⒋
⑴
誰もいない広場。
白色のエプロンをした若めの女性・真希(前田真希)が現れる。
真希「おはようございます
」
真希「大将、居てないわね。…買い出しかしら?」
真希「掃除しとこ」
真希が広場下手に背を向けるように、長椅子周りの掃除を始める。
真希は、たこ焼き屋台のアルバイトのよう。
⑵
買い出しを終えた森田が下手袖から戻ってくる。
(森田→長椅子周りを掃除する真希→、というポジションで)
森田が真希の背中に、
森田「姉ちゃん、ここの大将知らんか?
」
真希「大将は、今は居てないですよ」
真希が森田の方を振り返る。
その瞬間、『ピロリロリ~ン
』と効果音がし、
森田がコミカルな表情で一目惚れを表現する。 ![]()
真希「大丈夫ですか!?、熱中症ですか!?」
森田「ある意味、あなたに熱中症です![]()
」
森田「綺麗な人ですね
」
真希「もう、そんな綺麗やなんて、イヤやわぁ~!」
と、バックで森田の顔を強めに叩く。
森田「痛ーっ!
」
森田「凄いヒットしました。…首の音が聞こえた。(苦笑)」
森田「気持ち良かったー!![]()
」 ![]()
森田はM気質なのだろうか?
⑶
真希「お客さん?」
森田「客じゃないです」
森田「大将の代わりに、蛸を買いに行ってました」
真希「新しいバイトの方?」
森田「えっ、いや、その…
」
真希「人手が足りなくて困ってたんです。ありがとうございます
」
真希「よろしくお願いします!
」
真希が森田の手を握る。
すると、森田の反応は、
森田「…はぁい!」 ![]()
森田「私ー、ここでバイトするでしょ~?
…はぁい!」 ![]()
森田「今日からあなたと一緒にバイトするんですね~…はぁい!」 ![]()
真希「…?」
⑷
真希「蛸はどこで買ったんですか?」
森田「錦市場です」
真希「そんなところまで!
、凄いわ!
」
真希「そんなにお店のことを思ってくれるなんて、大将も喜んでたでしょ?
」
真希「私、真希と言います
」
森田「森田展義です
」
真希「いい人そうで良かったわ」
真希「最初、服装を見た時、ヤクザかと思いました」
森田「…
」
真希「保証人の大将に300万取立てに来た、花月組のヤクザなわけないですよね?」 ![]()
森田が真希に聞こえないよう、真希に背を向け、小声で、
森田「この人、見てたんちゃうか?![]()
」
森田が真希に対し、
森田「この服装は仕事をする時、動き易いから着ています」
真希「動き難そうですけど…」
すると、森田がハミングネタの時の動きをしたり、
ブラジャーネタの時に上着を脱ぐフリをする。 ![]()
![]()
真希「…?」
真希「たこ焼き屋の仕事では、そんな動きしないですよ?」
真希「エプロンを着けてくださいね
」
真希か森田に緑色のエプロンを渡す。
森田「たまたま、緑?
」
森田がジャケットを脱ぎ黒Tシャツになり、緑のエプロンを着ける。
⑸
真希「私、水汲みに行ってきますね
」
屋台からポリタンクを取り出す。
森田「重いんで、僕がやります」
と、真希の持つポリタンクを取ろうとして、真希の手に触れる。
森田「あっ…
」
森田がコミカルな表情で慌てて手を離す。
真希の手に触れては慌てて離すを何度か繰り返していると、
真希「行くなら、早く行ってください!
」
森田「…はぁい!」 ![]()
森田が水を汲みに下手袖に向かった。
真希「真面目そうな人で良かった
」
⒌
⑴
真希がまた掃除していると、上手袖から青野が戻ってくる。
青野は上手端で広場の様子を伺い
、
青野「…(森田は)もう、おらんか」
真希が青野に気付く。
真希「大将、新しいアルバイトが来ましたよ
」
青野「そうか。じゃあ、面接しないと」
真希「面接してないんですか?」
真希「でも、水汲みに行ってくれたり、真面目そうですよ
」
青野「そうか。人手が足らんし、採用決定やな
」
⑵
そこに、森田が現れる。
森田「どこに汲みに行ったらいいですか?」
真希「場所を教えてなかったわね」
森田が水汲みしていることに驚く、青野。
青野「えーっ!!
」
(森田→←真希←青野、という立ち位置で)
真希が森田に、
真希「面接無しで採用ですって!
」
森田「ありがとうございます!
」
森田が青野に近づき、広場上手に連れて行く。
真希に聞こえないよう、小声で青野に対し、
森田「俺を採用せんかったら、ぶち殺すぞ!
」 ![]()
青野「はい…
」
森田が、真希にも聞こえるボリュームで、丁寧な口調で、青野に対し、
森田「よろしゅうお願いします~![]()
」 ![]()
⑶
結局、水汲み場所の分かる真希が水汲みに向かうことにし、
下手袖に消える。
その瞬間、森田が青野の肩を掴み、
森田「逃げやがったなーっ!
」
そこに、真希が戻ってくる。
真希「何、してるの?
」
森田が慌てて、襟元を見る素ぶりをし、
森田「襟元汚れにオススメの洗剤の話をしていたんです![]()
」
真希「洗剤に詳しいんですね」
森田「学生時代、クリーニング屋でバイトしてたもんで」 ![]()
真希「クリーニング屋ですか?」
森田「色々やってきました」
青野「ヤクザもね
」 ![]()
森田「…!
」
真希「…?」
真希は青野の言葉は充分聞こえてなかったよう。
真希「向こうの公園に水汲みに行ってくるわね
」
真希が上手袖に消える。
⑷
森田が青野の胸ぐらを掴み、凄む。
森田「要らんこと言うなやっ!、黙っとけ!![]()
」
真希が上手袖から現れる。
真希「向こうも壊れてたわ
」
真希が現れた瞬間、青野に対する森田の態度が一変する。
森田「頑固な汚れにはウタマロがいいですよ![]()
」 ![]()
真希「森田さん、石鹸にも詳しいんですね
」
森田「『世間』にも詳しいですよ?
」
ダジャレを入れる、森田。
真希「違う公園に行ってくるわね
」
真希が水汲みのため、上手端奥側から袖に捌ける。
⑸
森田「どんだけ壊れてるんや!
」 ![]()
青野「私も水汲みに行ってきます!
」
森田「逃げんな!
」
森田「肩、揉め
」
森田が長椅子に座る。
青野が森田の背後に立ち、渋々肩を揉む。
その5に続く