赤ちゃんも泣き止んだところで、
藍が皆にお茶を入れることにする。

しかし、ポットが見当たらない。


そこに、白スーツにサングラス姿のヤクザ風の男、帯谷(帯谷孝史)が現れる。

藍が一通りポット弄りをする。

烏川がポットを見つけたところに、帯谷の子分・瀧見(瀧見信行)が遅れて現れる。
瀧見はチンピラ風のラメ入りの緑服を来ている。
瀧「兄貴ーっ!」
瀧見は舞台中央の帯谷を通り越し、舞台上手に置かれたポットの前に行き、
瀧「兄貴、なんで先々、行くんですか!
アセアセ(口笛)

帯「こっちや!
アセアセ
帯谷が瀧見に声を掛ける。
瀧見は舞台中央の帯谷の方を見て、
瀧「兄貴が二人!?
キョロキョロ
帯「そっちはポットや!
アセアセ


藍が帯谷と瀧見に尋ねる。
藍「お宅ら、誰ですか?」

瀧「気付かんか?
ニヤリ
藍「千と千尋のカエル?
ニヤリ
と、瀧見にモノマネをさせる。

瀧「カエルちゃう!
アセアセ…まだ、気付かんか?ニヤリ
藍「メガネの度がキツい?
ニヤリ
瀧「違う!」
藍「服のセンスが悪い?
ニヤリ
瀧「違う!」

藍「顔がウンコみたい?ニヤリ
瀧「違う!」

烏川も加わる。
烏「だいぶ、額が来てますね?
ニヤリ
瀧見が前髪を上げる。
特に後退していないが、
藍「あっ!ハゲウンコ?
ニヤリ
瀧「違う!どれも違う!
アセアセ

瀧「悪口の極みやな!」
藍「『悪口の極み』!…おもろい、おもろい
ニヤリ」←あしらうように

瀧「何もおもろいこと言うたつもりないぞ。(苦笑)」


藍と烏川からは答えが出て来ず、
瀧見が自ら名乗る。
瀧「ワシら、吉本金融のもんや!
ニヤリ
瀧「注文したうどん、どないなっとんねん!」
赤ちゃんのことで手一杯で、出前を忘れたままだったよう。

烏「すみません。サービスさせてもらいますので
アセアセ
帯「慰謝料、100万円や!」
烏「100万なんて…
アセアセ

瀧「さっさと出せや!
ニヤリ
舞台下手側に立つ瀧見は、椅子を『軽く』蹴る。

藍「ウチの店に何するんや!
ムキー
舞台上手側に立つ藍は、椅子を『おもいきり』蹴る。
笑い泣き
椅子が飛び、壁に当たる。

烏川が藍に対し、
烏「お前が何するんや!
タラー
烏「ほんで、お前の店ちゃう!」


早苗が瀧見のもとに行く。
早「やめてください!
アセアセ

瀧見が早苗を突き倒す。
俊彦が怒り、瀧見を殴り倒してしまう。

瀧「ヤクザに手出しやがって!なめんなよ!
ムキー
瀧見が俊彦を殴り倒す。


その瞬間、早苗が激昂する。
早「なめてんの、お前らの方やろがっ!!!
ムキームキー
早「おい、カエルと廃番のポット!」
笑い泣き
早「ウチの旦那に手出したらどうなるか、見とけよ!」

早苗はポットの上部を力尽くで折る。
笑い泣き
早「廃番、おまえも頭へし折ったろかっ!!ムキー
帯「…
アセアセ
早「さっさと出て行けっ!!!
ムキー

帯谷と瀧見は早苗の迫力に押され、逃げ去っていった。


早苗が腰を抜かす。
早「…慣れないことをしたから
ガーン

烏「あれ、ハッタリ!?」
早苗が頷く。

殴られ、口元を押さえる俊彦を心配する、早苗。
早「あなた、大丈夫!?」
俊「お前こそ、大丈夫か?」

烏「顔、冷やすもん、持ってくるわ!」
烏川と藍が調理場に向かった。

 




俊彦と早苗、赤ちゃんの幸子、三人。

椅子に座って話す。
早「私が倒されたからって、ヤクザを殴るなんて…」
俊「早苗こそ、ヤクザに立ち向かうなんて無茶して…」


俊彦が赤ちゃんを見る。
俊「早苗、ちょっと見て
ニコニコ


俊「あんなことがあったのに、さっちゃん、寝たままや照れ
俊「さっちゃん、図太いわ」
俊「将来、大物になるで
照れ

早苗は俊彦に寄り添い赤ちゃんを見るうち、俊彦の右肩に頭を乗せ、寝てしまう。

俊彦が眠った早苗に優しく話し掛ける。
俊「昨日、徹夜やったもんな」
俊「…おつかれさん
照れ

俊彦も頭を早苗に寄せ、目を閉じ、眠り始める。

血の繋がりのない家族三人が身を寄せる、温かい場面。


そこに、烏川と藍が冷えたおしぼりを持ち、戻ってくる。
藍「おしぼり、持ってきましたー!
爆  笑
烏「しー!
上差し
烏川は寄り添う二人を見て、藍を静かにさせる。


烏川は『俊彦と早苗に毛布を掛けてあげて』という意味で、
両手をグーにし、毛布を掛けるポーズを取る。

藍は『分かった』と言うように頷く。

藍は、寄り添う二人の後ろからゆっくり抱きつき、
頭を寄せ、目を瞑り、家族の輪に加わわる。
笑い泣き

烏「分からん!?」 笑い泣き


烏川は『二人に毛布を掛けてあげて』という意味で、
両手をグーにし、毛布を掛けるポーズを取る。

 

観客は、この場面のシステムを次第に理解し始め、

藍のボケと烏川の「分からん!?」のセットを静かに見守る。


藍は寄り添う二人の後ろで少し考え、
両拳で二人のコメカミをグリグリする。
笑い泣き

烏「分からん!?」 笑い泣き


烏川は『毛布を掛けてあげて』という意味で、
両手をグーにし、毛布を掛けるポーズを取る。

すると、藍は少し考え、
寄り添う二人の前に立ち、観客に背中を向け、マッスルポーズを取る。
笑い泣き

烏「藍ちゃん、ただのデブやから!」 笑い泣き
烏「分からん!?」 笑い泣き


烏川は『二人に毛布を掛けてあげて』という意味で、
両手をグーにし、毛布を掛けるポーズを取る。

すると、藍は少し考え、

(ソファに座る彼氏&彼氏の足元に座る彼女が触れ合いながら仲良くTVを見るように)
俊彦の足元に座り、俊彦の両手を自分の首に持ってくる。
嬉しそうにする、藍。 
笑い泣き


俊彦は寝ているはずだが、素でニヤニヤしてしまう。 笑い泣き

烏「藍ちゃんの彼氏ちゃうから!」
烏「分からん!?」
笑い泣き


烏「毛布や!タラー
痺れを切らした烏川が答えを言う。


藍が毛布を持ってくる。

藍は二人の背後で少し考え、
藍「ゆっくり寝てくださいね」
と、毛布を二人の『頭』に掛ける。
笑い泣き

烏「引っ越し屋か!タラー

暗転。

 

 

その6に続く