良曲が非常に多い、ケミカル・ブラザーズ。
楽曲単位ではなく、(コンセプト・)アルバムとして見ますと、
7thアルバム『Further』と並んで好きな作品が4th『Come With Us』です。
最近、すっかりランニングのお供になっています。
⒈
Track1 『Come With Us』
広大な宇宙に放り出されたような感覚の、壮大なオープニング曲。
「これから何が始まるのだろう!?」
一曲目はリスナーに期待感・ワクワクを抱かせる必要がある非常に重要なポジションで、
その意味でも完璧な楽曲ではないでしょうか。
※
余談。
吉本新喜劇アキさんの『Joy!Joy! エンタメ新喜劇』のプロローグにも同様の感覚を抱いています。
⒉
Track2 『It Began In Afrika』
一転して、原始的なリズムに。
多種多様な楽曲で構成されていて、
楽曲単体でも曲調変化に富みながら、
アルバム全体としては統一感がある『Come With Us』。
その統一感の正体は躍動感あふれるリズムではないでしょうか。
今作の起点はこの楽曲にあるのではないかと考えています。
⒊
Track3 『Galaxy Bounce』
二曲目からシームレスに展開する三曲目。
ヒップホップ色濃いめですね。
曲と曲、リズムとリズムが上手く繋がっていることも
アルバムの統一感を高めている要因でしょうか。
⒋
Track4 『Star Guitar』
⑴
またまた、宇宙を感じさせる楽曲。
ただ、『Star Guitar』は光になって軽やかに宇宙を駆け巡っている感覚でしょうか。
アルバムを序盤・中盤・終盤に分けると序盤を締めくくる曲に当たり、
アルバム全体として見ると分かり易いバラード曲ポジションに当たる印象です。
先ずここまでの4曲が強烈ですね。
⑵
♪You should feel what I feel
⒌
Track7 『The State We're In』
⑴
中盤の5~7曲目は意図的なクールダウン。
変化球&静かなパートです。
と言っても、捨て曲無しで、しっかりとリズムもあります。
この中盤が再加速する終盤に効果的に働いています。
⑵
今や、ケミカル・ブラザーズ=浮遊感のある女性ボーカルのイメージですが、
女性ボーカル曲が明確に増え始めたのが今作ですね。
⒍
Track8 『Denmark』
終盤。
アルバム中でも特に目紛しく曲調が変化する、8曲目。
短いパートを繰り返す初期アルバムとの違いがよく理解できる楽曲です。
⒎
Track9 『Pioneer Skies』
一切無駄なく続いた8曲を受けて、
聴き手の高揚感をマックスにする最終曲。
⒏
…と言いたいところですが、
木に竹を繋ぐように異質な曲がこの後一曲用意されています。苦笑
リチャード・アシュクロフトがボーカルを務めるTrack10 『The Test』は
曲単体では素晴らしいのですが、アルバムとして見ると浮いているように感じます。
個人的にはボーナス曲と位置付け、プレイリストで別枠にし、
アルバムを『Pioneer Skies』で終わりにしています。
気になった方がいれば、1~9曲目まで通しで聴いてみてくださいね。
⒐
DL主体・シングル主体・動画主体の時代になり、
アルバム視点で語られる機会が少なくなりました。
(日本では、元々シングル集の性質が強い面もありますが)
ただ、私は今でも50分掛けて大きな物語を作るアルバムが好きです。
新たなアルバムの名作誕生に期待しています。