良曲が非常に多い、ケミカル・ブラザーズ。

 

楽曲単位ではなく、(コンセプト・)アルバムとして見ますと、
7thアルバム『Further』と並んで好きな作品が4th『Come With Us』です。

最近、すっかりランニングのお供になっています。

 

 

Track1 『Come With Us』
 

 

広大な宇宙に放り出されたような感覚の、壮大なオープニング曲。

「これから何が始まるのだろう!?キョロキョロおねがい爆  笑キラキラ
一曲目はリスナーに期待感・ワクワクを抱かせる必要がある非常に重要なポジションで、
その意味でも完璧な楽曲ではないでしょうか。

 


余談。
吉本新喜劇アキさんの『Joy!Joy! エンタメ新喜劇』のプロローグにも同様の感覚を抱いています。

 

 

Track2 『It Began In Afrika』


 

一転して、原始的なリズムに。

多種多様な楽曲で構成されていて、
楽曲単体でも曲調変化に富みながら、
アルバム全体としては統一感がある『Come With Us』。

その統一感の正体は躍動感あふれるリズムではないでしょうか。
今作の起点はこの楽曲にあるのではないかと考えています。


Track3 『Galaxy Bounce』

 

 

二曲目からシームレスに展開する三曲目。

ヒップホップ色濃いめですね。

 

曲と曲、リズムとリズムが上手く繋がっていることも

アルバムの統一感を高めている要因でしょうか。

 


Track4 『Star Guitar』

 

 

またまた、宇宙を感じさせる楽曲。
ただ、『Star Guitar』は光になって軽やかに宇宙を駆け巡っている感覚でしょうか。

アルバムを序盤・中盤・終盤に分けると序盤を締めくくる曲に当たり、
アルバム全体として見ると分かり易いバラード曲ポジションに当たる印象です。

 

先ずここまでの4曲が強烈ですね。

 

歌詞は
♪You should feel what I feel
♪You should take what I take
のみです。
 
「さあ、君も私と同じものを感じ、受け取るんだ」と
意味があるのか無いのか、なんともブルース・リー的で、
詩だけでは楽曲を到底理解できませんが、
詩よりも音から浮かび上がる映像を映画のように楽しんでいます。
多くを語らず、聴き手に解釈を委ねる辺りもケミカル・ブラザーズの魅力ですね。


 

Track7 『The State We're In』

 


中盤の5~7曲目は意図的なクールダウン。

変化球&静かなパートです。
と言っても、捨て曲無しで、しっかりとリズムもあります。

 

この中盤が再加速する終盤に効果的に働いています。

 

今や、ケミカル・ブラザーズ=浮遊感のある女性ボーカルのイメージですが、
女性ボーカル曲が明確に増え始めたのが今作ですね。

 

Track8 『Denmark』

 


終盤。

アルバム中でも特に目紛しく曲調が変化する、8曲目。
短いパートを繰り返す初期アルバムとの違いがよく理解できる楽曲です。

 

Track9 『Pioneer Skies』

 

 

一切無駄なく続いた8曲を受けて、
聴き手の高揚感をマックスにする最終曲。

 


…と言いたいところですが、
木に竹を繋ぐように異質な曲がこの後一曲用意されています。苦笑

リチャード・アシュクロフトがボーカルを務めるTrack10 『The Test』は
曲単体では素晴らしいのですが、アルバムとして見ると浮いているように感じます。

個人的にはボーナス曲と位置付け、プレイリストで別枠にし、
アルバムを『Pioneer Skies』で終わりにしています。

気になった方がいれば、1~9曲目まで通しで聴いてみてくださいね。

 

 


DL主体・シングル主体・動画主体の時代になり、
アルバム視点で語られる機会が少なくなりました。

(日本では、元々シングル集の性質が強い面もありますが)

ただ、私は今でも50分掛けて大きな物語を作るアルバムが好きです。
新たなアルバムの名作誕生に期待しています。