⒐
⑴
諸太郎
屋台の大将・吉田
吉田のストーカー・直子
三名。
吉田が直子に手を焼いていると、
イタリアンを食べに出掛けていた宿泊客の上人・美優が
誰かから逃げるようにして戻ってくる。
吉田「どうかしたんですか!?」
上人「ヤクザに追いかけられてる!」
吉田「どうして、また!?」
上人「街中で車が違法駐車していて、」
上人「『調子乗んなよ!』って言ったら、車からヤクザが出てきたんです!」
吉田「なんでそんなこと言ったんですか!?」
上人「彼女の前でカッコつけようと…」
⑵
諸太郎が上人に対し、
諸太「旅館に隠れて!」
諸太郎の言葉に甘え、上人と美優が旅館に駆け込もうとするが
諸太郎が道を塞ぐ。
諸太郎は偉そうな態度で親指と人差し指で円を作り、
上人に対し、無言で口止め料を要求する。
上人「えっ、お金?」
諸太「シャチュ(=札)や」
上人「札!?」
ここで、人の気配を察知した美優が下手袖方向を見て、
美優「ヤクザが来たわよ!」
上人と美優は諸太郎を無視し、旅館に逃げ隠れた。
⑶
チンピラヤクザのヒロが早足でやってくる。
上人たちを追いかけていたのはヒロらしい。
(ヒロ→←諸太郎・吉田・二人に隠れる位置で直子、というポジションで)
ヒロ「おい、カップル見たやろ!?」
諸太「見たよ」
ヒロ「どこ行った?」
口止め料を貰えず終いの諸太郎は二人の居場所を教えるかと思いきや、
諸太「(コブダイは)海に帰って行った」
吉田「信じるわけないやろ!」
ヒロ「、それやったらしゃあないな」
吉田「信じた!」
⑷
ヒロ「ほな、大将、ショバ代払えや」
吉田「何でそうなるんですか!?、一週間待つ言うてたじゃないですか!」
ヒロ「知らん!」
ヒロは上人と美優のことはすっかり忘れた様子。
・悪い出来事 (一週間後の約束を翻す、みかじめ料の催促)
⑸
ここで、直子が前に出る。
直子「もう、さっきから、お兄ちゃん!」
ヒロ「直子!」
ヒロと直子は兄妹だった。
諸太郎が顔だけ客席を向き、
諸太「やばーいねー!」
直子がヒロに対し、
直子「お兄ちゃん、彼氏の圭吾に何の用よ?」
ヒロ「こいつ、直子の彼氏?」
ヒロが吉田に対し、
ヒロ「ほな、ショバ代、要らんわ」
⑹
直子「お兄ちゃんが私たちのことを認めてくれた」
直子「直子、嬉しい!」
直子「お兄ちゃーん!!」
直子がヒロに抱きつこうとすると、
抱擁を拒絶するヒロは拳銃を取り出し、躊躇無く直子に弾丸を放つ。
『パンッ!』と火薬音がした後、直子がゆっくりと倒れる。
吉田「射殺、初めて見た」
ヒロ「空砲や!」
何事も無かったかのように、寝起きのようにゆっくり立ち上がる、直子。
直子「お兄ちゃん、やめてよ」
⑺
ヒロ「直子。今日、飯行く約束してたな」
ヒロ「今から行こか」
直子が吉田に対し可愛らしく、
直子「じゃあね」
吉田「…」
直子「お兄ちゃん、行こう」
直子がヒロに近づこうとすると、
ヒロはまた拳銃を取り出し、直子に向け「パンッ、パンッ!」と二発発射する。
そして、去って行った。
ゆっくり倒れ、何事も無かったかのようにゆっくり立ち上がる、直子。
直子も去っていった。
吉田「普通に帰るんかい!」
直子の一方的な交際発言でショバ代を免除された吉田。
これは悪い出来事なのか、良い出来事なのか?
それとも、ヒロ・直子兄妹の存在自体が悪い出来事なのか?
判断し辛いが、いずれにせよ、後々一悶着あるように思える。
・悪い出来事or良い出来事? (直子の一方的な交際発言によるみかじめ料免除)
⒑
⑴
諸太郎
屋台の大将・吉田
二人。
諸太郎が直子について、
諸太「また、来るかも…」
吉田「その時は『付き合わん』ってはっきり言う」
諸太「そしたら、ショバ代を払わされる」
吉田「…」
苛立ちを隠せない、吉田。
吉田「一喜一憂して、身がもたん!」
吉田「せめて次のことが分かれば…」
諸太「そうや!」
と、吉田の頭をげんこつで叩く。
本当に当たったのか、少し痛そうな表情を見せる、吉田。
吉田「…っ!、何するんや!(苦笑)」
諸太「感謝して?」
吉田「えっ?」
諸太「良い事が起きたら、僕がどつく(=悪い出来事を起こす)」
諸太「そしたら、良い事しか起こらない」
諸太「僕がコントロールしてあげる」
吉田「そんな上手いこといかんて!」
既に良い→悪い→良い→悪いの法則が乱れ悪い出来事が連続したり、
良くも悪くも取れる出来事に遭遇しており、
諸太郎のアイデアは今後の出来事のコントロールとしても、新喜劇の笑いとしても
効果が怪しげに映る場面。
⑵
そこに、吉田の彼女・幸恵が弁当を作って持ってくる。
幸恵「お弁当を作ったの」
吉田に弁当を渡す、幸恵。
吉田「幸恵ちゃん、ありがとう」
幸恵「お父さんを説得して、連れてくるわね!」
幸恵が去っていった。
・良い出来事 (幸恵のお弁当)
諸太郎が吉田に対し、
諸太「良い事が起きたでしょ?」
諸太郎は今度はマキザッパで吉田の頭を何度も叩く。
吉田「痛い痛い!、やめろ!」
⑶
そこに、食品メーカーの椎森が現れる。
もり「大将!、今回の契約に上司も満足で、」
もり「通常、大将の取り分は売上の10%なのですが、特別に30%になりました!」
吉田「ほんまですかー!、ありがとうございます!」
もり「また、来ます!」
椎森が去っていった。
・良い出来事 (カップ麺契約の報酬上乗せ)
※
補足
大将はラーメン屋台を今日始めたばかりで、
評判も出回って無ければ、ラーメンすら食べていない上司は何を根拠に契約に満足したのか不明です。
仮に詐欺ならば、双方お粗末に見えます。
大将が人気ラーメン屋台の店主の設定であれば、筋が通るのですが。
⑷
諸太郎が吉田に対し、
諸太「良い事が起きたでしょ?」
吉田「ほんまやな!」
諸太郎のアイデアを受け入れ始める、吉田。
諸太「もっと、良い事が起きるように、」
諸太「うりゃーっ!」
と、屋台の長椅子を両手で抱え上げ、吉田の頭に振り下ろさんと狙いを定める。
吉田「死んでまうわっ!!、それは…(絶句)」
暗転
(長めの第一景が終了)
その8に続く