮫島「大将とライラちゃんのためよウインク

 

 

カバキングたちを誘き寄せる作戦がスタート。

 

小西が椅子を二つ並べ、鮫島親子に指示を出す。

小西「ここに座って、愛情を注いでください」

鮫島親子が座る。

 

(行人・鮫島↓←小西←吉田、の立ち位置で)

鮫島が息子・行人の頭を摩り、

鮫島「元気に大きくなってね照れ

すると、小西が鮫島の横に行き、しゃがんで、

小西「僕もいいですか?口笛

 

吉田「100%下心やろ!(呆れ)」

 

鮫島「これで、悪魔が現れる?」

 

 

カバキングとコバヤシが現れる。

二人は大黒の思い出を食べたことで、ツノ(=着ぐるみキャップ)が生えている。

カバ「匂うダワサニヤリ

小林「そうだブゥニヤリ

 

(コバヤシ・カバ→←鮫島親子←佐藤たち、の立ち位置で)

カバがニオイの発生源が鮫島であることに気付く。

カバ「今日はあの女からいただくダワサニヤリ

 

佐藤「そうは行くか!プンプン

佐藤が間に割って入り、カバに対し、

佐藤「お前たちを倒して、ライラとの、子供たちとの思い出を取り戻す!プンプン

 

そこに大黒が現れ、啓之が大黒を追ってくる。

啓之「待ってよ!ガーンアセアセ

大黒「だから、知らんて!アセアセ いつまで俺に付き纏うんや!えープンプン

 

大黒がカバキングたちを見て、

大黒「あんたら、あの時の!びっくり

大黒は啓之のことは忘れているが、

カバキングたちに何かされたことは覚えている様子。

 

大黒と啓之が上手端まで移動する。

 

カバ「お前たち、抵抗するなら痛い目を見るぞニヤリ

カバ「今から助っ人を呼ぶ。魔界の腕利きを」

 

カバキングが下手袖を見て、「こっちだ!ニヤリ」と呼び掛けると、

全身黒タイツ姿の悪魔、

タックル(タックルながい。)とタワタ(多和田上人)が現れる。

 

小西「木魚やん!」

カバ・タッ・タワ「誰が木魚や!」

 

吉田「イルカやん!」

カバ・タッ・タワ「誰がイルカや!」

 

大黒「男梅やん!」

カバ・タッ・タワ「誰が男梅や!」

 

啓之「ビリケンさんやん!」

カバ・タッ・タワ「誰がビリケンさんや!」

するとカバがタックルとタワタに対し、

カバ「ビリケンさんは俺のもんえー」 笑い泣き

 

吉田「えっ? ビリケンさん言われるの、気に入ってる?(苦笑)」 笑い泣き

 

佐藤が鮫島に対し、

佐藤「タブレットを見なければ、思い出は吸い取られません!」

鮫島が目を瞑る。

 

カバ「ハッハッハ。思い出を吸い取ってパワーアップしたニヤリ

カバ「今度は直接吸い取ってやる!ニヤリ

 

カバが目を見開くと、
『キュルキュルキュル』とウルトラマンの変身時に似た効果音がする。
鮫島が辛そうに頭を抱え、『スポンッ!』と音がした瞬間、
鮫島から何かが抜けたように気絶し、力無く倒れ込む。

カバキングが口元を手で拭い、
カバ「ご馳走様ダワサニヤリ



行人が倒れた鮫島のもとに駆け寄る。
行人「お母さん!アセアセ

行人が鮫島の身体を揺すると、鮫島が意識を取り戻す。
行人「お母さん!アセアセ
鮫島「…、僕、誰?キョロキョロ
啓之「そんな…、ウワァーン!えーん

鮫島も行人との思い出を吸い取られてしまった。

 

 

その9に続く