(第二景)

うどん屋大将・佐藤

佐藤の小学三年生の娘・ライラ

店員・吉田

新人アルバイト・小西

4名。

 

佐藤がテーブル席に座り、ライラの記憶が無いことに困惑している。

佐藤の下手にライラが、上手に吉田と小西が立つ。

吉田「昨日から一日記憶が戻らん」

小西「どうして記憶喪失になったのか…」

吉田「とにかく、ライラちゃんのことだけ忘れてる」

 

吉田が佐藤に尋ねる。

吉田「大将の誕生日は?」

佐藤「2月25日」

 

吉田「ライラちゃんの誕生日は?」

佐藤「…、知らんキョロキョロ

 

小西が吉田に対し、

小西「もっと聞いてみましょ」

吉田「そやな」

 

吉田が佐藤に尋ねる。

吉田「子供の日は?」

佐藤「5月5日」

続いて、小西が佐藤に尋ねる。

小西「アダムとイヴの誕生日は?」

佐藤「…、知らんキョロキョロ」 笑い泣き

 

吉田が佐藤に尋ねる。

吉田「日本の総理大臣は?」

佐藤「岸田さん」

続いて、小西が佐藤に尋ねる。

小西「キリバス共和国の大統領は?」 笑い泣き

佐藤「…、知らんキョロキョロ」 笑い泣き

 

吉田が佐藤に尋ねる。

吉田「キリスト教を日本に広めたのは?」

佐藤「ザビエル」

続いて、小西が佐藤に尋ねる。

小西「ハニワの髪型の名称は?」 笑い泣き

佐藤「…、知らんキョロキョロ」 笑い泣き

 

小西「記憶喪失やタラー」 笑い泣き

吉田「質問が悪い!アセアセ」 笑い泣き

吉田「キリバス共和国ってなんや! 大統領なんか誰も知らんやろ!」

小西「ターネス・マーマウですよニヤリ

吉田「お前はそんなん詳しいなあ!(呆れ)」

 

小西は問題外としても、

吉田ももっとライラについての質問をすべきではなかろうか?

 

佐藤がライラに対し、

佐藤「ライラちゃんか」

佐藤「俺がお父さんなんやな?」

ライ「うん…」

 

吉田「考えようによってはラッキーですよ!ウインク

吉田「記憶を失う前の大将はライラちゃんとの時間を作っていなかった」

吉田「生まれ変わる良い機会かもしれませんよ」

 

佐藤「俺、そんなに酷かったんか…」

吉田「ライラちゃん、凄く寂しがってました」

 

佐藤がライラに対し、

佐藤「ちゃんとした父親になる!ニコニコ

佐藤「いっぱい遊ぼう! 全力で遊ぶ!」

 

ライ「じゃあ、魔法少女メグルちゃんごっこしよ?ニコニコ

佐藤「(魔法少女メグルちゃんは)よう分からん…」

ライ「適当に悪者役やってくれたらいいから」

佐藤「分かったニコニコ

 

佐藤がレジ棚の下に隠れ、スタンバイする。

 

ライラが魔法少女メグルちゃんになりきり、ごっこスタート。

ライ「私の魔法で地球を守る! 出て来い、怪人!ニコニコ

 

すると、佐藤がレジから姿を現し、

目を見開くオーバーリアクションで全力で怪人を演じる。

佐藤「キャッキャッキャッキャッ!グラサン

佐藤「私は怪人メダマルマ!グラサン

佐藤「愚かな地球人よ、私の前にひれ伏すのだ!グラサン

 

側で見守る、吉田。

吉田「熱量、おかしい!(苦笑)」 笑い泣き

 

ライラが佐藤に魔法を放つ。

ライ「メグルファイア!ニコニコ

すると、火だるまになった佐藤が「ギャーッ!!ガーンと痛そうな声を上げ、

床でのたうち回る。

吉田「リアクションが凄すぎる!(苦笑) リアル過ぎて怖い!」 笑い泣き

吉田「ゴキブリやん。(苦笑)」

 

佐藤が立ち上がると、ライラが次の魔法を放つ。

ライ「メグルブリザード!ニコニコ

佐藤が客席方向に身体向け、右手を上げたところで氷で固まる。

見事なパントマイム。

吉田「固まった!(苦笑)」 笑い泣き

 

佐藤が動き出すと、ライラが次の魔法を放つ。

ライ「メグルサンダー!ニコニコ

佐藤「うわっ!、雷だ!アセアセ

佐藤が吉田の前に立ち、吉田のもじゃもじゃの髪を両手で小刻みに引っ張る。

吉田「俺の髪で黒焦げ表現すなっ!」 笑い泣き

 

なぜか小西が吉田のお尻に蹴りを放つ。

小西「メグルキック!ニヤリ

佐藤「痛ーっ! 何で!?」

小西「僕に順番がメグってきたんかと口笛」 笑い泣き

吉田「上手いこと言うな」

 

ライラは魔法少女メグルごっこに満足した様子。

 

 

ライラが父親・佐藤に対し、

ライ「今度はマジカルバナナしようニコニコ

佐藤「よっしゃ、ライラちゃん」

 

ライ「♪マジカルバナナ」

ライ「♪バナナと言ったら 黄色」

佐藤「♪黄色と言ったら 卵とじうどん」

ライ「♪卵とじうどんと言ったら 温まる」

佐藤「♪温まると言ったら 味噌煮込みうどん」 笑い泣き

ライ「♪味噌煮込みうどんと言ったら 土鍋」

佐藤「♪土鍋と言ったら 鍋焼きうどん」 笑い泣き

 

吉田「うどんばっかりや!」 笑い泣き

吉田がマジカルバナナを止める。

根はうどん一筋、職人気質の佐藤。

 

小西「僕が二人の間に入りますウインク

 

ライ「♪マジカルバナナ」

ライ「♪バナナと言ったら 黄色」

小西「♪黄色と言ったら 卵口笛

佐藤「卵と言ったら 月見うどん」 笑い泣き

 

吉田「言う思うたわ!」 笑い泣き

吉田がマジカルバナナを止める。

 

吉田が小西に対し、

吉田「卵はあかんやろ、こいつ(=佐藤)うどんバカやのにタラー」 笑い泣き

佐藤「こいつって!」 笑い泣き

吉田「すんません!アセアセ

 

小西が佐藤に対し、

小西「大将、頭の片隅にずっとうどんがある」

小西「ライラちゃんと遊ぶ時くらい、うどんのこと忘れましょ!」

佐藤「…、そやな」

 

佐藤がライラに対し、

佐藤「ライラちゃん、お菓子買ってあげるウインク

ライ「さっきコンビニで買ったグミ食べたし…食べすぎたら怒られるショボーン

佐藤「怒れへんよニコニコ

佐藤「今から買ってくるウインク

 

吉田「大将、店はどうするんですか?」

佐藤「閉めといてニコニコ

吉田「えーっ?」

佐藤「行ってくる!ニコニコ

佐藤がお菓子を買いに出かけた。

 

何事にも全力の佐藤は、今度は仕事を疎かにし、

ライラとの時間に全てを割いてしまう。

 

小西が椅子を裏返し、テーブルの上に置く。

吉田「何してんねん!」

小西「が閉めろ言うから口笛

吉田「そんな大きい組織ちゃう! 元に戻せ!」

 

吉田「それにしても、大将、何考えとんや…」

極端過ぎる佐藤の行動に困惑する、吉田。

 

 

その6に続く