⒕
⑴
新人アルバイトの茂造・アキコ夫妻、番頭・大島
オーナー・清水、長男・佳輔、末っ子・景子、景子の彼氏・英治
佳輔の彼女・サキ
うどん屋の俊彦、俊彦の妻・幸恵、俊彦の母・美由紀
うどん屋アルバイト・レイ、レイの元カノで清水家次男・キャンディ
が次々と現れた直後。
今度は、下手端旅館入り口通路からエムワイカンパニー・吉田が現れる。
茂造「来たーっ!」
口では呆れつつつも、実のところ、嬉しそうな茂造。
吉田が清水に対し、
吉田「オーナー!」
吉田「土地を売る気になりましたか?」
茂造「笑いを取る気になりましたか?」
清水「何度来られても、売れません」
茂造「何度来られても、笑いは取れません」
吉田「ジジイ、黙れ。(苦笑)」
⑵
今度は、下手端旅館入り口通路からNGK金融の平山と北代が現れる。
(平山がタネキャッチに成功した回では、登場時に茂造「おっ!、チャンピオンや」)
平山が佳輔に対し、
平山「五十嵐サキの代わりに一千万、払うてもらおうか」
佳輔「一千万なんて急には無理です」
吉田が佳輔に対し、
吉田「お困りのようですね」
吉田「私が立て替えましょうか?」
吉田「勿論、旅館の土地ょっとちょっと、売ってもらうことが…」
台詞を噛んだ吉田に対し、茂造が、
茂造「『ちょっとちょっと』ってなんやねん!」
吉田が言い直す。
吉田「勿論、旅館の土地を売ってもらうことが条件ですが」
平山が吉田に対し、
平山「世の中には親切な人がいるもんですね()」
平山「私の方は払ってくれさえすれば、誰からでもええんです()」
吉田が清水に対し、
吉田「土地を売っていだけますでしょうか?」
清水「売りません!」
平山「なら、一千万、どうすんじゃ!」
清水「…」
清水「分かりました。少しお待ちください」
清水が何かを取りに上手端通路に消える。
⑶
清水が通帳が入った袋を持ち、戻ってくる。
息子の代わりに、一千万全て返済するのかと思いきや、
清水「500万円が入った通帳です」
清水「金庫に二冊(=一千万)入っていたはずなんですが、一冊しか見当たりません」
清水「今日中に探して、明日にはお支払いしますので…」
平山が清水の声を遮るように、
平山「500万足っらんやっ、ないかい!」
肝心なところで喉に何かが引っ掛かった様子の平山。
茂造「なんで、痰絡んどんや! 発生練習してんちゃうんか!(苦笑)」
茂造が平山たちに対し、
茂造「猿芝居はもうええ!」
茂造「ブルー・レッド・シルバー(服)、ほんでアザラシ、こいつら全員グルや!」
佳輔「グル!?」
茂造「えっ!?」
なぜか驚く、茂造。
大島「自分で言うたんやろ!」
⑷
佳輔がサキに共謀話を確認する。
佳輔「サキさん、ほんまか!?」
サキが汚らわしいものを見るような目で平山たちを見て、
サキ「こんな人たち、知らないわ!」
茂造「白々しい! 全部録音しとる!」
茂造がスマホを掲げ、自信満々に再生ボタンを押す
先程のサキたちの会話が再生される。
吉田『どや?、サキ』
サキ『払えそうにないわね』
平山『よし、計画通りや』
北代『ありもしない借金をでっちあげ、清水佳輔に全てを背負わせる』
吉田『払えない一千万を私が立て替え、旅館を安く買い叩く』
平山『報酬はたんまり頼んまっせ?』
吉田『分かってます。へっへっへっへっ』
北代『へっへっへっへっ』
平山『へっへっへっへっ』
サキ『アッハッハッハッ!』
サキの高笑いの後、
『ブーッ』
サキ『…、ごめんなさい』
吉田・平山・北代『くさー!』
茂造「これが証拠や!」
証拠を突き付け得意げな表情を浮かべる茂造。
吉田・平山・北代・サキ「…」
だが、再生はここでは終わらない。
茂造『…なかなか開かへんな』
『カチッ』
アキ『開いたわよ?』
茂造・アキ「…?」
茂造とアキコが焦り始めるが、音声は続く。
茂造『通帳、二冊あるな』
アキ『一冊残して置いた方がいいんじゃない?』
茂造『確かに、その方がバレにくいかもな』
茂造・アキ『ほんまやね~!』
録音された言葉に合わせて、
茂造・アキコが客席に向けて無言で『ほんまやね~』ポーズを決める。
『カチッ(←金庫に鍵が掛かる音)』
再生が終わる。
清水「盗んだん、お前らか!」
茂造・アキ「…」
清水「返せ!」
茂造が茂造ポーチから通帳を取り出し、清水に渡そうとする。
だが、茂造はなかなか通帳から手を離さず、清水が強引に取り上げる。
茂造「ワシらの退職金が~…」
清水「退職金ちゃう!」
⑸
吉田がドスを取り出し、恐喝する。
吉田「土地、売らんかいっ!」
次の瞬間、バレリーナ姿の玉置が2階階段から、
同じくバレリーナ姿のゆうが上手端通路から、
警察官の松本が下手端旅館入り口通路から、一斉に現れ、
玉置「そこまでや!」
玉置・ゆう・松本が警察手帳を見せる。
玉置「大阪府警や!」
玉置が旅館の人間に、
玉置「説明しましょう!」
次の瞬間、茂造が壁を杖で「ドンッ!」と叩く。
階段が坂になり、玉置が滑り落ちる。
玉置「ぎゃーっ!!」
なぜか下手端の壁が開き、玉置が吸い込まれ、壁が閉まる。
客席は大盛り上がりに
大島が茂雄に、
大島「この扉も作ってたんか!」
茂造「うん(可愛く)」
玉置が下手端旅館入り口通路から慌てて戻ってくる。
玉置「説明しましょう!」
玉置「頻出する詐欺グループの決定的証拠を掴み、一網打尽にするため、」
玉置「客を装い潜入捜査しておりました!」
しかし、玉置はバレリーナ姿をしているため、
茂造「目立ちすぎやろ!」
とにかく、玉置・ゆうは大阪府警の潜入捜査官だった。
⑹
佳輔がサキに、
佳輔「サキさん、騙してたんか!?」
サキが悪人顔になり、
本来なら「フッフッフ アッハッハ アーッハッハッハ!」と高笑いするところ、
サキ「フッフッフ アハ、ハーハハ!」
サキのおかしな笑い方に、客席でも舞台上でも大爆笑が起こる。
ここは茂造がサキの笑いに追随し、大島に突っ込まれる場面であるため、
茂造が笑いを堪えながら、サキの笑いに合わせて笑う。
茂造「アハ、ハーハハ!(半笑)」
サキ「…?(半笑)」
大島「なんであんたが笑うんや!(半笑)」
当然、ツッコミも決まらないが、サキのおかしな笑い方を起点に大きく盛り上がる。
茂造「アザラシ、凄い笑い方やな。(苦笑)」
⑺
吉田・平山・北代・サキが上手端通路に逃げようとするが、
ゆうが両手で拳銃を構えて進路を塞ぐ。
ゆう「逃がさない!」
ゆうはお尻を突き出し、非常に低い姿勢で拳銃を構えていて、
吉田「変な構え方やなあ」
ゆう「いつもこうなのよ!」
吉田「おかしいって」
ゆう「じゃあ、やってみてよ?」
と、犯人の吉田に拳銃を渡してしまう。
大島「渡すなー! アホやろ。(呆れ)」
⑻
拳銃を持つ吉田が威嚇し、オーナー清水を人質に取り、上手端に移動する。
上手端に詐欺グループの吉田・平山・北代・サキ、人質のオーナー清水、
下手端にその他全員、
一般的な人質場面が出来上がる。
その17に続く