⒍
⑴
新人アルバイト・茂造
番頭・高井
オーナー・要
オーナーの息子・健一
20代半ばの宿泊客・佳介
手島組組長・手島
組員・玉置
雇われボディガードの白髪老人・平山
8名。
佳介の彼女・彩花がトイレを済ませ、上手端通路から戻ってくる。
彩花が手島を見て、
彩花「お父さん!」
手島「彩花!」
彩花は手島組組長の娘だった。
佳介が驚き、焦り、手島に聞こえないように小声で彩花に対し、
佳介「彩花さんのお父さん、ヤクザの組長やったんか!?」
彩花「ごめんなさい!、言い出せなくて」
⑵
手島「彩花、こんなところで何してるんや?」
茂造が独り言のように、
茂造「恋人と旅行」
手島「恋人と旅行やとーっ!? どいつや!ぶち殺したる!」
すると茂造が佳介に近づき、
茂造「佳介君、隠れた方がいい!()」
茂造のせいで、手島が気付いてしまう。
手島が佳介に対し、
手島「お前か! 誰の娘と付き合うてくれとんや!」
佳介が勇気を出して手島の前に行き、挨拶する。
佳介「はじめまして!」
佳介「彩花さんと結婚を前提にお付き合いさせていただいております!」
手島「結婚前提やとーっ!? 可愛い彩花に手を出しやがって!」
手島「髪の毛、引きちぎったる!」
手島が佳介の髪を掴み、佳介が痛そうにする。
彩花「お父さん、やめて!」
彩花が二人の間に入り、二人を引き離す。
手島が玉置に対し、
手島「おい!、やってまえ!」
玉置「へいっ!」
玉置が佳介の胸ぐらを掴み、殴り掛かろうとすると、
今度は番頭・高井が
高井「暴力はやめてください!」
と二人の間に入り、二人を引き離す。
⑶
ここで、白ドレス姿の美由紀(たかおみゆき)が旅館にやってくる。
美由「すみません…」
佳介「お母さん!」
美由「佳介!」
佳介「なんでこんなところに?」
美由「恋人と旅行中なの」
佳介「恋人と旅行やとーっ!? どいつや!ぶち殺したる!」
すると手島が佳介の前に行き、挨拶する。
手島「はじめまして!」
手島「美由紀さんと結婚を前提にお付き合いさせていただいております!」
佳介「結婚前提やとーっ!? 可愛いお母さんに手を出しやがって!」
茂造「(美由紀の)どこが可愛いねん!」
佳介は茂造には構わず、
佳介「髪の毛、引きちぎったる!」
佳介が手島の髪を掴もうとするが、手島には頭髪が無く、
頭を掴もうとすると指が滑ってしまい、何度も何度も掴もうとする。
茂造「頭皮マッサージやないか!」
美由「佳介、やめて!」
美由紀が二人の間に入り、二人を引き離す。
佳介が茂造に対し、
佳介「おい!、やってまえ!」
茂造「へいっ!」
茂造が手島の頭を叩く。
すると、平山がゆっくり歩いて手島の前まで来て、茂造から手島をガードする。
平山「危ない」 ← 茂造に頭を叩かれるから
茂造「遅い!」
佳介は手島組組長の娘と、手島は佳介の母親と付き合っていることが明らかになり、
佳介も手島もお互いに交際に反対する状況が出来上がる。
⑷
手島が彩花に話し掛ける。
手島「組を継ぐはずやった源太郎は家族を捨てて出ていった」
手島「だから、彩花。お前が組を継ぐんや、若頭の相原と結婚してな」
彩花「そんな…!」
手島「相原以外との結婚は認めんぞ!」
彩花「…」
玉置が手島に対し、
玉置「若頭ももう直ぐ到着すると思います」
⑸
身長190cmほどの屈強そうな若頭、相原(あいはらたかし)が黒スーツ姿で現れる。
相原「遅くなりました!」
茂造「でかっ!」
手島「相原、わざわざ来んでも…」
相原「組長のことが心配で」
相原の視界に彩花が入る。
相原「お嬢さん。どうしてここに?」
茂造が独り言のように、
茂造「彼氏と旅行」
相原「彼氏と旅行やとーっ!?」
佳介が勇気を振り絞り、相原の前に行く。
相原「お前か!」
慌てて茂造が二人の間に入る。
茂造「暴力はやめてください!」
(相原→茂造→←佳介、の立ち位置になる)
だが、二人の視界に茂造はいないようで、佳介が相原に対し、
佳介「彩花さんは僕が幸せにします!」
すると相原が茂造の耳元で大声で、
相原「じゃかあしいわ、こらーっ!!!」
茂造「わぁー!!」
茂造が驚きの声を上げる。
茂造「声、大きすぎるってー! 声量が強すぎる!」
茂造「今ので心臓麻痺で死んだらどうするの?(涙)」
茂造「何事件?、『じゃかあしいわ、こら』殺人事件?(涙)」
茂造「なあ?(涙)」
相原は茂造の問いには答えようとしない。
茂造がかつて奥重座員相手に仕掛けていた唇ピロピロ攻撃を相原に仕掛ける。
が、相原は無愛想な表情を全く変えず、茂造がピロピロ攻撃を止める。
茂造が佳介に対し、
茂造「あいつ(=相原)、全然笑えへん。(苦笑)」
⑹
彩花が相原に対し、
彩花「彼は何も知らなかったの!」
彩花「私は佳介さんを愛しています!」
しかし、手島の反応は
手島「二人の結婚は認めん!」
今度は美由紀が佳介に、
美由「私は(手島)英治さんを愛しているの」
佳介「二人の結婚は認めん!」
相原「組長に向かってなんちゅう口を聞いとんや!」
玉置が相原に、美由紀と佳介の関係性を告げる。
玉置「美由紀さんの息子なんです」
相原「えっ?」
振り上げた拳の持って行き場がなくなる、相原。
⑺
一先ず、客室で話し合いをすることになる。
高井「階段でどうぞ」
相原「玉置。龍神組の襲撃に備えて、部屋の間取りを確認するぞ」
玉置「へいっ!」
相原と玉置が階段を上り、続いて佳介や彩花・美由紀も階段から部屋に向かった。
手島「相原たちは心配し過ぎや。ハッハッハ!」
手島が階段を上り切るところで、茂造が杖で壁を叩くと、
階段が坂になり、手島が綺麗に滑り落ちる。
高井「なんで落としたんや!」
茂造「みんな(=観客)が期待の目で見るから」
すると、平山がゆっくり歩いて手島の前まで来て、茂造から手島をガードする。
平山「危ない」←茂造に階段から落とされるから
茂造「遅い!」
高井が下手寄り奥通路を指し示しながら、手島に対し、
高井「こちらからも行けますので」
手島と平山が客室に向かった。
⑻
階段が坂になる仕掛けに驚く、オーナーな要。
要冷「なんや、これは!?」
茂造「防犯システム」
要冷「、ならOKや」
高井「いいんですか!?」
要が頷く。
その5に続く