⒏
⑴
裕・めだか・安尾・今別府・烏川、そして改心した新名・直子、七人。
直子のスマホに着信がある。
直子「非通知です!、たぶん、ボスです!」
吉田「ここに誘い出してくれ!」
吉田「『交通事故に遭った』、って」
直子「分かりました!」
⑵
直子が電話に出る。
直子「もしもし…」
すると、男性(佐藤太一郎)の声が聞こえてくる。
この場面には相手の男性の声も観客に聞こえる。
佐藤『電話に出るの、遅いぞ!』
めだかが受話器の先の佐藤に聞こえないよう、小声で、
めだ「最初に掛かってきた声や!」
⑶
電話相手の佐藤が直子に対し、
佐藤『何か問題でもあったんか!?』
直子「それが、受け取り係も私もお金を受け取る前に事故に遭いまして」
佐藤『ほんまか!?、場所はどこや?』
直子「祇園花月町11-6」
佐藤『…八坂神社の側やな』
裕が直子に小声で指示を出す。
吉田「別の場所、言うて!」
直子が電話の先の佐藤に、
直子「大阪で事故りました!、大阪の八坂神社と間違えてました」
直子「周りには大阪の人がいっぱい居ます」
裕が、電話の先の佐藤に聞こえないように小声で指示を出す。
吉田「皆、雰囲気を出して!」
烏川は当たり屋の真似をする。
烏川「何、飛び出してきとんや!、おーっ!?」
吉田「さっきの人ですよねー!?」
安尾「わー、通天閣やー!」
めだ「あ~りがと、さ~ん!」
今別「仁鶴です」
新名「どうも、ダイヤモンドユカイです」
吉田「最後、全く関係ないぞ!(苦笑)」
佐藤『…ほんまに大阪にいるようやな』
吉田「なんで、信じたんや!?」
直子が電話相手の佐藤に、
直子「だから、ボスが直接、お金を取りに行ってください」
佐藤『分かった。今から行く』
なんとか、佐藤を騙せたようで、直子が電話を切る。
⑷
そこに、裕の婚約者・真希が戻ってくるが、
店内の様子に異変を感じたか、
玄関の前に隠れて、店内の様子を伺う。
裕は真希には気付いておらず、皆に話し掛ける。
吉田「相手から一千万を奪って、オレは真希ちゃんと結婚する!」
吉田「オレの演技で相手を騙してやる!」
めだ「皆でやろ?」
吉田「オレや、オレー!」
ボスを誘い出すところまで行き、得意げになっている様子の裕。
⑸
玄関に隠れて様子を伺っていた真希が小声で、
真希「裕さんがオレオレ詐欺をしていたなんて…!」
真希は勘違いし、去っていった。
⒐
⑴
裕がレジ裏に、
めだか・安尾・烏川・今別府・新名・直子がカウンターや上手端通路に隠れ、
詐欺師グループのボス・佐藤の到着を待つ。
⑵
佐藤が入店し、中央に立つ。
吉田「今や!」
全員で佐藤を攻撃する。
佐藤「痛っ!」
佐藤「どういうことですか!?」
一旦、皆が佐藤から離れる。
吉田「詐欺師やろ!」
佐藤「何のことですか!?」
吉田「しらばっくれるな!お前の仲間が全部教えてくれたぞ!」
佐藤「…仲間?」
佐藤は仲間と電話で連絡するだけの関係で、顔を知らず、全員の顔を見渡す。
新名と直子が『仲間』という意味合いで挙手すると、
佐藤「くそっ!」
⑶
警官のヒロが現れる。
ヒロ「オレオレ詐欺の手配書、持ってきた」
手配書を広げると、佐藤の顔が現れる。
吉田「それやったら、こいつ(=佐藤)です!」
ヒロが佐藤を逮捕しようとして、手錠を落とす。
ヒロは手錠を見ながら、
ヒロ「立てーっ!、立つんだ、手錠ーっ!(=ジョー)」
と、『あしたのジョー』の名台詞と掛けたダジャレを披露する。
吉田「ダジャレかいっ!(苦笑)」
⑷
そこに、裕がオレオレ詐欺をしていると誤解している真希が
母親のあき恵を連れて現れる。
真希が裕に対し、
真希「裕さん、酷い!オレオレ詐欺をしていたなんて!」
吉田「…えっ!?、オレちゃう!」
真希「人を騙していいと思ってるの!?」
真希「身内に騙された人がいたら、黙ってられへんはずよ!」
真希「自分を見つめ直して!」
吉田が直子に説教していた言葉をそっくりそのまま話す、真希。
吉田「さっき、俺が言うてたやつやん!」
あき恵も裕を諭そうと、
浅香「アメリカにはこんな言葉が…」
吉田「親父の真似、せんでええです!」
吉田「…二人して、ずっと見てたんちゃうか?」
⑸
吉田「真希ちゃん、誤解してる!」
吉田「オレオレ詐欺の犯人はこいつ(=佐藤)や!」
次の瞬間、佐藤がナイフを取り出し、真希を人質に取り、上手端に移動する。
吉田「真希ちゃん!」
裕たちが店入り口付近に移動し、佐藤と対峙する。
裕がヒロに、
吉田「おまわりさん、何とかしてください!」
ヒロ「おまわりさん、呼んできます!」
吉田「あんたや!」
ヒロが逃げ去っていった。
⒑
⑴
裕・めだか・安尾・烏川・今別府・新名・直子・あき恵が店入り口付近、
佐藤と人質の真希が上手端、
で向き合う状況。
裕が前に出て佐藤に、
吉田「真希ちゃんを放してくれ!」
佐藤「無理やな!」
佐藤「道を開けろ!さもないと、この女を殺っそ!」
次の瞬間、客席に背を向けた安尾が、
安尾「待たんかいっ!」
安尾がガラケーを耳に当てた姿を客席に見せ、
安尾「後で掛け直す~」
佐藤「この状態で、電話!?」
安尾「ブルブルってなったから…」
安尾「…スマホに替えたい~」
佐藤「知らん!」
⑵
烏川が佐藤に聞こえないよう小声で裕たちに対し、
烏川「最近、ダーツバーに通ってる」
烏川「俺がナイフを持つ手にダーツを当てるから、ナイフを落としたら皆で攻撃して」
烏川が佐藤と向き合い、
烏川「これでも喰らえ!」
と、ダーツを投げる。
…が、何本投げても、明後日の方向に飛び、全く当たらない。
烏川「あかん…」
酔っ払いのように、フラフラとテーブル周りの椅子に座り、
烏川「テキーラ、飲み過ぎた…。3時に起こして…」
吉田「バー来とんちゃうねん!」
酒を欲する妖怪ピューがたった一口飲んだだけで、「酔うた~」と寝てしまう、
2014年末の公演『西遊喜』を思い起こさせる場面。
⑶
今度は、めだかが前に出る。
吉田「お父ちゃん、大丈夫か?」
めだ「大丈夫や」
めだかが佐藤と向かい合う。
佐藤「やるんか、ちっこいおっさん」
めだ「フフッ…初めて言われた」
佐藤「毎日、言われてるやろ!」
めだ「お前もギョロ目、言われてるやろ」
めだ「毎日、寝られんやろ?」
佐藤「寝てる!…たまに目ー開けて寝てるみたいやな。(苦笑)」
⑷
めだかが、ナイフを向ける佐藤に対し、
めだ「小さい男を相手に凶器…それでも男か!?」
佐藤「必要無いわ」
佐藤がナイフを投げ捨てる。
すると、めだかがナイフを拾い上げ、佐藤に向けて、ダーツのように投げる。
佐藤「当たるやろっ!!」
⑸
めだかがネクタイを外す。
めだ「ワシが頭に血ー上って、ネクタイを外したらどうなるか…」
佐藤「…どうなるんや?」
めだかがネクタイを縦に垂らし、
めだ「身長と一緒や」
佐藤がズッコケる。
吉田「今や!」
裕達がマキザッパで佐藤を叩き、無力化した。
⑹
そこに、警官ヒロが現れる。
ヒロ「そこまでや!」
吉田「タイミング、ええなあ!」
ヒロが佐藤を連行しようとする。
すると、直子が、
直子「待ってください!」
直子「私も逮捕してください!」
直子「お爺さん(=今別府)を騙していました」
新名「僕も共犯者です!、罪を償います!」
ヒロ「こいつ(=佐藤)に全部罪を負わせよう」
吉田「あかんでしょ!」
裕は改心した新名と直子を特別庇うことはしない。
ヒロが今別府に対し、
ヒロ「お爺さんも事情聴取に協力してください」
ヒロが佐藤・新名・直子を連行し、今別府も警察署に向かった。
その7に続く