⒊
⑴
うどん屋店員・吉田
新人アルバイト・小西
常連客のクリーニング店主・大黒
三名。
花月うどん店の大将・佐藤(佐藤太一郎)
佐藤「ただいま!」
頭にタオルを巻いており一本気の熱い男を表現しているのかもしれ
その姿で商工組合の寄合に参加したとなると、
吉田「大将、聞いてください!」
吉田「
佐藤「お前が面接して取ったんやろ?」
吉田が小西に対し、
吉田「大将に挨拶して」
小西が佐藤と向かい合う。
小西「小西武蔵です」
佐藤「よろしく。大将の、」
佐藤が名前を言おうとしたところで、小西が遮るように、
小西「知ってますよ?」
佐藤「えっ?」
小西「よくTVに出てる」
佐藤「TVに出たことないけど…、誰と間違えてる?」
小西「アフリカの赤ちゃんですよね?」
佐藤「誰がや!」
小西「♪AーCー」
佐藤も小西のヤバさを認識し始める。
⑵
吉田「大将、ガツンと言ってやってください!」
佐藤「小西、メモしとけよ」
佐藤「うどん作りっていうのはな、」
動きを加えながら、
佐藤「回りを確認して注文を受け!」←客席を見回し
佐藤「茹でる!」←茹でるポーズ
佐藤「湯切る!」←湯切りポーズ
佐藤「客を探して!、」←客席を見回し
佐藤「走って持っていく!」←ランニングマイム
佐藤「メモしたか?」
小西「すみません、途中までしかできてません」
佐藤「どこまで?」
小西「キモい、まで」
佐藤「言うてない!」
小西「動きを見ていたら、キモく見えて」
佐藤「…」
小西「でも、説明できます」
小西「もう一回動いてもらえますか?」
佐藤「…えっ?、行くで?」
佐藤の動きに合わせて、
小西「写真を撮って」←客席を見回し
小西「ブラジャーゲット」←茹でるポーズ
小西「パンティもあるぞ!」←湯切りポーズ
小西「誰もいない」←客席を見回し
小西「逃げろー!」←ランニングマイム
佐藤「変なアテレコすなっ!」
吉田「大将も途中で止められたでしょ。(苦笑)」
⑶
佐藤が小西に対し、
佐藤「クビにするぞ」
小西「クビだけは勘弁してください」
小西「実は病気がちな父・母・妹・祖父・祖母がいないんです」
吉田「おらんのかい!」
吉田「なんで言うた?」
小西「大将、家族は?」
佐藤「嫁は2年前に亡くなってな」
佐藤「大黒さんや鮫島さんのお子さんと同級生の8歳の娘がおる」
佐藤「所謂シングルファーザーや」
⒋
⑴
佐藤が娘の話をしていると、
大黒の息子で小学三年生の啓之(清水啓之)
啓之は店にいる父・大黒を見つけ、入店し、
啓之「お父ちゃん、ただいま!」
大黒「おお、啓之。おかえり」
鮫島の息子で小学三年生の行人(生瀬行人)
行人は店にいる母・鮫島を見つけ、入店し、
行人「お母さん、ただいま!」
鮫島「行人、おかえり」
佐藤の娘で小学三年生のライラ(川筋ライラ)
ライ「…」
佐藤「ライラおかえり!」
ライ「ただいま…」
ライラは父親に対して何かしら不満を抱いている様子。
⑵
啓之「お父ちゃん、遊ぼ!」
大黒「よっしゃ」
行人「お母さん、遊ぼ!」
鮫島「何したい?」
子供の言うことを聞く親を羨ましげに見て、俯く、ライラ。
ライ「…」
2家族の様子を見ていた小西が鮫島親子に
小西「美男、美女」
続いて大黒親子に
小西「お尻、お尻」
啓之「お尻ちゃう!、ゴホゴホ(咳)」
小西「オナラやん!」
啓之「咳や!」
⑶
小西が行人に対し、
小西「身体小さいけど、学校で虐められたりしてない?」
デリカシーの無い質問をする、小西。
行人「大丈夫。いじめっ子が来ても、
小西「…?、脱いでみてくれる?」
行人が上着を脱ぐと、日焼けし鍛え上げられた上半身が現れる。
吉田「ムキムキやん!」
行人がボディビルダーのポージングを始める。
吉田「ポージングやめて!」
吉田「でも、凄い!」
鮫島「凄いでしょ? 毎日、腕立てを二回させてるのよ?」
吉田「たった!?」
小西が行人の横に立ち、肌の白い中年腹を見せ、
小西「お揃い」
吉田「見た目も色も真逆や!(苦笑)」
小西「毎日、腹筋を二回してる」
啓之がレジ棚付近に置かれた黒ヘルメットとお盆を手にし、
小西「被って?」
と、ヘルメットを行人に被せ、お盆の『底部分』
啓之「キャプテンアメリカ」
お盆の底に持ち手があるのは本来的にはおかしく、
キャプテンアメリカの盾の役割を果たすべくネタありきで用意され
小西が今度は佐藤にヘルメットを被せ、
小西「すげー!、キャプテンアフリカ」
佐藤「そんなキャラ、マーベルにおらん!」
小西「目ーベル」
⑷
啓之「お父ちゃん、キャンプ行きたい!」
大黒「行こう」
行人「お母さん、映画行きたい!」
鮫島「行きましょ」
子供の言うことを聞く親を羨ましげに見て、また俯く、ライラ。
ライ「…」
⑸
大黒が佐藤に対し、
大黒「ほな、行くわ」
大黒親子が去っていく。
クリーニング店前で立ち止まり、
大黒「バーベキュー楽しみやな! 1kg2万円の肉買うたる」
高級肉に興奮し過ぎた啓之は、
客席の方に顔を向け、声というよりは息を吐き出すように、
啓之「へーッ…!」
吉田「声出てない!(苦笑)」
大黒親子がクリーニング店に消えた。
⑹
鮫島が佐藤に対し、
鮫島「行くわね」
鮫島親子が去っていく。
上手端で立ち止まり、
鮫島「行人、(服の)前を留めなさい」
行人がボタンを留めようとするが上手くいかず、
行人「留まらへんから、このままでええわ」
と、そのまま下手袖に消える。
すると、幸恵が客席の方に顔を向け、啓之の真似で
鮫島「へーッ…!」
吉田「また!?」
鮫島も下手袖に消えた。
⑺
ライ「いいなあ、遊んでもらえて…」
ライラが父・佐藤に対し、
ライ「私も魔法少女メグルちゃんごっこがしたい」
佐藤「そういうの、苦手なんや…」
ライ「来月の誕生日にディズニーランドに行く約束は?」
佐藤「すまん。商工組合の仕事が入って行けんくなった」
ライ「お父ちゃん、約束守らへん!(涙)」
ライ「おやつも食べたらあかん!、ゲームもしたらあかん!(
佐藤「ライラ、直ぐに泣いたらあかんって言うてるやろ?」
ライ「お父ちゃんの子供に生まれたくなかった!(涙)」
ライ「お父ちゃん、大嫌いや!(涙)」
ライラが上手端通路に早歩きで消えていった。
様子を見ていた小西が
小西「仲良し」
吉田「どこがや!」
⑻
佐藤「まったく…」
佐藤がテーブル席に腰掛ける。
吉田「きっと、寂しいんですよ」
小西「休みは無いんですか?」
吉田「
佐藤「店が繁盛することが結局はライラのためになるんや」
佐藤「、子供には理解できんやろけどな」
吉田「ライラちゃんの寂しさを紛らわせるものがあれば…」
小西「家庭教師とかどうです?」
佐藤「それもええかもしれんな」
吉田「それやったら、音羽君と健太君はどうです?」
吉田「よく食べに来てくれてる、大学生のお客さん」
その4に続く