⒒
⑴
店内上手端に、
小学生・諸太郎、
マスター・辻本、従業員・高井、
昔の常連客で椅子に座るサキ、サキの夫・前園、
辻本に説得された、音羽。
店の入り口付近に、拳銃を持った大黒、バッグを持ったカバ。
…という状況が続く。
⑵
大黒がカバに対し、
大黒「警察が包囲していないか、裏口を見てこい!」
カバ「分かった」
カバが上手端通路に消える。
⑶
諸太郎が、大黒に聞こえないように、小声で高井に対し、
諸見「チャンスでしゅ!」
諸見「奥に行った奴、鈍そうやし、拳銃も持ってなかった」
諸見「後ろから不意打ちしゅるんでしゅ!」
高井「分かった!」
高井が上手端通路に消える。
少しして、高井がゆっくり戻ってくる。
…が、背後からカバが高井の頭に拳銃を突き付けながら現れる。
高井「…」
高井「拳銃、持ってはった…」
⑷
カバ「裏は警察の監視が薄い。逃げられるぞ!」
大黒「ほな、金目のもんを奪って、逃げよう!」
二人がレジ等、店内を荒らし始める。
辻本「乱暴なことはやめてください!」
一枚の紙に目が行く、大黒。
大黒「なんや、これ?…レシピ?」
辻本「それだけは返してください!」
辻本「和久に伝えるつもりのオムライスのレシピなんです!」
和久「…!」
大黒「こんなもん、一銭にもならんわ!」
大黒がレシピを床に捨て、踏みつける。
和久「何するんや!!」
和久が大黒に飛び掛かり、乱闘になる。
辻本・前園・サキもカバに飛び掛かる。
諸太郎が拳銃を持つ大黒の手首を取り、和久に拳銃が向かないように方向を変える。
銃口の先には高井が居て、
高井「諸太郎、こっち向けんな!」
左右に高井が逃げ、その都度、諸太郎が(大黒の持つ拳銃の)銃口を高井に向ける。
高井「ワザとやろ!」
皆で大黒とカバをマキザッパで叩き、無力化した。
⑸
刑事・奥重、警官・生瀬が現れる。
奥重「そこまでや!」
音羽の妻・幸恵、諸太郎の母・英子も続いて現れる。
奥重と生瀬が大黒・カバ・音羽に手錠する。
奥重「行くぞ!」
辻本が奥重に対し、
辻本「待ってください!」
辻本「音羽さんには被害に遭っていません」
諸見「僕は一回小突かれたので、後で診断書を出しましゅ」
辻本「…」
諸見「冗談」
⑹
辻本が奥重に対し、
辻本「寛大な処置をお願いします!」
奥重「刑が軽くなるよう努力します」
辻本「どのくらいの罪になるんですか?」
奥重「…何を言ってるんだ?(苦笑)」
奥重の苦笑いで、無茶ぶりタイムであることを観客に知らせる。
奥重「あなたは、いつも急に言い出す。(苦笑)」
辻本「諸太郎、メモに控えといてね」
諸見「分かった」
辻本が奥重に尋ねる。
辻本「どんな『面白い罪』になるんですか?」
奥重「…(苦笑)」
奥重「えー…、死刑です」
辻本「それ、一番『重い罪』ですよね?」
辻本「笑いも重い」
諸見「こいつ(=奥重)を死刑にしようか。(苦笑)」
⑺
辻本が音羽に優しく語り掛ける。
辻本「音羽さん」
辻本「ほんま、辛かったでしょ。悔しかったでしょ」
辻本「でも、音羽さんには大切な奥さんが居ます」
辻本「これからは心を入れ替えて、新しい人生を歩んでください」
音羽「ありがとうございます」
辻本「頑張って!」
音羽・大黒・カバが連行されていった。
⑻
店先に居る幸恵が辻本たちに深々と頭を下げ、去っていった。
店先に居る英子も深々と頭を下げ、去っていった。
高井「諸太郎のお母さん、なんで頭下げたんや?(苦笑)」
諸見「たぶん、晩御飯にプリンが無いってことやと思う」
⒓ 終
⑴
和久が父親の辻本に謝る。
和久「親父、ごめん!」
辻本「えっ?」
和久「俺、ほんまにアホやった!」
和久「今まで、親父の何も見てなかった」
和久「店を守り続けてきた凄さ、分かってなかった」
和久「人の悩みに耳を傾ける、優しさ」
和久「拳銃にも怯まへん、強さ」
和久「凄いと思った!」
和久「これからは、生まれ変わってつもりで働く」
和久「だから、この店を続けてください!お願いします!」
辻本「本気で言うてんのか?」
辻本「修業、厳しいぞ!、耐えられるんか!?」
和久「はい!」
⑵
辻本が高井たちに対し、
辻本「皆さん、35年間、ありがとうございました!」
辻本「私の店は今日で閉店します」
辻本「しかし、和久が店を継いでくれることになりました!」
辻本「今後ともよろしくお願いします!」
辻本が和久にオムライスのレシピを渡す。
高井「最高の展開ですね!」
辻本が高井に対し、
辻本「これからも力を貸してくれよ!」
高井「はい!」
⑶
諸太郎が高井に案を出す。
諸見「映画化できそうでしゅね」
諸見「高井しゃんが監督で、僕が主役」
高井「なんで、お前が主役やねん!」
諸見「マスターと顔がそっくりやから」
辻本「ボケでも、それはやめてくれ。(苦笑)」
⑷
高井が諸太郎に対し、
高井「今回のこと、しっかり記事にしてくれよ!」
諸見「どうしようかな~。…御涙頂戴はイヤなんや」
諸見「もっと派手な事件がほしいなあ」
⑸
そこに、覆面を被った男女(本山悠斗・大塚澪、カップルと同一人物かは不明)が現れ、
皆に拳銃を向ける。
本山「お前ら全員、人質や!」
高井「どんだけ、強盗、来るんや!」
諸見「強盗はもう飽きた~~!!」
終
[カーテンコール]
⒈
諸見里さんの挨拶。
諸見「よしぃもとにしぃ梅田劇場におこしぃくだしゃり、ありがとうごじゃいましゅ」
故意にサ行部分の滑舌の悪さを強調し、笑いを起こす。
辻本「何喋ってるか、分からん!(苦笑)」
諸見里さんがゆっくり丁寧に言い直す。
諸見「夏休みに、たくさん観に来てくだしゃって、ありがとうございましゅ」
⒉
大黒ケイイチさん、からの奥重淳史さん
⑴
(奥重さん→辻本さん→諸見里さん←大黒さん、という並びで)
諸見「今日は、辻本しゃんのアドリブに大黒君が上手く対応していましたね」
辻本「大黒、ツッコミ上手なった!」
⑵
辻本「それに反して…」
と、反対に居る、お気に入りの後輩・奥重さんの方を向く、辻本さん。
腕を組んでいる奥重さんに対し、諸見里さんが、
諸見「今の流れ、振られるん分かってるのに、腕組んでる…(苦笑)」
⑶
辻本「奥重とは、一緒に舞台に立つのが半年ぶりなんです」
辻本「成長してるかと思うたら、全く成長してない。(苦笑)」
奥重さんが辻本さんに対し、
奥重「いや、ほんま、絡みが懐かしかったです。『おお、この感覚や』って」
辻本「何、上から目線で喋っとんねん!(苦笑)」
⑷
奥重さんとの半年前の共演について、
辻本「半年前、刑事役で全く喋られへんかったんですよ。(苦笑)」
辻本「今日の生瀬君はしっかりしていたのに」
辻本「公演後、奥重が落ち込んでて」
辻本「『これはあかん』思うて、一緒に食事に行きました」
諸見「その時、辻本しゃんが甘やかしたのがいけなかったでしゅね。(苦笑)」
⒊
諸見里さんの締めの挨拶。
諸見「残念ながら、この西梅田劇場は今週いっぱいで閉館しゅることになりました」
諸見「最後の日まで精一杯盛り上げていきましゅので、よろしくお願いしましゅ!」
諸見「本日はありがとうごじゃいましたー」
[雑感]
⒈
閉館する西梅田劇場を意識させる粋な物語でした。
導入部の大設定で引っかかりがちな諸見里さんの物語ですが、
今回は破綻が無く、笑いと感動を両立した作品になっていました。
⒉
諸見里さんの大きな魅力である、キャラクター。
新しい動き「冗談、やん、かー!」を加えようとしたり、
これからまだまだ進化していくように感じました。
⒊
作品タイトル『諸太郎と最後のオムライス』について
今回は、オムライスが喫茶店の親子に関わる話ですので、
オムライシュよりオムライスが合いますね。
⒋
西梅田劇場ラスト週、
諸見里さん始め、座員さん・芸人さんから素敵な思い出をいただきました。
2019/08/20~25
【西梅田劇場・諸見里大介リーダー週】
『諸太郎と最後のオムライス』 完