⒑
⑴
ヴァンパイア・シナキュラ伯爵
シナキュラの執事・モロミー
オオカミ男・ウルフ川ウル男(説明上、『烏川』表記)
3名。
烏川は拳銃を所持する強盗犯の目撃話を聞き、
シナキュラの恋について案を思い付く。
烏川「これ、使えるんちゃうかな?」
シナ・モロ「?」
烏川「伯爵が一目惚れした相手とくっ付くよう、一芝居打つんや」
烏川「強盗犯役が女性を人質に取って、伯爵が助けたら、助けられた女性は伯爵になびく」
シナ「でも、強盗犯の役は?」
烏川「それやったら俺がやる」
モロ「強盗は二人やから、自分もやりましゅ」
⑵
烏川の演技プランは
①犯人が女性を人質に取る
②犯人「強盗や! 金を出せ! さもないとこの女がどうなってもしらんぞ!」
③シナ「待て! その人は俺の命より大事な人なんや!」
④シナ「俺が相手や!、かかって来い!」
⑤殴り掛かってきた犯人役をシナキュラが返り討ちにする
⑥犯人が逃げる
⑦女性がシナキュラに感謝する
⑧シナキュラが告白
⑨二人が結ばれる
というもの。
⑶
シナ「一回、練習しましょ」
烏川「女性役は…」
左後方を見て、
烏川「頼むわ」
と、透明人間に女性役を依頼する。
シナ「ほんまに透明人間居てます?(苦笑)」
烏川「居てます」
練習スタート。
(モロ・烏川→←シナキュラ)の立ち位置で、
シナキュラがモロミーと烏川の間(=烏川の右隣)に女性が居る目線で、
シナ「待て! その人は俺の命より大事な人なんや!」
烏川「どこ見て言うてんの? 今、こっち(=自分の左隣)」
シナ「分かり難いんで、二人(=モロミーと烏川)の間に入ってください!(苦笑)」
モロミーと烏川が透明人間が入るだけの間を作る。
烏川「あっ、あっ!…、すなって!」
シナ「カンチョウされてますやん!(苦笑) なんなん!?、このノリ」
シナ「分かり難いから、モロミーが響ちゃん役やって!」
と、ここでシナキュラが咳き込み、お芝居が一旦止まる。
シナ「すみません、急に喉にちょっと…」
烏川「緊張感持って?(苦笑)」
烏川「本番がそれじゃ、相手に好きになってもらえない」
烏川が見事なアドリブでアクシデントを物語に繋げ、客席が盛り上がる。
⑷
告白の練習。
シナキュラが客席を見上げながら、
シナ「夜の星空をずっと見ていたら、最も美しい星を見つけた」
響役のモロミーの方を向いて、
シナ「それは君だ!」
モロ「ダサっ」
烏川「古臭い。今風のドラマで行こう」
烏川「こんなんはどうや?」
烏川『僕は死にません。あなたが好きだから』
シナ「滅茶苦茶古い! 『101回目のプロポーズ』でしょ!?」
烏川「大丈夫。グッと来るから」
①
告白の練習開始。
シナキュラが普通の言い方で、
シナ「僕は死にません。あなたが好きだから」
烏川「あかん。もっと感情を込めて」
烏川「ドラマに寄せる感じで」
シナ「そっちに寄せるんですか!?」
②
シナキュラが感情を込めて、
シナ「僕は死にません!、あなたが好きだから!」
烏川「中途半端」
烏川「武田鉄矢で。武田鉄矢が降りてきた感じで」
③
シナキュラが武田鉄矢のモノマネをしながら、
シナ「僕は死にましぇん!、あなたがぁ好きだからぁ!」
すると、響役のモロミーも武田鉄矢風に頭を振りながら、
モロ「私もぅ、好きでぇ~しゅ」
シナ「武田鉄矢になった!」
烏川「気持ち引っ張られたら、そうなる」
シナ「ほんまに!?」
一通り練習が終わる。
⑸
シナキュラが犯人役について、
シナ「顔を隠した方が」
モロ「それやったら、フロントの忘れ物置きでハロウィングッズを見たかも…」
モロミーがフロントカウンターからハロウィングッズを取り出す。
烏川がオオカミ男のマスクを、モロミーがフランケンシュタインのマスクを被り、
二人ともオモチャのナイフを持つ。
⑹
烏川が奥に呼び掛けると、上手端通路から響と珠代が現れる。
烏川がシナキュラに、
烏川「どっち?」
シナ「可愛い方!」
すると、烏川は珠代を人質に取り、モロミーと共に下手端に移動する。
シナ「違う!」
烏川「ちゃうの?」
烏川「返品や!」
と、珠代をシナキュラのもとに返し、響を人質に取り直す。
(下手端にモロミー・響・烏川→←上手端にシナキュラ・珠代、の立ち位置で)
烏川「強盗や! 金出せ! さもないとこの女がどうなってもしらんぞ!」
シナキュラが台詞を言おうとしたその時、清水が中央奥通路から現れ、
清水「待て!、その人は俺の命より大事な人なんや!」
咲方「えっ、清水さん…」
シナ「気持ち動いてるやん!」
清水が烏川たちに対し
清水「俺が相手や!、かかって来い!」
殴り掛かる烏川やモロミーを清水が返り討ちにし、二人が逃げ去る。
清水が響に対し、
清水「大丈夫?」
咲方「私のためにありがとう」
清水がオーバー気味に武田鉄矢のモノマネをしながら告白する。
清水「僕は死にましぇん!、あなたがぁ好きだからぁ!」
すると、響の気持ちが引っ張られたのか、武田鉄矢風に頭を振りながら、
咲方「私もぅ、好きでぇ~す」
清水が響を抱擁する。
シナ「…」
一芝居がおかしな方向に動き、清水と響が結ばれてしまった。
清水「響ちゃん、向こうでゆっくりしようか」
響が頷く。
清水と響が上手端通路に消えた。
様子を見ていた珠代も清水の告白に気持ちが引っ張られたのか、武田鉄矢の真似で
珠代「このバカチンが~!」
シナ「お前もかっ!!」
イベント『逆転新喜劇』でも見られた珠代のボケがオチとなり、暗転
その8に続く