⒋
⑴
新人アルバイト・茂造
番頭・高井
シェフ・永田
オーナー・要
オーナーの息子・健一
5名。
要たちが手島組のことで気を引き締めているところに、
20代半ばのカップル客、佳介(吉田佳)と彩花(村崎真彩)がやってくる。
佳介「予約していた吉田です」
高井に促され、佳介がテーブル席下手側に、彩花が上手側に座る。
彩花「こんな素敵な旅館に佳介さんと泊まることができて、幸せ」
佳介「僕も」
次の瞬間、茂造が彩花の顔の横(=肩上)に顔を近づけ、
茂造「ワシも」
彩花が驚き、佳介が怪訝な表情で茂造を見る。
高井「参加すな!」
⑵
従業員が佳介たちに自己紹介する。
高井「番頭の高井です」
永田「シェフの永田です」
茂造「金メダル噛み雄です」
時事ネタを入れる茂造。
高井「どこかの市長やないか!(苦笑)」
茂造「アルバイトの茂造や」
茂造が言い直す。
要や健一も自己紹介する。
⑶
永田が佳介たちに、
永田「シャンパンはディナーでご用意しておりますので」
茂造「シャンパンって、何かお祝い事でも?」
佳介「付き合って一年になるんです」
茂造「ああ、それで」
佳介「先日、プロポーズもOKしてくれました」
茂造「そこまで聞いてない」
マイペースな茂造に困惑する、佳介。
⑷
高井が茂造を呼びつけ、
高井「茂造さん、お祝いサービスのマニュアル、覚えてきてる?」
茂造「ばっちり」
茂造が彩花に対し、
茂造「お祝いでケーキもご用意しております」
茂造「大にしますか?、小にしますか?」
彩花「では、大で」
茂造「大ですね」
茂造「お召し上がりですか?、それともお部屋にお持ち帰りですか?」
彩花「では、部屋の方で」
茂造「お持ち帰りですね」
ここで、彩花が
彩花「あの、お手洗いはどちらに…?」
健一「お手洗いはあちら(=上手端通路奥)です」
彩花が通路に向かおうとして、茂造が彩花に尋ねる。
茂造「大ですか?、小ですか?」
高井「聞くな!」
彩花「…」
彩花「大です」
高井「言わなくていいです!」
茂造がしつこく尋ねる。
茂造「お持ち帰りですか?」
高井「持ち帰るわけないやろ!」
すると、茂造が歓喜の表情で客席を見て、
茂造「お召し上がりですかー!」
⑸
彩花がトイレに行き、少ししてから『ジャー』と水を流す音が聞こえてくる。
続いて、『ブー!、ブブブブブ、プー!、ブッ!、ブブーッ!』と
遠慮の無い大きなオナラの音が聞こえ、皆が気まずそうにする。
オナラは次第にリズミカルになり、ついには笑点のテーマを奏で始める。
『♪ブッブブ ブブブブッ、プープー!』
『♪ブッブブ ブブブブッ、プープー!』
ここで茂造がスマホを取り出し、
茂造「もしもし?」
高井「着メロかい!」
高井「なんなん?、このオナラ笑点。(苦笑)」
(客席が盛り上がり)
茂造「喜んでもらえて良かった」
⑹
ここで、永田が夕食の調理のために上手端通路から厨房に向かう。
⒌
⑴
新人アルバイト・茂造
番頭・高井
オーナー・要
オーナーの息子で旅館の後継ぎ・健一
宿泊客・佳介
5名。
ドラゴンボールの道着を意識したオレンジスーツの男・玉置(玉置洋行)が現れる。
玉置「邪魔すんでー!」
高井「邪魔すんやったら帰ってー」
玉置「あいよー!…って、なんでやねん!」
玉置「こっちは用があって来とんや!」
玉置「予約している手島や」
全員「…!」
⑵
玉置「組長、どうぞ!」
玉置が下手袖通路方向に呼び掛けると、
手島組組長の手島(手島英治。普段は辻本班の演出家)が現れる。
中年の手島は頭部がツルツルとしており、
茂造「禿げたオッサンやないか!」
茂造の発言に玉置が怒り、椅子に座っている佳介にも怒鳴り散らす。
玉置「そこ、どかんかい!」
佳介が慌てて席を立つ。
手島「玉置!、カタギさんに迷惑をかけんな!」
手島には分別がある様子。
手島が椅子に座ると、玉置に対し、
手島「ワシの警護とは大袈裟やのう」
玉置「いや、いつ龍神組が襲撃してくるか分かりませんから!」
手島「恋人との旅行の時くらい、一人にさせてくれよ」
玉置「そういうわけには行きません。凄腕のボディガードも雇いました」
⑶
玉置が下手袖にいるボディガードを呼ぶと、
白髪の老人・平山(平山昌雄)が弱った足腰でガニ股でゆっくり歩きながら現れる。
茂造「死にかけやん!」
茂造「こんなんで大丈夫なんか!?」
と、椅子に座る手島の頭を叩く。
手島「痛っ!」
玉置「組長に何するんや!」
茂造「心配してんねん」
すると、平山がゆっくり歩いて手島の前まで来て、茂造から手島をガードする。
平山「危ない」 ← 茂造に頭を叩かれるから
茂造「遅い!」 ← 既に頭を叩き終わっているから
と、平山の頬を叩く。
平山「…」
平山「痛い」
茂造「それも遅い!」
茂造が平山の口元を見て、
茂造「よだれ垂らしてるやないか!(苦笑)」
茂造「ホンマに大丈夫か?(苦笑)」
玉置「こう見えて、数々の要人を警護してきたスペシャリストです!」
⑷
と、ここで目出し帽姿の男(松本慎一郎。宿泊客の松本とは別人で二役)が現れ、
手島に銃を向ける。
目出「手島、死ねーっ!」
すると、ボディガード・平山は手島を守ろうとせず、
先程までのゆっくりした歩き方が嘘のように、ダッシュで上手端通路に逃げる。
番頭・高井が代わりに撃たれてしまい、倒れ込み、動かなくなる。
目出し帽姿の男が逃げ去っていった。
オーナー要ら旅館の人間が高井のもとに駆け寄る。
要冷「番頭さん!」
健一「番頭さん!」
茂造「番頭さーん!(悲)」
全員が項垂れ高井の死を悲しんだところで、
茂造「、はいOK」
蒲田行進曲のテーマが流れ出し、高井が立ち上がり、
映画のエンディングのように要・健一・茂造・高井が手を繋いで踊り出す。
踊り終わり、
玉置「なんやこれは!」
茂造「防犯訓練や」
玉置「さっきの奴は!?」
高井「劇団の役者に依頼しました」
玉置「役者?」
茂造「劇団春夏秋冬」
玉置「劇団四季ちゃうんか!」
茂造「いや。劇団春夏秋冬」
タチの悪い防犯訓練に玉置が激怒する。
手島「玉置。ワシのためを思うてしてくれたことや」
玉置が気持ちを鎮める。
そこに、先程真っ先に逃げた平山がガニ股でゆっくり歩いて戻ってきて、
手島の前でガードし、
平山「危ない」 ← 目出し帽の男に銃で狙われているから
茂造「遅い!」
平山はボディガードとして全く役に立たないように見える。
その4に続く