⒍
⑴
隣の喫茶フラワームーンのマスター・安尾(安尾信乃助)が現れる。
安「おじゃましますか?」
安「皆さん、お元気です…」
等、『か?』の使い方がおかしい、安尾。
信濃が一つ一つ指摘していく。
⑵
安尾は用事があって、来店した様子。
安「うちに新人が入ったんで、紹介しておこうと思いまして」
信「それやったら、うちも新人が入ったんで、紹介しますね」
そこに、エプロンを着けたあき恵が上手袖通路から現れる。
あ「これでいいかしら?」
安尾はあき恵を見て、
安「ブッサイクやなーっ!」
あ「ブサイクじゃないわよ!」
安尾が平泉成のモノマネであき恵に自己紹介し、
あき恵も自己紹介する。
⑶
安尾が新人を紹介すると喫茶店の方に呼び掛けると、
喫茶店から珠代(島田珠代)が現れる。
指先を床につく、いつもの挨拶をする、珠代。
珠「どうも、どうも~…こんにちは~!」
珠代は徐々に信濃に近づき、信濃な肩に横顔を寄せ、
珠「好き~」
⑷
珠「二人っきりね…」
信「どこがや!」
珠代の合図を聞いた皆が舞台袖に捌ける。
ここから、一連の珠代ネタのコーナー。
今回はツッコミが優しい人のパターンで、信濃がツッコむたびに珠代がダメ出しする。
珠「ツッコミが緩いー!(泣)」
珠「優しさが出すぎだよー!(泣)」
珠「優しくされると、逆に辛いんだよー!(泣)」
珠「どっかで珠代のVTRを観てこいよ!(泣)」
珠「ストレスが溜まるー!(泣)」
珠「家に帰りたいよ!(泣)」
『壁ドン』だけはせず、
珠「このコーナーはもう終了だよ!」
珠「以上でした!」
珠「以上でしたー!!」
珠代は言葉を繰り返すことで、不満な態度(の体)を示す。
⑸
皆が舞台袖から現れる。
新「終わりました?」
信「早よ出てこいよ!」
安「風呂に入る時間があった」
⒎
⑴
安尾はもう一人、新人を採用したよう。
(繁盛しているのか、従業員の入れ替わりの激しい劣悪な労働環境なのか…)
安尾が喫茶店に呼び掛けると、
安世(井上安世)が現れる。
安世は前髪をアップし、喫茶店の白い制服を着ている。
井「どうも、初めまして!」
信濃が安世を見た瞬間、
『♪ピロリロリ~ン』
と、一目惚れの効果音が流れ、信濃が目を輝かせ客席の方を見る。
信濃は、安世の美貌に一目惚れしてしまった様子。
※
補足。
安尾信乃助さんと井上安世さんのセリフについては、混同を避けるため、
安尾信乃助さんは『安』と、
井上安世さんは『井』と表記します。
⑵
あき恵は安世を見て、
あ「安世ー!」
と、安世のもとに駆け寄る。
井「あき恵ー!」
信「二人は知り合い?」
あ「小学校のクラスメイトだったの」
新「生徒と校長やん!(苦笑)」
あ「クラスメイトよ!」
信「こんな偶然、あるんやね」
安世が信濃とテツに自己紹介する。
⑶
安尾が安世と珠代に、
安「食べていくから、二人は喫茶店の掃除しておいてくれる?」
安世と(レジ周りのものを盗んだ)珠代が喫茶店に入っていった。
⑷
信濃が入り口に立ち、喫茶店を見つめる。
信「可愛かったな…」
安「大将、ラーメン作ってくれる?」
信濃には安尾の言葉は聞こえておらず、喫茶店をずっと見つめている。
安「大将!!」
信「えっ?あっ、はい。…何ですか?」
安「はは~ん」
安「好きになったんやな?…珠代ちゃんのこと」
信「珠代ちゃん、違う!」
あき恵が一歩前に出て、
あ「あき恵ちゃん?」
信「あき恵ちゃんでもない!」
テツが一歩前に出て、
新「僕ですか!?…イヤッ」
信「なんでや!…ほんで、『イヤッ』って言うたな!(苦笑)」
あき恵が信濃に対し、
あ「冗談よ!…安世ちゃんでしょ?」
信「全部、俺のタイプで…」
信「つぶらな瞳」
信「アップした前髪」
信「何より、白い服が似合う透明感のある姿」
⑸
あ「岳夫兄ちゃん、告白したら?」
信「告白なあ…。良い感じになったら、告白するわ」
あ「何、呑気なことを言ってるのよ」
あ「男と女の出会いは奇跡なのよ!その瞬間を逃しちゃダメ!」
あき恵は客席に体を向け、人差し指を左右に振りながら、
あ「良い感じになったら…ノン!、ノン!、ノン!」
あ「今すぐ、告白よ!」
あ「誰かに取られる前に告白!」
⑹
信「でも、顔を見て告白するのは、緊張するなあ」
あ「じゃあ、背中越しに告白すれば?」
信「…分かった」
信濃が舞台中央上手寄りで上手を見るように立ち、安尾が喫茶店に呼びかける。
安「珠代ちゃん!…じゃなくて」
信「やめて!」
安「安世ちゃーん!」
安尾・テツ・あき恵がカウンターに隠れる。
⑺
ほうきを持った安世が喫茶店から現れるが、何か思い出したようで喫茶店に消える。
そこに、師匠の帯谷(=リーゼント風の前髪・白のシェフ姿)が紙袋を持って現れる。
あき恵か信濃に渡す物があったのだろうか?
信濃は背中の向こうに居る帯谷を安世と思い込み、語りかける。
信「お伝えしたいことがあります!」
帯「…?」
帯谷が舞台中央で信濃の背中を見るように立ち止まる。
⑻
厨房に隠れて見ている安尾達が焦り、帯谷に気づかれないよう信濃にアピールするが、
信濃は気付かず語り掛ける。
(舞台中央で、帯谷→信濃↘という立ち位置で)
信「あなたのことが好きでした!」
信「つぶらな瞳」
信「アップした前髪」
信「何より、白い服が似合う透明感のある姿」
全て、帯谷の特徴と合致している。
信「僕と付き合ってください!お願いします!」
信濃が下を見ながら振り向き、手を伸ばす。
帯「…!?」
帯「信濃…」
帯谷は信濃の手を取り、
帯「OKです!」
信濃は帯谷の声で異変に気付き、顔を上げ、帯谷を見る。
信「えーっ!?」
暗転。