テツ、一人。


新「花月の大将、どんな人なんやろな?」

テツがお茶を飲んで休憩しようと、ポットを探す。

新「ポット、あれへんな…」

 

そこに、全身白のシェフ姿(帽子は無し)で、前髪を上げた帯谷(帯谷孝史)が現れる。

帯「こんにちはニコニコ

 

テツは帯谷の声に気付き、帯谷を見る。

テツは帯谷に近づき、

新「ここにあるやんか口笛

と、帯谷の頭頂部を押す。 笑い泣き

 

ここから、一通りのポット弄り。

 

帯「ポットちゃう!アセアセ

帯「一人(=自分)と一個(=ポット)や!アセアセ

 

ポットを持つテツがポットを傾けながら、謝る。

新「間違えて、すみませんでした!アセアセ笑い泣き

帯「二人で謝るな!アセアセ笑い泣き

テ「『二人』、言うた。(苦笑)」 笑い泣き

 

信濃が休憩から戻ってくる。
信濃は帯谷を見て、
信「師匠!
びっくり

新「えっ?
キョロキョロアセアセ

 

帯谷は『花月』の大将で、信濃の師匠だった。

 

帯谷が信濃に対し、

帯「弟子の教育、どないなっとんや!」

信「テツ、何したんや!?」

新「ポットと間違えてしまいました!アセアセ

 

信「師匠、アルバイトが失礼して、すみません!アセアセ

と、ポットに話し掛ける、信濃。 笑い泣き

 

帯「こっちや!アセアセ

帯「お前も間違えとるやないか!タラー

 

帯谷と信濃は冗談が通じる仲のようで、帯谷は本気で怒っているわけではない様子。

 

信濃が帯谷に改めて挨拶する。
信「師匠。10年ぶりですね
照れ

帯「店の調子はどうや?」

信「ええ、まあなんとか、やってます」

 

信濃が帯谷に用件を尋ねる。

信「遠くからわざわざ…用事っていうのは?」
帯「高校を卒業した娘が『店を継ぎたい』と言い出してな…」
帯「ただ、親元で修行させると甘えが出てしまう」
帯「一番弟子のお前の店なら、娘を安心して預けられると思ってな」

帯「娘を修行させてやってほしい。頼む!お願い
帯谷が弟子の信濃に頭を下げる。
信「師匠、頭を上げてください!
アセアセ
信「喜んで、お引き受けします
照れ


信「いつから、仕事を始めますか?」
帯「今日からお願いできるかな?」
帯「…実は、お前なら引き受けてくれると思ってな。娘をそこまで呼んでるんや
ウインク

信「久しぶりに会うなあ
照れ
新「どんな子ですか?」
信「俺が弟子をしていた時は、まだ8歳やった」
信「小さくて、可愛かったな
照れ

信「あれから、もう10年」

新「ほな、18歳ですね!」
信「えらい大人になってるんやろな照れ

 

 



帯谷が店先に呼びかけると
いかにも少女っぽい、甘い印象の服装を着た、
帯谷の娘・あき恵(浅香あき恵)が現れる。

あき恵は過剰に可愛い声を作り、
あ「岳夫兄ちゃん、久しぶり
おねがい

新「ブッサイクやなーっ!
ニヤリ笑い泣き
あ「オーマイガー!ガーン


新「ほんまに18歳!?」
新「81歳の間違いでしょ?
ニヤリ笑い泣き

あ「失礼なこと言うな!こう見えても、高校卒業したばっかりや!ムキー
あ「なめとったら、怒るでしかし!
ムキー
新「おっさんになってますよ!
タラー
あ「今のはおっさんじゃなくて、やっさんよ!
えーアセアセ
新「やっさんもおっさんですよ
タラー

18歳とは思えない発言内容と喋り方のあき恵。
81歳はともかく、62歳位の言動に見える。


新名があき恵に自己紹介すると、あき恵はまた過剰に可愛い声を作り、
あ「18歳、あき恵です
おねがい

テツはあき恵に不快感を示し、
新「名前、聞きたない!
えー笑い泣き


(帯谷→あき恵→←新名←信濃、という立ち位置で)
新名はあき恵の顔を見て、
新「特技、気になります
ニヤリ
あ「ちょっと、何の話をしてるの?
キョロキョロ
新「鼻から油を出す特技です
ニヤリ
あ「鼻から油を出す人なんか見たことありますか!?
アセアセ
新「初めて見ました
ニヤリ
あ「何やの、もう!
プンプン
あき恵が怒り、顔を震わせると、
新「うわっ、油っ!
ガーンアセアセ(ニヤリ)
と、床に油が振り撒かれた体で、油を避けるように退く。

あ「油なんか出てないわよ!
プンプンアセアセ
すると、新名が一歩前に出て、スベる。
次は信濃が下手くそにスベる。
あ「下手くそーっ!ちゅりんて行けよ!
えー

帯「お前ら、ええ加減にせえよ!
プンプン
と、あき恵が油を落とした(体の)床を素通りして、新名達に近づく。
新「こけへんのかい!
ムキーアセアセ

あ「もう、酷い!
ガーン
あ「嫌~~~~ぁあ!!!!
ガーン

新「あっ、昼休みのサイレンや
ニヤリ
あ「違うわっ!
ムキー
上手袖通路に捌けようとする新名にバッグを投げつける。

新名は床に投げつけられたバッグを見て、
新「…入れ歯?
キョロキョロ(ニヤリ)笑い泣き
あ「なんでや!ムキー

新名は恐る恐るバッグを触り、
新「ベトベトや!
タラー
と、サイドキックであき恵の方にバッグを転がす
ニヤリ笑い泣き

あ「蹴るなーっ!ムキーアセアセ


信濃が弟子時代を懐かしむように、あき恵との再会を喜ぶ。
信「あき恵ちゃん、大きなったな
照れ
信「一人くらい、彼氏でもできたんちゃうか?
ウインク
あ「バッ、バカね!?、彼氏なんて…!
アセアセ
あき恵は動揺して、体を大袈裟に震わせる。
信「…ウンコしてんの?(苦笑)」
笑い泣き
あ「乙女の恥じらいよ!アセアセ

帯谷が信濃に尋ねる。
帯「お前の方はどうや?」
信「相変わらず、彼女、できません
タラー
帯「そうか、まだか」


帯「ほな、ワシ、帰るわ」
帯「あき恵、頑張れよ!
バイバイ

帯谷が去っていった。


信「あき恵ちゃん。奥にエプロンがあるから、着けてくれる?」
あ「オツケー(=OK)!
口笛笑い泣き

あき恵がエプロンを着けるため、舞台上手袖通路に消えた。

新「エゲツないオバハンやな…
タラー笑い泣き
信「…(苦笑)」

 

 

その4に続く