『おっちゃんと私』
[セット紹介]
『たこ焼き屋台のある公園』
舞台中央に、たこ焼き屋台。
舞台上手端に、花月組事務所の玄関。
[物語]
(敬称略)
⒈
⑴
舞台は、たこ焼き屋台のある公園。
(舞台上手端には)花月組と書かれた建物が見える。
信行(瀧見信行)と萌々花(石井萌々花)がデートにやってきた。
瀧「いやー、ええ天気やなー!」
萌「ほんま、ええ天気ね」
瀧「こんな日にこんな可愛い萌々花ちゃんとデートできるなんて、最高や!
![照れ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/007.png)
萌「可愛いやなんて、もう、嫌やわぁ~!」
と、バッグで信行の顔面を叩く。
瀧「痛ーっ!萌々花ちゃん、何すんの!?
![アセアセ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/100.png)
萌「ごめん!可愛いって言われたから、嬉しくて、つい~」
瀧「『つい』で叩く~!?…気ー付けてや
![タラー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/099.png)
瀧「でも、ほんま、綺麗やで
![照れ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/007.png)
萌「綺麗やなんて、もう、嫌やわぁ~!」
と、また、バッグで信行の顔面を叩く。
瀧「痛ーっ!萌々花ちゃん、またーっ!
![アセアセ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/100.png)
萌「ごめん!綺麗って言われたから、嬉しくて、わざと~」
瀧「『わざと』っ!?」
⑵
萌「動いたら、お腹が空いちゃったわね」
瀧「ちょうどたこ焼き屋かあるし、食べてく?
![ウインク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/004.png)
萌「そうしましょ!」
瀧「でも、お店の人おらんなあ…」
萌々花が舞台下手袖を見て、
萌「向こうから来る人が店員さんちゃう?」
⑶
舞台下手袖からギターを抱えた松浦(松浦真也)が現れる。
松浦は信行と萌々花の存在に気づき、
松「お客さん、すみません!買い出しに行ってました」
観客は見慣れているが、萌々花にはギターをた姿が不思議な様子。
萌「どうしてギターを抱えているんですか?」
松「お客さん用のサービスなんです
![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/002.png)
松「お客さんのイメージソングを作って歌うんですけど」
松浦は信行を見て、
松「歌いましょうか?」
瀧「せっかくなんで、お願いします」
松浦は信行を上から下へと眺め、一瞬で、
松「できました!」
瀧「もう!?
![びっくり](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/014.png)
松「行きます!」
松浦がギターを弾き、歌い始める。
松「♪ふんふり ふんふり」
松「♪ふんふり ふんふり」
瀧「…何て言うてるか分からん!(苦笑)」
松「分かりません!?…よう聞いてくださいね?」
瀧「…」
松「♪ズングリ ムックリ
![口笛](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/010.png)
![笑い泣き](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/015.png)
瀧「悪口やないか!
![ムキー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/009.png)
松「彼女さんのイメージソングも」
松浦が萌々花を見ながら、ギターを弾き、歌い始める。
松「♪ほふひ はんほ ひっへ はいほ」
瀧「…何て言うてるか分からん!(苦笑)」
松「♪特に 何も 言って ないぞ
![口笛](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/010.png)
瀧「何やねん!
![ムキー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/009.png)
⑷
松浦は萌々花を見て、
松「顔、鶴橋にいるおばさんみたい。スタイルはええけど
![ニヤリ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/003.png)
![笑い泣き](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/015.png)
萌「なんなの!?
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
瀧「俺の彼女に酷ないか!?
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
松浦は信行を見て、
松「背の割に足だけでかすぎません?
![ニヤリ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/003.png)
瀧「28cmや!」
瀧「俺らのこと、馬鹿にしてんのか!?
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
松浦はギターを使い、
『ピンポン
![口笛](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/010.png)
瀧「謝れよ!
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
松「♪ご~めんなさい
![口笛](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/010.png)
瀧「ふざけとるやないか!」
松「謝ってますやんっ!
![えー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/011.png)
瀧「誠意見せえ!
![ムキー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/009.png)
松「そんな、チンピラみたいな言い方…」
瀧「誠意や!
![ムキー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/009.png)
松「…分かりました。上司と相談してきます」
瀧「…上司?
![キョロキョロ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/016.png)
松浦が花月組の玄関へと向かう。
瀧「…えっ?
![アセアセ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/100.png)
松浦が玄関に向けて、
松「アニキーっ!
![ニヤリ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/003.png)
瀧「もしかして、あんたもヤクザ?
![アセアセ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/100.png)
松浦はギターを使い、
『ピンポン』
瀧「…!
![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
松浦がまた玄関に向けて、
松「アニキ!居てますか!?
![ニヤリ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/003.png)
⑸
松浦の声を聞き、花月組の事務所から強面の烏川(烏川耕一)が現れる。
烏「なんや、松浦。どないしたんや?」
松「アニキ。あの客が『誠意を見せろ』って!」
烏「何やと!?
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
強面の烏川が信行達の前に行く。
瀧「…!
![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
烏川は一転して可愛らしい笑顔になり、
烏「すいませんでした!
![おねがい](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/005.png)
烏川は屋台のたこ焼きを取り、
烏「こちらはお詫びです。お代は結構ですので
![ウインク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/004.png)
烏「次回の100円引きクーポンもどうぞ!
![ウインク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/004.png)
烏川は笑顔のまま土下座し、
烏「すいませんでした!
![おねがい](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/005.png)
信行は烏川を気味悪がり、
信「萌々花ちゃん、行こ!
![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
![アセアセ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/100.png)
二人が去っていった。
烏「お気をつけてー!
![爆 笑](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/001.png)
⑹
松浦は烏川の応対に不満な様子。
松「アニキ。あんな奴、ぶん殴ったら良かったのに!
![えー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/011.png)
烏「堅気に迷惑をかけたらあかん
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
烏「組長も言うてるやろ?『暴力はあかん。暴力を振るう奴は三流や』って」
松「アニキ!尊敬します!
![おねがい](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/005.png)
松「尊敬する兄貴のために歌を作りました!聞いてください!」
松浦がギターを弾きながら、
松「♪アニキは 世界一! 宇宙一!…、顔四角い
![口笛](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/010.png)
![笑い泣き](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/015.png)
烏「馬鹿にしてるやろ!」
烏「…とにかく、暴力はあかんぞ!
![プンプン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/013.png)
⒉
⑴
烏川と松浦が話しているところに、ランドセルを背負った小学生・藍(酒井藍)が現れる。
烏川と松浦は話を止め、藍と目を合わせる。
藍は二人に挨拶することなく、二人を通り過ぎ、
藍「よし、誰も居てない
![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/002.png)
烏「目ー、合うたやろ!
![タラー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/099.png)
![笑い泣き](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/015.png)
藍は烏川の発言を無視して、
藍「ここやったら、暮らせそう
![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/002.png)
藍「お着替えしよ
![口笛](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/010.png)
道端でスカートを脱ぎ始める、藍。
烏「やめ、やめっ!
![アセアセ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/100.png)
藍は烏川を見て、服の上から胸と股間を隠す。
藍「どこ見てんねん!?
![えー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/011.png)
烏「パンツ、丸見えやないか!
![タラー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/099.png)
藍「…ほんまや。(苦笑)」
藍はパンツが見えないようスカートを下ろす。
⑵
スカートの肩紐の背中側が捻れてしまい、手の届かない、藍。
藍が烏川に、
藍「ネジネジ、直して?」
烏「…しゃあないなあ」
烏川が藍の後ろに立ち、紐を直そうとする。
藍が空を見上げ、
藍「星が綺麗やね」
烏川も空を見上げ、
烏「ほんまやな」
烏「…って、何やこれ!」
⑶
藍が一方的に自己紹介を始める。
藍「藍です!」
藍「小学校三、四年生です!」
烏「どっちや!(苦笑)」
藍「小学校三年生です」
藍「今日から、ここで暮らすことにします!」
烏「はっ?」
藍「家出してきました」
烏「家に帰り」
藍「なんで?」
烏「親が心配する」
藍「なんで?」
烏「『なんで?なんで?』ばっかり…次言うたら、どつくぞ!」
藍「なんで?」
烏川が藍の胸ぐらを掴む。
藍「さっき、『暴力はあかん。暴力は三流のすることや』、言うとったのに」
烏「聞いとったんかい!」
烏川が藍から手を離す。
烏「帰れ」
藍「嫌や」
烏「帰れ!」
藍「嫌や!ここに居る!」
仰向けになって駄々をこねる藍。
烏「パンツ、丸見えやないか」
烏「起きてくれ」
藍は自分で起き上がることができない。
藍は手を上げ、
藍「起こして!」
烏「…朝、どうやって起きてんねん」
烏川が藍を起こし上げる。
その様子に合わせて、Windowsの起動音を弾く、松浦。
烏「パソコン立ち上げてるんちゃう!」
⑷
烏「帰り!」
藍「嫌や!」
烏「力尽くで帰らせるぞ!」
烏川は藍を引っ張っていこうとするが、
藍は微動だにせず、そのまま相撲の取り組みのようになる。
松浦が行司になり、
松「のこった!のこった!」
烏「相撲ちゃう!」
⑸
烏「さっきから、ふざけてばっかりやな!」
藍「もう、ふざけません!約束します!」
藍「…約束するから、指切りしよ?」
烏「…指切り?」
藍が指を出し、面倒そうに自分の指を合わせる、烏川。
すると、藍が聞き慣れないソウルフルな『指切りげんまん』を歌い始め、烏川は唖然とする。
藍「♪指切りげんまん嘘を吐いたら針千ぼ~ん、」
藍「♪は~り~せ~ん~ぼ~ん飲ますっ 指切った!」
烏「何やそれ!聞いたことないわ!」
藍「私らの間ではこれが普通ですけど…」
烏「普通は『♪指切りげんまん 嘘ついたら 針千本飲~ます 指切った!』や」
藍「何それ!?ダサっ!」
烏「ダサない!普通や」