⒒
⑴
UTKが安世に声を掛ける。
裕「お怪我は?」
安「大丈夫です。あなたは?」
裕「銃弾は当たっていませんから、大丈夫です」
信「当たってるでしょ?(苦笑)」
確かに、UTKに当たっていなければ、
その先に居た誰かに当たっていそうではあるが…
⑵
UTKが今別府を非難する。
裕「全て、あなたのせいですよ!」
裕「あなたは、安世さんの夫として相応しくありません!」
安世も今別府に対し、冷たく振る舞う。
安「顔も見たくない!早く帰って!」
今「すまんかった。…俺、行くわ」
今別府が入り口へとゆっくり歩いて行く。
今別府は入り口で振り返り、安世を見て、
今「あばよ!…俺が唯一愛した女、安世」
登場時に「付き合った一万人の中で三位」と言っていたが、この言葉が本心なのだろうか?
今別府が安世に語り続ける。
今「おめえ、俺みたいになるなよ」
今「温ったけえ家族を気付くんだぜ。…ここのうどんのように」
今「大親友の彼女の連れ」
今「美味しいパスタ作ったお前」
今「家庭的な女のタイプの俺、一目惚れ」
信「湘南乃風の『純恋歌』の歌詞やん!(苦笑)」
今別府は『♪目を閉じれば 億千の星』のメロディーで、
今「♪まだらな猫を 見つけたよ~」
信「そんな歌詞、無い!(苦笑)」
信「…」
信「…続きは?(苦笑)」
今「…」
今別府は『♪一番光る お前がいる』のメロディーで、
今「♪こんにちは 明日の私~」
⑶
今別府の語りがなかなか終わらず、
UTKが一歩前に出て、退場を促す。
裕「あなたが幾ら話したところで、安世さんが『やり直す』なんて言うわけない!」
裕「帰ってください!」
今別府が安世に対し、
今「…じゃあな」
今別府が安世に背を向け、うどん屋を出て行こうとする
その時、安世が今別府に対し、
安「ちょっと待って!」
安「…やり直しましょ!」
安世が今別府のもとに駆け寄る。
裕「えっ!?」
裕「えーっ!?」
裕「えーっ!?」
⑷
安世が今別府に対し、
安「あなたを待っていたの!」
安「あなた…」
今「安世…」
安世と今別府が見つめ合い、愛を確かめる。
⑸
UTKが安世に尋ねる。
裕「旦那のこと、嫌いって言ってましたよね?」
安「はい」
安「気付いたんです」
安世はゆっくりした喋りで、
安「『好きやからこそ、嫌いや』…って」
裕「何、それーっ!?」
安世と今別府が去っていった。
⑴
UTKは困惑と失恋の感情を混じらせ、
裕「人間って、何て難しいんだっ!」
裕「この目から流れるものは、何だ!?」
諸「油やで」
信「言うな!…お前が『人間扱いせえ』言うたのに。(苦笑)」
まりこがUTKを励ます。
ま「また、別の恋があるわよ」
裕「残念ですけど、良い勉強になりました」
⑵
そこに、吉本研究所の池乃と佐藤が現れる。
佐「モニター期間の一週間が経ったので、UTKを回収しにきました」
池「便利やったでしょ?」
信「便利とかじゃ…掛け替えのない存在になりました」
ま「家族のようでした」
諸「UTKと離れたくない」
信濃が池乃達に尋ねる。
信「また、UTKに会いにいってもいいですか?」
佐「次のモニター先のために、初期化して一週間の記憶を消します」
佐「だから、会いに来られても、皆さんのことは覚えていません」
諸「しょんな~(=そんな~)…」
⑶
UTKが諸太郎達に挨拶する。
裕「皆さん、短いあいっしたが…」
この回、至るところで噛んでいたUTKが重要な場面でも噛んでしまい、
あちこちから笑い声が漏れ出す
UTKが噛まないようにゆっくり言い直す。
裕「皆さん、短い間、でしたが…お世話に、なり、ました」
裕「皆さんに会えたこと、嬉しかったです」
諸「行っちゃうの?」
裕「アンドロイドは博士の命令が絶対なので」
諸「UTK…」
⑷
佐「博士。初期化ボタンを押してください」
しかし、池乃はUTKの方に行かず、
信「今はしなくていいです。(苦笑)」
池「こういうの、もの凄く気になるんで…」
⑸
池乃がUTKに命令する。
池「UTK、初期化ボタンを出しなさい」
UTKが服を捲りあげ、乳首を出し、左乳首を指差す。
裕「ここです」
諸「だから、『ドリルすな』、言うてたんや!」
⑹
池乃は初期化ボタンを押しかけて止め、
両手で自分の顔を覆い、泣き始める
信「なんで、博士が泣くんですか?(苦笑)」
信「UTKになんの思い入れもないでしょ?(苦笑)」
池「『もう、幼稚園行けへん!』…そう言いたくなるくらい、押したくない気持ちだよ」
信「全く、意味がわからん!(苦笑)」
終始、思い付きで喋っているような、池乃。
⑺
池乃が初期化ボタン(=乳首)を押す。
UTKが椅子に座り、初期化するような電子音がする。
音が鳴り止み、UTKが立ち上がる。
裕「初期化しました」
諸太郎がUTKに声を掛ける。
諸「僕だよ…」
裕「諸太郎!大将!まりこさん!」
諸「覚えてるやん!」
佐「どうなってるんや!?」
UTKが佐藤に対し、
裕「♪アホが見~る~ ブタのケ~ツ~」
諸太郎から習った言葉も忘れていない様子。
佐「おかしいな…」
佐藤が信濃達に尋ねる。
佐「液体とか入れていませんよね?」
信・ま・諸「…」
⑴
一週間の海外出張を終えた早苗が諸太郎を迎えに現れる。
UTKが早苗を見た瞬間、
『ピロリロリ~ン』と一目惚れの効果音がする。
裕「めちゃめちゃ可愛い!」
裕「ドキドキする!」
⑵
UTKが母親に惚れることを望まない諸太郎は、
咄嗟にUTKの初期化ボタンを押す。
裕「初期化しました」
UTKは即、早苗を見て、
裕「好きです!」
諸太郎がUTKの初期化ボタンを押す。
UTKは早苗を見ながら、
裕「初期化しました!」
裕「好きです!」
諸太郎がUTKの初期化ボタンを押す。
UTKは早苗を見ながら、「初期化しました」を飛ばし、
裕「好きです!」
⑶
佐藤はUTKの様子を見て、
佐「完全に故障していますね…」
池乃が信濃達に告げる。
池「一億円、弁償していただきます」
信「そんなーっ!」
信濃は、故障の原因を作った諸太郎に対し、
信「諸太郎、何とか言えや!」
諸太郎はアンドロイドっぽい口調で、
諸「私には感情がありません」
信「やかましいわっ!」
⒈
今別府直之さん。
⑴
ここ最近、観覧した今別府さんの出演公演ですが、
・新喜劇Yeah!!!
・祇園花月・清水けんじさん週
・西梅田劇場・諸見里大介さん週
と、共通して『ピュッピュルッピュ ドン』に相当な尺が割かれていました。
ツッコミ役の座員さんの力量もあるとは思うのですが、
そのツッコミに対する今別府さんの返しがまた面白いですね
SNSでの呟き・川畑さんとのやりとりも楽しいですね
⑵
11月には『今別府JAPANファン感謝祭』なる謎の企画がありますが、
文字通りの単独イベント『俺は伝説になる5』にも期待しております。
UTKが実は人間で、詐欺グループがうどん屋を騙す展開かと思いました。
吉本新喜劇として見ると、本当にアンドロイドだったことが意外でした。
奇想天外さ。
⑴
今回のアンドロイド周りの設定も、
子供がアンドロイドに抱くイメージをそのまま具体化したような内容になっていました。
⑵
諸見里さんの作品の奇想天外さについては、
優勝を勝ち取った、2016年11月の『吉本新喜劇2026』の時から強く感じていました。
その時は、落ちこぼれの『おもちゃ課』vsエリートの『営業課』を描いた物語でしたが、
おもちゃ課の存廃の決定権がなぜか営業課にあり、
存廃の判断基準は『おもちゃ課の営業成績(←P/Lの営業利益的な意味?)』という、
やはり、子供がイメージしたような現実離れした会社組織になっていました。
↑作・演出も今回同様、藤原和博さんです。
※
付記。
グランプリの名目だった、一昨年の『吉本新喜劇2026』。
審査員の名前は最後まで公表されず、各公演の寸評も無く、
一年間を通して、審査らしい審査はあったのでしょうか?
…と、多くのファンが感じていたことを、舞台上の座員さんもネタにされていましたね、苦笑。
諸見里さんが担当したファイナル公演は、後日Youtubeにアップされる約束でしたが、
アップされることはありませんでした。
昨年の(吉本新喜劇2027の役割の)『しんきげき10』、今年の『吉本新喜劇2028』と
毎年、大きなコンセプトを掲げながら、結局、完遂できずに終わるところも
吉本新喜劇らしいでしょうか、苦笑。
⑴
物語は、非論理的で不自然な場面の連続でもありました。
液体物を流し込んではいけない設定のアンドロイドでありながら、
液体物を流し込める構造(=口)になっていて、
それでいて、液体物を拒否するプログラムすら組んでいない『優秀な科学者』。
加えて、科学者から口頭説明は無く、取扱説明書が渡されただけ等、
真面目に見ようとするとツッコミどころの多い物語となっていました。
次の仕掛けのために登場人物が動かされているようでした。
例えば、終盤の流れを見ても、
①妻が夫を拒みながら、一旦その場を去ることなく、奥の部屋で二人だけで話し合う
②夫の借金取りがうどん店に現れる←後を付けていたとしても、①から間があり過ぎる
③借金返済しない場合、夫とは無関係のうどん店を営業できなくする旨の発言
と、かなり不自然な場面になっているように感じます。
⑶
この不自然さと向き合う座員さん達はかなり大変だったのではないでしょうか。
論理的な展開は流れで覚え易いですが、
オモチャ箱をひっくり返したような感性寄りの展開は覚え辛く、
ただ、諸見里さんの作品は設定からして奇想天外ですので、
物語の論理性については、あまり深く追うようなことではないのでしょうね。
常識に囚われず、脳みそを空っぽにし、諸見里さんの世界観に身を委ねることが
諸見里さんの作品を100%楽しむコツのように思います
諸見里さんはフリートークがいつも素晴らしく感じます。
今回は西梅田劇場ということで、フリートークのコーナーはありませんでしたが、
祇園花月・ズッコケ体験やイベント公演のカーテンコールは毎回盛り上がりますね。
座員さん各人に色があって、面白いですね
【よしもと西梅田劇場・諸見里大介さん担当週】
『諸太郎 VS アンドロイド!?』 完