⒍
⑴
亜依との交際を反対された、真也。
景子が真也を励ます。
景「どうにかなりますって!」
景「私、真也さんが元気になる歌を歌います!」
景「ギターを貸してもらえますか?」
真也がギターを景子に渡し、景子がギターを抱える。
景「聞いてください!…『真也さんへ』」
景「ワン、ツー、スリー…」
ギターを弾くと見せかけて、ギターを拳で軽く3回叩き、
『それが大事』を歌い始める。
景「♪負けない事 投げ出さない事 逃げ出さない事 信じ抜く事」
景「♪駄目になりそうな時 それが一番大事~」
景子はギターの弦に指を伸ばすが、結局、手を遠ざけ、
景「♪ウォー オー オーオオオー…」
佐「弾かへんのかいっ!」
しかし、真也は感動したようで、泣くふりをしながら、
真「アンコール!アンコール!」
⑵
真也と景子が舞台上手袖に掃除に向かうことにする。
景子が途中で立ち止まり、佐藤に警告する。
景「実は、歴代リーダーは幽霊に呪われて辞めたんです」
景「佐藤さん、気をつけて」
景子が掃除に向かった。
⒎
⑴
佐藤、一人。
歴代リーダーが幽霊に呪われた話に、
佐「信じんかったら、大丈夫や!」
その時、女性の笑い声が聞こえてくる。
女「フフフフフ…」
佐「なんや、この声!?」
佐「女性の笑い声…まさか、幽霊!?」
⑵
『ドロロロロ…』
という、和風のお化け屋敷で聞かれる効果音が流れ出し、
舞台が薄暗くなる。
舞台下手袖から、白装束に白の三角頭巾という死に装束を身にした、
まりこ(森田まりこ)が現れる。
まりこは両手を胸の辺りで垂らし、幽霊らしい動きをしながら、
ま「フフフフフ…」
まりこは笑いながら、佐藤に近付いてくる。
ま「フフフフフ…」
ま「アハハハハ…」
ま「アーハッハッハ」
ま「何が可笑しいの~!?」
佐「お前や!」
⑶
佐藤が自分のことが見えていることに驚く、まりこ。
ま「私のことが見えているの!?」
佐「変な格好して、前におるやん!」
ま「私は天国からこの世に戻ってきた、幽霊のまりこ」
ま「だから、人間には見えないはずなの」
佐「俺、霊感が強いから…」
佐「でも、こんなにハッキリ見えるんはおかしい」
佐「ほんまに幽霊なん?」
⑷
真也と景子が掃除を終え、戻ってくる。
(まりこ→佐藤→←真也←景子、というポジションで)
佐藤が真也と景子に対し、
佐「変な女の人が来てるんやけど…」
真「どこですか?」
景「居ませんけど」
二人には、まりこが見えていない様子。
まりこが佐藤に、
ま「言ったでしょ?見えないって」
真也と景子には、まりこの声も聞こえていない。
※
補足。
劇中、基本的には、
スタッフリーダー・佐藤以外の人間には幽霊は見えず、声も聞こえていません。
⑸
佐藤はまりこの話をまだ信じておらず、
真也と景子に、
佐「ここ(舞台中央・下手寄り)におるやん!」
真「居ませんて!」
真也がまりこに近付き、ギリギリで避けて、まりこを通りすぎる。
佐「避けたやん!(苦笑)」
真「女の人、どこですか?」
景子がまりこに近付き、まりこの前で止まる。
まりこの左右に体を動かし、先を見る。
そして、まりこの横を通りすぎる。
佐「見えてるやん!(苦笑)」
景「どこですか?」
佐「二人、こっちに戻ってきて!」
真也がまりこに近付き、まりこの前でフェイントを仕掛けて、まりこを通りすぎる。
佐「フェイントしてるやん!(苦笑)」
真「石があったんで」
佐「石にフェイントなんか仕掛けんやろ!」
景子もまりこの周囲を回りながら、帰ってくる。
⑹
物語としては、真也と景子には、まりこは見えないようで、
真「リーダー、また、僕たちをビビラせようと」
景「子供っぽいところがあるわね」
二人が仕事をしに、舞台上手袖に消えた。
⑺
まりこが佐藤に対し、
ま「今ので信じてくれた?」
佐「…どうやら、ほんまのようやな」
ま「ある人に会うために、神様の許しを得て、一日だけこの世に戻ってきたの」
佐「頼むから帰ってくれ!仕事に支障が出かねん!」
ま「こっちは用があるんだから、そっちが帰んなさいよ!」
佐「そんなことしたら、クビになるわ!」
ま「私が客をビビらせて、あなたをクビにしてやるわ!」
⑻
啓之と幸恵が舞台上手袖から現れる。
(佐藤→まりこ→←啓之←幸恵、というポジションで)
まりこが二人に
ま「う~ら~め~し~や~」
啓「ヒーッ!」
啓之がまりこの方を指差し、悲鳴を上げる。
啓「蜘蛛が付いてるーっ!」
佐藤が自分の服を見て、
佐「あっ、ほんまや」
啓之が驚いたのは、まりこの先に居る佐藤の服に付いた蜘蛛で、
やはり、佐藤以外の人間には、まりこのことは見えず、声も聞こえていない様子。
まりこが佐藤の服に付いた蜘蛛を見て、
ま「キャーッ!蜘蛛ーっ!」
佐「お前がビビるんかい!」
まりこは蜘蛛が大の苦手のよう。
仰向けになり、足を上に上げ、開脚して気絶する。
佐「蜘蛛みたいになってるやん!」
暗転。
その5に続く