(第二景)


二日後。

清水と令、二人。

レイ「おじいさん、いつまで泊まるんでしょうか?」
レイ「もう、三日目ですよタラー


清水「結婚を認めてもらおうと我慢してきた」
清水「でも、疲れてきた…」
清水は、あの後も茂造に振り回されている様子。

レイ「僕からガツンと言いますよ!プンプン


茂造がパチンコから戻ってくる。
茂造「また、負けたニヤリ

茂造が清水に近づき、手のひらを出し、
茂造「一万(くれ)!ニヤリ
と、お金を催促する。
清水「…えー
清水が渋っていると、茂造が女性っぽく歌う。
茂造「♪ウェーディン ベーエエエエ、エー口笛」 笑い泣き
清水「その歌、やめてください!タラー

清水が渋々財布から一万円札を出そうとする。

すると、令が清水に対し、
レイ「旦那さん、待ってください!プンプン
レイ「僕は二万負けました!、僕にもくださいよ!笑い泣き

レイ「(旦那さんに)ガツンと言ってやりました!ニヤリ笑い泣き
茂造「やるやないか!ニヤリ
茂造と令が清水を挟んで握手する。 笑い泣き

清水「何しとんや!」


客らしき男性・啓之(清水啓之)が小さなバッグを持ち、現れる。
啓之「すみません。予約していないんですけど、泊まれますか?」
清水「大丈夫ですよ」

啓之が即、椅子に座る。

すると、茂造が啓之に対し、
茂造「『お掛けになってください』を言われてないのに、座りましたね。(苦笑)」
茂造「あなたを見ていると、(台本があって)先々分かっている感じがしますニヤリ
と、啓之の演技をキッカケに茂造の追い込みが始まる。 笑い泣き

啓之「いえ、あの、色々回っていて、疲れたんで座りましたアセアセ
茂造「『色々回っていて』…ここに来る前はどこに?ニヤリ
啓之「えー、…海外アセアセ
茂造「海外から温泉?」
首をかしげる、茂造。 笑い泣き

清水が啓之の小さなバッグを持ち、啓之に尋ねる。
清水「海外に行っていたのに、荷物、こんだけ?ニヤリ笑い泣き
啓之「それはあの~、一人旅なんでアセアセ
清水「具体的には、どこに行っていたんですか?」
啓之「…」
啓之「ブラジルアセアセ

茂造「真裏ですね。また、何をしに?ニヤリ
啓之「…アセアセ
茂造は啓之が何も思い付いていないと見るや、
茂造「あっ、サンバを踊りに!?ウインク
清水「見たいな!ニヤリ笑い泣き

茂造「令君、笛吹いてくれる?ウインク
令が『♪ピーピーピピー』と笛を吹く真似をし、サンバのリズムを作ると、
啓之がサンバを踊り始める。
が、盆踊りにしか見えない。 笑い泣き

令が頃合いを見てサンバのリズムを止めると、
啓之が自分で『♪ピーピーピピー』と言いながら、盆踊りを続ける。 笑い泣き

啓之が清水に対し、
啓之「いい加減にしてくださいよ!!アセアセ

茂造「それは、こっちの台詞や!プンプン
茂造「台詞を飛ばして、座って先々進めるから、なんかネタやるんやな、思たえー
茂造「だから、ワシも乗ったんやで?えー(ニヤリ)」 笑い泣き

啓之「…」
啓之「違いますやん…(苦笑)」 笑い泣き笑い泣き
啓之には地獄のような時間になるも、客席は大きく沸く。


啓之が宿泊名簿に記入する。
清水「何、書いてんの?…ペン出てないけどニヤリ
啓之「…アセアセ
先程の場面で全力を使い果たしたか、言葉が出てこない、啓之。

清水が苦笑いしながら、靖子を呼ぼうと中央奥通路の手前まで足を進める。
清水が啓之に確認する。
清水「もう、呼んでいい?(=ストーリー、進めていい?)、苦笑」 笑い泣き
啓之「お願いします!アセアセ笑い泣き笑い泣き

清水「靖子さーん!」


靖子が中央奥通路から現れる。
靖子「何でしょうか?」
清水「お客様を桜の間にお願いします」

啓之は靖子を見て、
啓之「綺麗な方ですねニコニコ
茂造「綺麗やとーっ!?…ワシの孫をいやらしい目で見やがって!ムキー
と、マキザッパで啓之の頭を叩く。
啓之は高い声で、
啓之「痛ーい!口笛笑い泣き
茂造「…?キョロキョロ

茂造「他のところ、叩いてみよか」
茂造が啓之の胸をマキザッパで叩く。
啓之「痛ーい!」
茂造が啓之のお腹をマキザッパで叩く。
啓之「痛ーい!」
茂造が啓之の股間をマキザッパで叩く。
啓之「…ふふふっチュー
茂造「変態やないか!アセアセ

茂造「お尻も叩いてみよかニヤリ
茂造が啓之のお尻をマキザッパで叩く。
啓之「…」
啓之「ブリブーリ!アセアセ笑い泣き

茂造が頭・胸・お腹・股間・お尻をランダムに叩く。
啓之は茂造が叩くスピードに付いていくことができず、
頭を叩かれた時に『ブリブーリ!』と言ってしまったり、チグハグになってくる。
茂造「叩いてないのに、『ブリブーリ』とか言うてるやないか!」
啓之「叩くのが速すぎるんですよ!(苦笑)」 笑い泣き笑い泣き

茂造「椅子、叩いてみよかニヤリ笑い泣き
啓之「…椅子!?キョロキョロアセアセ
茂造が椅子をマキザッパで叩く。
啓之「…」
啓之「いやいーや!アセアセ笑い泣き

茂造「椅子、後三つあるから、全部違うはずや」
茂造「行くで!?ニヤリ
茂造が二つ目の椅子を叩く。
啓之「…」
啓之「フワフーワ!アセアセ

茂造が三つ目の椅子を叩く。
啓之「…」
啓之「ダメダーメ!アセアセ

茂造「ラスト、行くで!ニヤリ
茂造が最後の椅子を叩く。
啓之「ダメよーっ!!アセアセ

茂造「さっきから、(一の介を)パクっとるやないかい!」 笑い泣き

啓之「早く案内してくださいよーっ!!アセアセ笑い泣き笑い泣き

啓之と靖子が桜の間に向かうため、上手端通路に消えていった。

啓之の奮闘に、観客から大きな拍手が起こる拍手拍手

茂造「あいつ、口では怒ってるけど、ウケてるから目が笑ってたウインク笑い泣き
清水「言わんでよろしい!(苦笑)」


茂造「ワシも奥で休もうかなニヤリ
茂造「動いて、腹減ったから、料理持ってきてくれニヤリ
茂造が上手端通路に消える。

清水「わがままなじいさんやな!えー

清水「令君、料理頼める?」
レイ「僕もここに『居たーい!(=痛ーい!)』口笛笑い泣き
と、啓之の真似をしてから、上手端通路に消えていった。

 

 



清水が一人になり、溜息を吐いていると、
中央奥通路から仲居の真希(前田真希)が現れる。
真希「どうかされました?」
清水「おじいさんがね…タラー

真希「大変そうですね」
真希「おじいさんが居たら、結婚できない」
真希「でも、私なら、面倒なことが無いわよ?ラブラブ

清水「えっ?」

真希「前から、旦那さんのことが好きでしたおねがい
清水「俺は靖子さんと付き合っているからアセアセ
真希「私じゃ駄目!?」
真希「女の私にここまで言わせて平気なの!?プンプン
真希が清水に近づく。

清水「ちょっと、真希ちゃんアセアセ
清水「俺は靖子さんのことを真剣に愛してる!アセアセ
清水「諦めてくれ!アセアセ

真希「分かりました」
清水「ごめん」
真希「じゃあ、靖子さんの次でいいです!」
真希「お願いします!」
清水「真希ちゃん、何を言うてんや!?アセアセ
真希が強引に清水の手を握り、体を寄せる。
清水「靖子さんを裏切ることはできん!アセアセ


茂造に食事を用意した令が上手端通路から戻ってくる。

令は清水と真希が近くで寄り添い合っているように見えたようで、
レイ「何してるんですか!びっくりアセアセ、靖子さんが居ながら!プンプン
真希「旦那さんが迫ってきたの…!ショボーンアセアセ笑い泣き
清水「なんでや!アセアセ

真希「酷い!(涙)」
真希が泣きながら、中央奥通路に消える。

レイ「女性を泣かせるなんて、最低や!プンプン
レイが清水に憤慨し、上手端通路に消えていった。

清水「…なんで?キョロキョロ

 

 

その6に続く