『おっちゃんと私』

 

 

[セット紹介]
『たこ焼き屋台のある公園』

舞台中央に、たこ焼き屋台。
舞台上手端に、花月組事務所の玄関。

 

 
 

[物語]
(敬称略)


舞台は、たこ焼き屋台のある公園。
(舞台上手端には)花月組と書かれた建物が見える。

信行(瀧見信行)と萌々花(石井萌々花)がデートにやってきた。
瀧「いやー、ええ天気やなー!爆  笑
萌「ほんま、ええ天気ね
照れ


瀧「こんな日にこんな可愛い萌々花ちゃんとデートできるなんて、最高や!照れ
萌「可愛いやなんて、もう、嫌やわぁ~!」
と、バッグで信行の顔面を叩く。
瀧「痛ーっ!萌々花ちゃん、何すんの!?アセアセ
萌「ごめん!可愛いって言われたから、嬉しくて、つい~」
瀧「『つい』で叩く~!?…気ー付けてや
タラー

瀧「でも、ほんま、綺麗やで
照れ
萌「綺麗やなんて、もう、嫌やわぁ~!」
と、また、バッグで信行の顔面を叩く。
瀧「痛ーっ!萌々花ちゃん、またーっ!
アセアセ
萌「ごめん!綺麗って言われたから、嬉しくて、わざと~」
瀧「『わざと』っ!?」


萌「動いたら、お腹が空いちゃったわね」
瀧「ちょうどたこ焼き屋かあるし、食べてく?
ウインク
萌「そうしましょ!」

瀧「でも、お店の人おらんなあ…」
萌々花が舞台下手袖を見て、
萌「向こうから来る人が店員さんちゃう?」


舞台下手袖からギターを抱えた松浦(松浦真也)が現れる。

松浦は信行と萌々花の存在に気づき、
松「お客さん、すみません!買い出しに行ってました」

観客は見慣れているが、萌々花にはギターをた姿が不思議な様子。
萌「どうしてギターを抱えているんですか?」
松「お客さん用のサービスなんですニコニコ
松「お客さんのイメージソングを作って歌うんですけど」

松浦は信行を見て、
松「歌いましょうか?」
瀧「せっかくなんで、お願いします」
松浦は信行を上から下へと眺め、一瞬で、
松「できました!」
瀧「もう!?
びっくり

松「行きます!」
松浦がギターを弾き、歌い始める。
松「♪ふんふり ふんふり」
松「♪ふんふり ふんふり」
瀧「…何て言うてるか分からん!(苦笑)」

松「分かりません!?…よう聞いてくださいね?」
瀧「…」
松「♪ズングリ ムックリ
口笛笑い泣き
瀧「悪口やないか!ムキー

松「彼女さんのイメージソングも」
松浦が萌々花を見ながら、ギターを弾き、歌い始める。
松「♪ほふひ はんほ ひっへ はいほ」
瀧「…何て言うてるか分からん!(苦笑)」
松「♪特に 何も 言って ないぞ
口笛
瀧「何やねん!
ムキー


松浦は萌々花を見て、
松「顔、鶴橋にいるおばさんみたい。スタイルはええけど
ニヤリ笑い泣き
萌「なんなの!?プンプン
瀧「俺の彼女に酷ないか!?
プンプン

松浦は信行を見て、
松「背の割に足だけでかすぎません?
ニヤリ
瀧「28cmや!

瀧「俺らのこと、馬鹿にしてんのか!?
プンプン
松浦はギターを使い、
『ピンポン
口笛

瀧「謝れよ!
プンプン
松「♪ご~めんなさい口笛
瀧「ふざけとるやないか!」
松「謝ってますやんっ!
えー
瀧「誠意見せえ!
ムキー
松「そんな、チンピラみたいな言い方…」
瀧「誠意や!
ムキー

松「…分かりました。上司と相談してきます」
瀧「…上司?
キョロキョロ

松浦が花月組の玄関へと向かう。
瀧「…えっ?
アセアセ

松浦が玄関に向けて、
松「アニキーっ!
ニヤリ

瀧「もしかして、あんたもヤクザ?
アセアセ
松浦はギターを使い、
『ピンポン』
瀧「…!
ガーン

松浦がまた玄関に向けて、
松「アニキ!居てますか!?
ニヤリ


松浦の声を聞き、花月組の事務所から強面の烏川(烏川耕一)が現れる。
烏「なんや、松浦。どないしたんや?」
松「アニキ。あの客が『誠意を見せろ』って!」
烏「何やと!?
プンプン

強面の烏川が信行達の前に行く。
瀧「…!
ガーン
烏川は一転して可愛らしい笑顔になり、
烏「すいませんでした!
おねがい
烏川は屋台のたこ焼きを取り、
烏「こちらはお詫びです。お代は結構ですので
ウインク
烏「次回の100円引きクーポンもどうぞ!
ウインク

烏川は笑顔のまま土下座し、
烏「すいませんでした!
おねがい

信行は烏川を気味悪がり、
信「萌々花ちゃん、行こ!
ガーンアセアセ
二人が去っていった。

烏「お気をつけてー!
爆  笑

烏川から笑顔が消える。

松浦は烏川の応対に不満な様子。
松「アニキ。あんな奴、ぶん殴ったら良かったのに!
えー
烏「堅気に迷惑をかけたらあかん
プンプン
烏「組長も言うてるやろ?『暴力はあかん。暴力を振るう奴は三流や』って」

松「アニキ!尊敬します!
おねがい
松「尊敬する兄貴のために歌を作りました!聞いてください!」
松浦がギターを弾きながら、
松「♪アニキは 世界一! 宇宙一!…、顔四角い
口笛笑い泣き
烏「馬鹿にしてるやろ!」

烏「…とにかく、暴力はあかんぞ!
プンプン
 



烏川と松浦が話しているところに、ランドセルを背負った小学生・藍(酒井藍)が現れる。

烏川と松浦は話を止め、藍と目を合わせる。

藍は二人に挨拶することなく、二人を通り過ぎ、
(舞台上手端の)花月組玄関前の地面にランドセルを置く。
藍「よし、誰も居てない
ニコニコ
烏「目ー、合うたやろ!
タラー笑い泣き

藍は烏川の発言を無視して、
藍「ここやったら、暮らせそうニコニコ
藍「お着替えしよ
口笛
道端でスカートを脱ぎ始める、藍。

烏「やめ、やめっ!
アセアセ
藍は烏川を見て、服の上から胸と股間を隠す。
藍「どこ見てんねん!?
えー
烏「パンツ、丸見えやないか!
タラー
藍「…ほんまや。(苦笑)」
藍はパンツが見えないようスカートを下ろす。

 


スカートの肩紐の背中側が捻れてしまい、手の届かない、藍。

 

藍が烏川に、
藍「ネジネジ、直して?ウインク
烏「…しゃあないなあ
タラー
烏川が藍の後ろに立ち、紐を直そうとする。
藍が空を見上げ、
藍「星が綺麗やね
おねがい
烏川も空を見上げ、
烏「ほんまやな
照れ
烏「…って、何やこれ!
アセアセ笑い泣き


藍が一方的に自己紹介を始める。
藍「藍です!ニコニコ
藍「小学校三、四年生です!
ニコニコ
烏「どっちや!(苦笑)」
藍「小学校三年生です
ニコニコ

藍「今日から、ここで暮らすことにします!
ニコニコ
烏「はっ?」
藍「家出してきました
ニコニコ

烏「家に帰り」
藍「なんで?」
烏「親が心配する」
藍「なんで?」

烏「『なんで?なんで?』ばっかり…次言うたら、どつくぞ!
プンプン
藍「なんで?」
烏川が藍の胸ぐらを掴む。
藍「さっき、『暴力はあかん。暴力は三流のすることや』、言うとったのに
ニヤリ
烏「聞いとったんかい!
タラー
烏川が藍から手を離す。

烏「帰れ」
藍「嫌や」

烏「帰れ!」
藍「嫌や!ここに居る!」
仰向けになって駄々をこねる藍。
烏「パンツ、丸見えやないか
タラー

烏「起きてくれ」
藍は自分で起き上がることができない。
藍は手を上げ、
藍「起こして!
アセアセ

烏「…朝、どうやって起きてんねん
タラー笑い泣き

烏川が藍を起こし上げる。
その様子に合わせて、Windowsの起動音を弾く、松浦。
烏「パソコン立ち上げてるんちゃう!」 笑い泣き


烏「帰り!」
藍「嫌や!」
烏「力尽くで帰らせるぞ!」
烏川は藍を引っ張っていこうとするが、

 

藍は微動だにせず、そのまま相撲の取り組みのようになる。

松浦が行司になり、
松「のこった!のこった!」

烏「相撲ちゃう!タラー


烏「さっきから、ふざけてばっかりやな!
プンプン
藍「もう、ふざけません!
アセアセ約束します!」
藍「…約束するから、指切りしよ?
ウインク
烏「…指切り?」
藍が指を出し、面倒そうに自分の指を合わせる、烏川。

すると、藍が聞き慣れないソウルフルな『指切りげんまん』を歌い始め、烏川は唖然とする。
藍「♪指切りげんまん嘘を吐いたら針千ぼ~ん、」

藍「♪は~り~せ~ん~ぼ~ん飲ますっ 指切った!」 笑い泣き

烏「何やそれ!聞いたことないわ!タラー

藍「私らの間ではこれが普通ですけど…
口笛

烏「普通は『♪指切りげんまん 嘘ついたら 針千本飲~ます 指切った!』や」
藍「何それ!?ダサっ!
えー
烏「ダサない!普通や」

 
 
その3に続く