居間には、祐貴だけにしか見えていない幽霊・友見、一人。

上手端通路から花月ブライダルの社員・吉田と小西が現れる。
吉田と小西は幽霊の友見が見えておらず、二人で話し始める。
小西「アニキ。騙せそうですねニヤリ
吉田「しっ!上差し、静かに。 聞かれたら不味いえー
小西「すみませんアセアセ

吉田「みんな気付いてないようや。俺らが詐欺師ってことはニヤリ
友見『…!びっくり

小西「騙し取った金は何に使うんですか?」
吉田「そやな。パーマを掛けるニヤリ
小西が吉田のもじゃもじゃの髪を指差し、
小西「パーマやん!」
小西「カーリーやん!」
小西「実験失敗したやつやん!」
吉田「どんだけツッコミ入れるねん!(苦笑) 一ボケに一ツッコミって決まりや」

吉田「小西、お前は何に使うんや?」
小西「僕は貧しい子供にパンとワインを恵みますニコニコ
吉田「キリストかっ!」
小西「イエスニヤリ
吉田「上手いこと言うな!タラー」 笑い泣き

吉田「とにかく、家の人間には俺らが詐欺師ってことバレんようにえー
小西「分かりました」


幸恵の父・耕一、母・泰恵、妹・綾、弟・健太が上手端通路から現れる。

小西が耕一たちに、
小西「リハーサルは完っぺっきっですねアセアセ
台詞を噛んだ小西に対し、耕一が
耕一「あなたが完璧じゃないニヤリ」 笑い泣き
見事なアドリブで客席を沸かせる。

台詞を噛んだ理由について、小西が耕一に対し、
小西「あなたの顔がおもしろかったんで…ニコニコアセアセ
小西が下手なアドリブを入れたことに対し、
耕一「俺のせいにすなタラー」 笑い泣き

吉田「一旦、会社に戻ります」
吉田と小西が家を出ていった。


吉田と小西が詐欺師と知り焦る、友見。
友見『どうしよう!?ガーンアセアセ

耕一たちもやはり友見の姿も声も認識できないようで、
耕一が泰恵・綾・健太に対し、
耕一「昼飯どうしようか?」

友見が耕一たちにアピールする。
友見『大変、聞いて!ガーンアセアセ

しかし、耕一たちには友見の声は届かず、
耕一「洋食がええなニヤリ
友見が背後から、
友見『もうっ! しっかりし、ひょっとこ!!ムキーアセアセ
耕一が振り向き、
耕一「誰がひょっとこや!プンプン」 笑い泣き

泰恵「あなた、急にどうしたの?」
耕一「今、なんか声が聞こえたような…キョロキョロ

泰恵「和食も良いわね。中華も照れ
友見『気付いてよっ! 食べ物のことばっかり! この、白ブタッ!!ムキーアセアセ
泰恵「誰がっ…!プンプン」 笑い泣き
耕一「泰恵、どないしたんや?」
泰恵「今、何か言われた気が…キョロキョロ

神様が設けたルールは『友見を認識できるのは最初に会った人物(=祐貴)のみ』。
だが、友見の切迫感がルールの壁を打ち破りつつあるように見える。


声が聞こえると言う耕一と泰恵に対し、綾が
あや「二人とも体調悪いんじゃないの?」

短パンにアロハシャツ姿の健太が自分の体をさすりながら、
健太「僕も寒いな…」
耕一「服のせいや!」 笑い泣き

耕一「でも、やっぱり寒いなタラー
どうやら、幽霊の居る場所は気温が下がるよう。

友見『気付いて!アセアセ
しかし、誰も友見に気付かず、友美とは目線が合わない。
耕一の体が友見を弾き飛ばし、友見が床に倒れる。 笑い泣き
友見『当たってるのに何で気づかへんの!?アセアセ』 笑い泣き

耕一は友見とは目線を合わさないまま、倒れている友見を踏みつける。 笑い泣き

次に綾が友見とは目線を合わさないまま、小刻みに友見の背中に蹴りを入れる。 笑い泣き
友見『気付いてるでしょ!アセアセ』 笑い泣き

しかし、全員、友見には気付かない様子。
耕一「お昼食べに行こニヤリ
耕一「健太、どこがいい?」
健太「マクドナルドに行きたいな」
あや「えー、違うよーえー
綾は別のお店に行きたいのかと思いきや、
あや「、マクダーナルズニヤリキラキラ」 笑い泣き
耕一「発音かいっ!」

泰恵が最後にアドリブを加える。
泰恵「ポテトが無いのよね~」

4人がマクドナルドに向かった。

 

 



幽霊の友見、一人。

友見「どうしよう…?」
花月ブライダルの社員を名乗る吉田・小西が詐欺師であることを家族に伝えたいが
姿も声も認識されず、伝える方法が見当たらない。
幸恵を追いかけていった祐貴が家に戻れば、祐貴に伝えられるのだが…


幸恵と岩崎が(下手端まで)戻ってくる。
幸恵「ごめん、財布を忘れて」
岩崎「じゃあ、先に喫茶店に行って待ってますねニコニコ
今作は謎の青年・岩崎周りの台本が非常に甘く、この場面でも
一緒に家まで来ながら、財布を取る僅かな時間を待たないことに不自然さが残る。

が、次の場面の都合もあるのだろう。

岩崎が下手端で客席の方を向く。
独特の間の後、ブロック塀上部に右手を当て身体を支え気味にし、

物思いにふけるように、
岩崎「幸恵さん…」

そして、(客席から見て岩崎の右側に立つ)幸恵の方を見て、

岩崎「、また後で」


岩崎が喫茶店に向かった。

幸恵「…」
幸恵「苦手やわタラー」 笑い泣き
幸恵の発言は観客の声を代弁するようで、その場の笑いとしては盛り上がる。
だが、同時に岩崎とは恋愛関係に無いことが薄ら分かってしまい、
岩崎の正体を明かす場面を残しながら大きくブレーキがかかった瞬間にも見える。


幸恵が財布を取ろうと居間に上がる。
友見『花月ブライダルの二人、詐欺師なのよ!アセアセ

しかし、幸恵も友見を認識しておらず、そのまま箪笥に向かう。
友見『伝われへん!アセアセ

幸恵が箪笥の上の財布を取る。
幸恵「あったニコニコ

幸恵が立ち止まり、財布を見る。
(この場面は劇団コケコッコー寄りの重めの芝居)
幸恵「お婆ちゃんがくれた財布、大事に使ってるよ照れ
幸恵「祐貴さんは少し頼りないところもあるけど、いい人なの」
幸恵「お婆ちゃんも結婚式に来て欲しかったな」
友見は孫の言葉を黙って聞いている。

幸恵「でも、会いに来てくれるわけないか…ショボーン

幸恵「喧嘩別れが最後になるなんて思わなかった」
幸恵「なんで、お婆ちゃんに素直に謝られへんかったんやろ…ショボーン
幸恵が些細なこと友見に強く当たり、その直後亡くなったことが分かる。

幸恵が岩崎の待つ喫茶店に向かった。


友見、一人。

友見「あの子、そんなこと気にしてたんか。アホやな…照れ

友見がちゃぶ台の奥側に座ったところで、祐貴が戻ってくる。
祐貴「幸恵を見失ったタラー

友見「わぁーっ!!えーん(号泣)」
突然、友見がちゃぶ台に突っ伏し、号泣する。

幸恵の優しさを感じ、また、そんな幸恵に迫る危機に
何もしてやれない不甲斐なさを感じているのかもしれない。

祐貴「何で泣いてるの!?」
友見「しっかりしてちょうだい!(泣)」
友見は祐貴に八つ当たりするよりも、
花月ブライダルの吉田と小西が詐欺師であることを

祐貴に逸早く伝えるべきに思うが…


祐貴の親友レイが結婚式用のスーツ姿で現れる。 笑い泣き
レイ「あの男の人(=岩崎)、見つからんかったタラー

祐貴「スーツ、早い! 明日や!タラー
レイ「テンション上がっちゃって」
レイ「ネクタイで悩んだ」
レイ「沢山持ってきたんやけど、どれがいい?口笛
と、バッグから葬式用の黒ネクタイを両手で掴み取る。 笑い泣き

祐貴「何で黒やねん!」 笑い泣き


暗転
(吉本新喜劇の景オチとしては非常に軽く、場面転換の意味合いが大きい暗転)

 

 

その8に続く