[アンケート『???』=茂造と千鶴はどうやって結ばれたのか?]

今回は、辻本さんが観客に物語を考える機会を与えてくださったので、

私なりに、本編から得られる情報を元に、物語に破綻が生じない範囲で考えてみました。

(お遊びですニコニコ)



結論


茂造の正体は、ボサボサのカツラを被り変装、若作りした『源作
』。


源作は、オーナーに勤務態度を注意されて旅館を飛び出し、
安尾運送で働き始めたが、早々にリストラされる。
一目惚れした千鶴のことが忘れられず、旅館に戻ることを決意。
源作として戻ることはプライドが許さず、茂造に化けた。



茂造(=源作)は、浮浪者ではなく、

空き缶を使ったアートを製作する、覆面芸術家『バンクシーゲ』。


浮浪者に見える服装や顔の汚れは、創作活動の際に付いたもの。

世界的芸術家・バンクシーとは全く無関係の無名芸術家だが、

自分のことをオンリーワンと思っている。
実際は、メルカリに出品して小銭を稼いでいる程度。

 

(『バンクシー+茂造=バンク茂→バンクシーゲ』と、新喜劇風にしてみましたウインク)


持ち前の押しの強さで、
押しに弱い、傷心の千鶴を口説き落とした。

千鶴を口説き落とす際には、
空き缶拾い三ヶ月分のアルミで作った婚約指輪をプレゼントし、千鶴を感激させた。

 


終盤の、整髪料で固めたような七三分けの黒髪は、
正体が源作であることを隠すため、両サイドの黒髪を上げて寄せたもの。
(七三分けと見せて、実は七三寄せ)

 

だが、ほんの少し、千鶴を支え守っていく覚悟の意味も込められている。

 


↑大雑把に描いたイメージ図です
 

 


以下は、結論に至るまでの過程。


千鶴は、イケメンが好き
→イケメンではない茂造からアタックしたはず
(あくまでキャラクターの話で、辻本さんは凄くカッコいいと思いますよ?ウインク)


千鶴は、源作の押しの強さに憧れていた
→千鶴は押しに弱い


千鶴は大失恋をしており、ハッピーエンドであってほしい
→世の中金が全て等、失恋で千鶴の性格が荒んだわけではない
→茂造の財産に目が眩んだわけではなく、あくまでピュアな恋愛
→茂造が浜辺のゴミ拾いで一山当てた…×
→茂造はアルミ缶製の武器商人として財を築いた…夢も無いので×


茂造は旅館の人間関係に詳しく、
皆の特徴に触れる際、千鶴だけ細部まで触れている
→この時点で既に、茂造は千鶴に惚れている
→そもそも、納屋に住んだこと自体、千鶴に近づくための計画的犯行ではないか?
→いつ、どこで、千鶴の存在を知ったのか?


奇天烈な行動を取り、秘密を我慢できない茂造が、
二度目の吹き矢で確実に森田を仕留めるほど、真相を知られたくない
→奇天烈とは程遠いピュアな理由か、プライドに関わる理由


キャンディだけでなく、その恋人・森田も真相を知っている
→秘密にしたい茂造から喋るとは考え辛く、二人が何かに気付いた
→皆に真相を告げたい様子の森田
→過去に痛い目に遭った仕返しをしたい
→合わせて〇千万!、カッパ弄り=仕返ししたい相手は、源作


茂造の黒髪の七三分け
→千鶴を守る覚悟を決めた…にしては、ジャージが汚れたまま
→七三分けは、正体を隠すためのもの


空き缶に対する異常な執着心
→旅館の仕事で生活できる=アルミとして売っているわけではない
→創作力がある

→服装や顔の汚れについて、周囲の人間がニオイに触れる場面が一度も無い
→服装や顔の汚れは創作活動によるもの

…以上を勘案し、
茂造=源作=空き缶アーティストと考えました。

  

 

 

[雑感]
辻本茂雄さんや安尾信乃助さん個人については、定期的に触れておりますので、
今回はストーリーを中心に触れたいと思います。
 

タイトル『覚悟』について

『覚悟=困難に対する心構え』、といったところでしょうか。
 
辻本さんご自身がおっしゃったように、『芸人・辻本茂雄』としての覚悟はもちろん、
物語にも、大小様々な覚悟が見られました。

半ば自由人の茂造が千鶴と結婚したことも覚悟かもしれませんね。

そんな中で、一際大きな覚悟が見られたのは、

やはり、良太と奥村、明里の二人の父親だと思います。

良太は、血の繋がっていない子の父親として生きる覚悟、
奥村は、実の子の幸せのために、母子二人から離れる覚悟でした。

 

配役面では、

ツッコミ役を慣れない平山さんに任たこと、

これまでご自身が担当されてきた泣きの芝居を若い高井さんに託したこと、

2時間笑いを取り続ける役を担ったことも、

辻本さんの覚悟を感じました。

 

 

泣き笑い
 

辻本さんと吉田佳さんが取り組んでいる『泣き笑い』は

年々、凄みを増していますね。
 
特に終盤、旅館の仲間が涙ながらに明里に言葉を掛ける感動的な場面、
実際に涙する茂造が
神部「お前はええ!えー
と、神部に止められる瞬間は、何度見ても最高ですね(えーん笑い泣き拍手)。
 
最終的には、茂造も仲間の輪に加わることができ、凄くほっこりしました照れ



島田珠代さん


皆さん、熱演でした。
 
その中でも、島田珠代さんは、笑いはもちろん、泣きの芝居も素晴らしく、
大活躍という意味で、『島田珠代無双』と言っても過言ではない内容でした。


茂造と千鶴はどうやって結ばれたのか…
メタ的な話もありなら、
『辻本茂雄さんが島田珠代さんの才能に惚れ込んでいるから』
これが二人が結ばれた理由の全てではないでしょうか。

 
 

遊びのあるアンケート


茂造と千鶴の恋について、考える余地を残し、
アンケートで観客に積極的に作品に参加させる辺り、
ファンを重視する辻本さんらしいですね。
 

 


直子と奥村の恋愛

茂造と千鶴の恋愛以上に、二人の馴れ初めが気になりました。

真面目そうな女性と短気で荒々しいヤクザが
どこで知り合って、どうやって婚約するほどの大恋愛に発展したのだろう?
…色々、想像しました。

 

娘の明里は、二人の性格が程よくミックスされ、

そこに、良太が13年間注いだ優しさも加わったような性格になっていますね。

 

 


キャンディ

 


相当、魅力的なキャラクターに描かれていましたね。

常に千鶴の味方になり、プッシュし、優しく寄り添う姿が愛らしかったです。

①良太と奥村、直子、明里の友情・親子愛
②千鶴の恋
この二本柱の物語でしたが、
シリアスな物語を柔らかくしたのは、間違いなくキャンディだったと思います。

 

千鶴とキャンディがハッピーエンドに終わったことが嬉しかったですね照れ

 



記憶喪失と男女の関係


記憶喪失が親しい男女を見知らぬ関係へと引き戻す切ない展開は、
『バタフライ・エフェクト』、『シュタインズ・ゲート』、『君の名は。』等、
定番になっていますね。


辻本さんは、数年前の祇園花月公演カーテンコールで、

『君の名は。』の話をされていました。


辻本「『君の名は。』を新喜劇の舞台で表現することは、なかなか難しい」
と、作り手視点で映画を観ていることが分かる発言が印象に残っています。

記憶喪失ものを舞台で表現するため、ずっと案を練られていたのかもしれませんね。

 

 


香川県のうどん屋

辻本さんのお母様を思い出しました。
香川県の小豆島出身とのことでしたね。
更に、辻本さんのご実家は以前はうどん屋を営まれていて、
カーテンコールでは、香川営業のエピソードも頻繁に登場します。

『香川県のうどん屋』は、

辻本さんにとっても特別なキーワードだったのではないでしょうか?

 



森田展義さん

今年も、芸人・森田さんに対する

辻本さんの絶大な信頼が表れた起用になっていました。

森田さんが何をしても観客が笑ってしまうため、

シリアスな芝居で起用し辛いのかもしれませんが、
来年は、お芝居寄りの重い役も観てみたいですね。

 

 


テーマ曲の音源化の要望

(毎年、要望しているように思いますが)
テーマ曲のCD・配信等、音源化してくださると嬉しいですね。
夜芝居のテーマ曲を聴きたい時、自分の声で再現するのは寂しいものがあります、苦笑。
 

 


物語への要望

今作に大満足した上での贅沢な要望、という前提で-

胸の中心部への被弾という、即死でも不思議ではない撃たれ方をし、血を流し、
死を覚悟して明里との時間を過ごした末に力尽きた、奥村。
次の場面では、さほどリハビリに苦労しているでもなく、比較的陽気な姿を見せました。
 
この展開に関してだけは、ハッピーエンドや笑いで終わらせたいにしても、
少々行き過ぎた感を抱きました。
 
銃弾は一発一発に重みがないと、
次からは「助かるから大丈夫」と極めて軽い存在になってしまうように思います。



上記のような描写も含め、

もう少しだけ『泣き』に比重を置いた物語も観てみたいですね。
 

辻褄合わせのように全てがハッピーエンドに収まらなくても、
『茂造の絆』のように、切なく、胸に刺さる強烈なラストでも良いと思います。

 

過剰なハッピーエンドでも、過剰なバッドエンドでもなく、

登場人物に更に感情移入できるような、

物語の流れに沿った、より自然なサッドエンド、より自然なハッピーエンドを観てみたいです。

 

周年公演『辻本新喜劇』で大笑いが確約されている分爆  笑照れ
『茂造夜芝居』では、自然な描写で思いきり涙したい気持ちもあります。


ただ、『茂造の公演=吉本新喜劇』を期待するファンも多いと思われ、
辻本さんが泣き笑いのバランス取りに苦慮されていることも、容易に想像が付きますね。

 

 

長蛇の列


5月以降の公演では、開場時に、

コロラドさんの先の楽屋口辺りまで、数百メートルの待機列ができるようになりました。
これは、私が通った祇園花月公演では目にしたことのない光景でした。

 

座席を確保している以上、並ぶ必要は無いのですが、
辻本さんと公演に対する期待から

「少しでも早く劇場に入って公演の空気を味わいたい。本番に備えたい」、
そんな気持ちが長蛇の列となって表れたのかもしれませんね。

 

 

今年も、辻本さんに感情をコントロールされ、心地よい時間を過ごすことができました。
演者さん全員の熱演に泣き、笑い、元気付けられました照れ

辻本さんとチームの皆さんに、感謝!、感謝!、感謝です!!

夏の辻本新喜劇、そして、来年の茂造夜芝居を楽しみに
日々を過ごしていきたいと思いますニコニコ

 
 
 

[おわりに]

毎年、辻本さん・演者さん・スタッフさんが力の入った作品を届けてくださるため、

作品の熱量と向き合おうとすると、どうしても文字数が増えてしまいますね、苦笑。

 
辻本茂雄さんとチームの皆さんへの
最大限の敬意と感謝の気持ちを込めて作りました。

 

全24編、最後まで読んでくださった皆さんに深く感謝いたします。

 
 
 
千穐楽について、追記しました。
 
 

2019/04/23~05/06
【茂造の覚悟】 完