⒓
⑴
(内場→←由美←辻本・森田、という立ち位置で)
辻本が由美に対し、
辻本「由美さん、大丈夫ですか?」
しかし、由美は辻本の方を振り返ることなく、自分のために負傷した内場のことを心配する。
由美「…大丈夫?」
内場「…っ、ああ」
内場が出血した箇所を押さえ、痛みを堪えながら笑顔を見せる。
⑵
その様子を見ていた森田が由美に対し、
森田「礼、言えや!」
森田「助けたん、親分やぞ!」
由美が辻本の方を振り返り、
由美「ありがとうごさいます」
由美「あの…、」
辻本「みなまで言わんといてください」
状況を理解して、大人な態度を見せる、辻本。
辻本が由美に対し、
辻本「今でも、愛してるんでしょ?」
辻本「見てたら分かります」
今度は内場に対し、
辻本「あんたもやろ?」
辻本「さっき、命懸けで由美さんを助けようとした」
辻本「二人とも、一緒に写った写真を持っている」
辻本「愛し合ってる証拠や」
辻本「お互いに意地を張ったらあかん。一生、後悔する」
森田が辻本に対し、
森田「そんな…、親分は!?」
辻本「二人の間にワシが入る隙は無い」
辻本「ワシに出来るんは、好きな人の幸せを応援することや」
辻本「それが男っちゅうもんや」
辻本が内場に対し、
辻本「由美さんを幸せにせんかったら、許さんぞ」
内場が頷く。
⑶
辻本が森田に対し、
辻本「行こか」
辻本と森田が旅館を去ろうとする。
玄関まで来たところで、藍が辻本のもとに駆け寄る。
あい「親分、ありがとう」
あい「助けてくれて」
あい「喧嘩、教えてくれて」
あい「特訓の成果、見ていてください!」
あい「…」
あい「ワンツースリー!」
何を思ったか、辻本の顎に右アッパーをヒットさせる(させてしまう?)、藍。
玄関先まで飛ばされ、大きくよろめく、辻本。
辻本「…っ!」
辻本は泣きそうな顔で顎を押さえながら、
辻本「森田~…、顎割れた…」
辻本と森田が去っていった。
先ず、内場が口を開く。
内場「…すまんかったな」
内場「仕事、仕事で、二人に寂しい思いをさせて」
内場「すまんかった」
由美「私の方こそ」
由美「家族のために一所懸命働いてくれてたのに、勝手言って」
由美「私がアホやった」
由美「ごめんなさい」
内場「藍のためにも、もう一回やり直そう」
由美「あなた」
内場「由美」
二人の距離が少しずつ縮まる。
由美「あなた」
内場「由美」
由美「あなた」
内場「由美」
二人が今にも抱き合いそうなところで、
あい「ソーシャルディスタンス!(内場==由美)」
⑶
由美「お祝いのケーキを作るわね!」
由美が上手端通路から厨房に向かった。
入れ替わりで、(洗顔し終えた)オーナー安尾がホールケーキを載せたトレイを持ち現れる。
安尾「ケーキ、でき…」
彼女と一緒に過ごす間も、未練のある元妻・由美の写真を懐に忍ばせる下衆っぷり。
…と考えると、由美が祇園旅館で働いていることを承知の上で宿泊して、
⒉
⑶
新喜劇は、出演人数をある程度抑えた方が登場人物や物語を掘り下げる時間が増し、
また、一人当たりの持ち時間も増して、
物語も笑いも面白くなるケースが多いと常々感じています。
これが出演人数20名超えともなると、一見豪華でも、
ただ登場しただけ、登場させるために用意した場面等、
贅肉部分ばかりに時間を取られ、作品自体には散漫な印象を抱きがちです。
感染症対策でやむを得ないとはいえ、
ズッコケ体験やカーテンコールが無いことは祇園花月感の点で少し寂しく映りました。
従来の祇園花月公演はお芝居の後も楽しい時間が続くのですよね。
藍ちゃんはズッコケ体験も流さず一所懸命に盛り上げてくださる座長さんで、
毎回、舞台に上がった観客とのトークで大きな笑いが起こっていました。
藍ちゃんのズッコケ体験コーナーの再開が待ち遠しいです。
辻本「森田~…、顎割れた…」
辻本と森田が去っていった。
⒔ 終
⑴
藍、由美、内場、吉田、四人。
(内場→↙︎中央奥手に藍↘︎←由美、という立ち位置)
藍が内場と由美を見て、
あい「お互いの気持ち、言ったら?」
内場と由美が一歩ずつ前に出て、向かい合う。
⑴
藍、由美、内場、吉田、四人。
(内場→↙︎中央奥手に藍↘︎←由美、という立ち位置)
藍が内場と由美を見て、
あい「お互いの気持ち、言ったら?」
内場と由美が一歩ずつ前に出て、向かい合う。
先ず、内場が口を開く。
内場「…すまんかったな」
内場「仕事、仕事で、二人に寂しい思いをさせて」
内場「すまんかった」
由美「私の方こそ」
由美「家族のために一所懸命働いてくれてたのに、勝手言って」
由美「私がアホやった」
由美「ごめんなさい」
内場「藍のためにも、もう一回やり直そう」
由美「あなた」
内場「由美」
二人の距離が少しずつ縮まる。
由美「あなた」
内場「由美」
由美「あなた」
内場「由美」
二人が今にも抱き合いそうなところで、
あい「ソーシャルディスタンス!(内場==由美)」
と、藍が二人の間に入り、両手を左右に突き出し、二人の距離を十分に確保する。
結果的に、二人の良い雰囲気も壊してしまったかもしれないが。
⑵
あい「また、家族で暮らせるの…?」
内場「そうや」
由美「そうよ?」
あい「やったーっ!!」
吉田「良かったな!、藍ちゃん」
⑵
あい「また、家族で暮らせるの…?」
内場「そうや」
由美「そうよ?」
あい「やったーっ!!」
吉田「良かったな!、藍ちゃん」
家族三人で暮らす、藍の願いが叶った。
⑶
由美「お祝いのケーキを作るわね!」
由美が上手端通路から厨房に向かった。
入れ替わりで、(洗顔し終えた)オーナー安尾がホールケーキを載せたトレイを持ち現れる。
安尾「ケーキ、でき…」
条件反射的に安尾に近付く、藍。
安尾は藍の存在を確認し、
安尾「近づくな!」
と、右手を前に出し、藍を制止。
安尾は藍の存在を確認し、
安尾「近づくな!」
と、右手を前に出し、藍を制止。
藍との距離を十分に確保する。
安尾「近づいたら、顔が『色白』になるから…」
パティシエ安尾、三度目の正直なるか?
⑷
(藍→←フロント前に安尾←上手端通路、という立ち位置で)
由美が上手端通路先の厨房から一瞬で戻ってくる。
⑷
(藍→←フロント前に安尾←上手端通路、という立ち位置で)
由美が上手端通路先の厨房から一瞬で戻ってくる。
由美は上手端でホールケーキを藍にアピール。
由美「ケーキ、できたわよ!」
(藍→←フロント前に安尾←由美、という立ち位置で)
あい「やったー!」
由美「ケーキ、できたわよ!」
(藍→←フロント前に安尾←由美、という立ち位置で)
あい「やったー!」
藍が喜びを爆発させ、由美のもとに一直線に駆け寄ろうとする。
身の危険を感じた安尾が奥に退こうとするも、背後にはフロントがあり、下がるに下がれない。
藍が安尾の前を突進しながら通り過ぎる際、左半身が激しく当たり、安尾を弾き飛ばす。
あまりの衝撃で安尾の両手ごとトレイが弾かれ、ホールケーキが安尾の顔面を直撃。
三度、生クリームで顔面が真っ白になる、安尾。
藍が安尾の前を突進しながら通り過ぎる際、左半身が激しく当たり、安尾を弾き飛ばす。
あまりの衝撃で安尾の両手ごとトレイが弾かれ、ホールケーキが安尾の顔面を直撃。
三度、生クリームで顔面が真っ白になる、安尾。
安尾「…」
一方、無傷の藍は安尾とぶつかった感覚すら無いのか、安尾のことは全く気に留めず、
由美の持つホールケーキを見て心を躍らせている
安尾「なんで、こうなるん~!?(トホホ)」
安尾「なんで、こうなるん~!?(トホホ)」
重戦車・藍の強烈極まりないアタックで、
為す術もなく『二度あることは三度ある』の道へと追いやられた、安尾。
結局、パティシエから転職した旅館オーナーこそが天職なのかもしれない。
終
終
[雑感]
⒈
⒈
物語
⑴
藍の父親・勝則が旅館を訪れたのは、本当に偶然だったのでしょうか?
彼女と一緒に過ごす間も、未練のある元妻・由美の写真を懐に忍ばせる下衆っぷり。
…と考えると、由美が祇園旅館で働いていることを承知の上で宿泊して、
由美の気を引くため、安世を出しにしたのではないかと思ったり。
仮に、来館から復縁までの出来事全てが勝則の計算だったとすると、
各場面、全く違った見方ができて面白いです。
(安世・大島の共謀を前々から知りつつ、二人を逆に利用していたりして?)
作品にそこまで複雑な意図は無いようにも思いますが…
『勝則は物事を深く考えていない。安世も由美も等しく好き』が正解でしょうか?
⑵
いずれにしても、軽薄で奇天烈な言動を繰り返す勝則の性格を見るに、
勝則と由美の間には今後も一波乱二波乱ありそうです。(苦笑)
⒉
出演人数
⑴
楽屋の?感染症対策で、普段の13人から3人減らしての新喜劇でした。
楽屋の?感染症対策で、普段の13人から3人減らしての新喜劇でした。
⑵
今回は、オープニングの定番、
舞台設定の説明役を務める『若者客』の場面をカットする人数の減らし方でした。
結果としては、物語にも笑いの勢いにも大きな影響はないように感じました。
(あくまでも今回は、です)
『若者客』の場面は、物語の導入の意味合いよりも
結果としては、物語にも笑いの勢いにも大きな影響はないように感じました。
(あくまでも今回は、です)
『若者客』の場面は、物語の導入の意味合いよりも
若手座員さんの育成目的の側面が極めて大きいのかもしれませんね。
⑶
新喜劇は、出演人数をある程度抑えた方が登場人物や物語を掘り下げる時間が増し、
また、一人当たりの持ち時間も増して、
物語も笑いも面白くなるケースが多いと常々感じています。
これが出演人数20名超えともなると、一見豪華でも、
ただ登場しただけ、登場させるために用意した場面等、
贅肉部分ばかりに時間を取られ、作品自体には散漫な印象を抱きがちです。
50分という短い劇ならば、
今回の10人(~若者客役を含めて13人)程度で丁度良いのではないでしょうか?
今回の10人(~若者客役を含めて13人)程度で丁度良いのではないでしょうか?
⒊
タイトル『祇園で再会、夫婦も再開!?』
・祇園花月での観客との再会
・新喜劇公演の再開
と掛けたようなタイトルですね。
タイトル『祇園で再会、夫婦も再開!?』
・祇園花月での観客との再会
・新喜劇公演の再開
と掛けたようなタイトルですね。
⒋
ズッコケ体験&カーテンコール
感染症対策でやむを得ないとはいえ、
ズッコケ体験やカーテンコールが無いことは祇園花月感の点で少し寂しく映りました。
従来の祇園花月公演はお芝居の後も楽しい時間が続くのですよね。
藍ちゃんはズッコケ体験も流さず一所懸命に盛り上げてくださる座長さんで、
毎回、舞台に上がった観客とのトークで大きな笑いが起こっていました。
藍ちゃんのズッコケ体験コーナーの再開が待ち遠しいです。
2020/08/05~10
【よしもと祇園花月・酒井藍座長週】
『祇園で再会、夫婦も再開!?』 完
【よしもと祇園花月・酒井藍座長週】
『祇園で再会、夫婦も再開!?』 完