『ゾクゾクする引っ越しなのよ』
[セット紹介]
古びた洋館のロビー。
⒈
舞台下手端…入り口への通路
舞台下手端・奥側…扉
舞台中央奥上手寄り…部屋への通路
舞台上手端…部屋への通路
舞台上手端・奥側…扉
⒉
舞台中央…膝の高さほどのテーブル、長ソファ、左右に角椅子
舞台下手寄り奥…庭の見える大きな窓
窓の手前に棚があり、洋風の人形が置かれている。
[物語]
(敬称略)
⒈
⑴
舞台は、古びた洋館のロビー。
青暗い照明でロビー全体が怪しく映る中、
若者のカップル、亜由貴(筒井亜由貴)とゆう(小林ゆう)が入館してくる。
筒井「噂通りやな…」
ゆう「何なの!?、この屋敷」
筒井「有名な恐怖スポットなんや」
筒井「100年前の住人がお化けになって出るらしい」
ゆう「そんなところ、帰りましょうよ!」
筒井「噂だけやから」
筒井「撮影して、インスタに上げよう!」
⑵
ゆうが中央奥の棚に置かれた洋風の人形を見て、
ゆう「キャーッ!!」
と驚き、体を仰け反らせ、ブリッジする。
筒井「うわぁーっ!!」
ゆう「亜由貴君!、めっちゃ怖い!」
ブリッジのまま亜由貴に近寄る、ゆう。
筒井「こっちのセリフや!」
ゆうが立ち上がり、
ゆう「ごめんなさい。人形に驚いて、仰け反ってしまったの」
⑶
筒井「奥に行ってみようか?」
ゆう「やめときましょうよ!」
その時、上手端通路からタキシードを着た執事風の男性、
清水(清水けんじ)が現れる。
清水「騒がしい…」
筒井「うわぁーっ!!」・ゆう「キャーッ!!」
清水のことを幽霊と思い、悲鳴を上げる、二人。
清水が通路横のスイッチを押すと、ロビーが明るくなる。
清水「この屋敷の執事の清水ですが、何か用ですか?」
筒井「あの、僕たち、学生で…」
筒井「お化けが住む恐怖スポットと聞いて、撮影しに来たんです」
清水「普通に人が住んでいます」
清水「それに、家に勝手に入ったらダメでしょ?」
⑷
清水「とにかく、帰ってもらえます?」
筒井「すみませんでした」
ゆうと亜由貴が去っていく。
二人は下手端通路前で立ち止まり、
ゆう「亜由貴君、聞いて?」
ゆう「ここに来てから体が重いの。…っていうより、痛いの」
筒井「ブリッジしたからや!」
亜由貴とゆうが去っていった。