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⑴
馬のパネルと同化した吉田、一人。
執念の張り込み捜査で辻本家の件は真実に辿り着いたが、
本来の目的、麻薬取引の捜査がまだ残っている。
荒木がカフェのある上手端通路から現れる。
運び屋の連絡先を入手したようで、直接電話をかける。
すると、中央奥通路からスマホの着信音が聞こえ、旅館オーナーの辻本が現れる。
辻本が電話に出て、
辻本「もしもし…」
吉田『えっ?』
荒木が辻本に気づく。
アキ「お前が運び屋か」
辻本「しっ。家族に知られると困るんで…」
辻本「それに刑事が捜査中やから」
荒木がロビーを見回す。
アキ「刑事って、どこや?」
吉田「ここやっ!!」
アキ「馬が喋ってる」
吉田「まだ気づかへんのか!」
ようやく、辻本と荒木がパネルの吉田に気付く。
⑵
騒ぎを聞き付け、カフェ通路から小西が現れる。
吉田「小西、二人を現行犯で逮捕や!」
小西「えっ!?」
『二人』に旅館オーナーの辻本が含まれていることに驚く、小西。
友見・響・直子・健太・信濃も中央奥通路から現れる。
※
補足
パネルに吉田が居ることを認識しているのは荒木・辻本・健太・小西の四人で、
他の登場人物にとっては『馬のパネル』でしかありません。
⑶
アキ「くそっ、こうなったら…!」
荒木がナイフを取り出し、直子を人質にし、上手端に移動する。
他の全員が下手玄関付近に移動し、吉本新喜劇の一般的な人質場面が出来上がる。
アキ「逃走用の車を用意せえ!、さもないとこいつがどうなっても知らんぞ!」
小西「待てっ!」
吉田「小西!」
小西「ここは俺が!」
小西「、助けに行く奴を選びます!」
吉田「お前が行かへんのかい!」
小西「警察呼んできます!」
吉田「お前や!」
小西が逃げるように去っていった。
⑷
(玄関付近にパネルと同化した吉田→←上手端に荒木・人質の直子、の立ち位置で)
吉田が馬のパネルから顔を出した状態で荒木の説得を始める。
吉田「そんなことして(=子供を人質にして)、恥ずかしくないんか!」
アキ「そんなことして(=顔出しパネル柄ら顔を出し続けて)、恥ずかしくないんか?」
吉田「刑務所に入って、綺麗な身体で出てこい!」
アキ「お前がパネルから出てこい」
吉田「今の姿、お袋さんが見たら泣くぞ!」
アキ「今の姿、お袋さんが見たら笑うぞ」
吉田「出とうても出られへんねん!」
アキが改めて、吉田が顔を出した馬のパネルを凝視し、
アキ「めっちゃリアルやな」
⑸
辻本が前に出て、荒木に対し、
辻本「直子は俺の命より大切な娘なんや!」
辻本「直子を傷つけたら許さんぞ!」
アキ「ほな、お前からやったらあ!」
荒木がナイフで辻本に襲い掛かるが、辻本がナイフを払い、荒木を殴り倒す。
⑹
隠れて様子を見ていたのか、小西が下手袖から現れる。
小西「そこまでや!」
吉田「タイミングええなあ!」
小西が荒木に対し、
小西「荒木!」
小西「銃刀法違反、ならびに何言うてるか分からん罪で逮捕する!」
小西が荒木に手錠を掛ける。
その9に続く