『さずかりものは夫婦を結ぶ』
[セット紹介]
典型的な『花月うどん店』のセットです。
舞台中央に、テーブルと丸椅子。
舞台上手奥に、カウンター、調理場への通路。
舞台上手袖に、奥の部屋への通路。
舞台下手寄りに、レジと入り口(引き戸)。
店先の道路。
店の向かい側に、喫茶店フラワームーンの入り口。
[物語]
(敬称略)
⒈
⑴
舞台は『花月うどん』。
幕が上がると、
(敬称略)
⒈
⑴
舞台は『花月うどん』。
幕が上がると、
啓之(清水啓之)と景子(松浦景子)が中央のテーブルでうどんを食べている。
景子は赤ちゃんを前に抱いていて、二人は夫婦のよう。
啓「美味しかったなあ~」
景「ほんまね~」
景子は赤ちゃんを見ながら、
景「今日は赤ちゃんがぐっすり寝てくれてたから、ゆっくり食べられたわ」
景「一回寝たら起きないなんて、あなたに似てるわ」
啓「顔は景子に似てる」
景子は赤ちゃんを前に抱いていて、二人は夫婦のよう。
啓「美味しかったなあ~」
景「ほんまね~」
景子は赤ちゃんを見ながら、
景「今日は赤ちゃんがぐっすり寝てくれてたから、ゆっくり食べられたわ」
景「一回寝たら起きないなんて、あなたに似てるわ」
啓「顔は景子に似てる」
※
補足。
劇中、登場する赤ちゃんは全て『人形』です。
『おくるみ』で包まれていて、表情までは見えません。
⑵
啓「赤ちゃん、抱かせてくれる?」
啓之が赤ちゃんを触ろうとすると、
景「やめてよ!…お父さんじゃないんだから」
啓「えっ?」
景「冗談よ」
景子が啓之に赤ちゃんを渡そうとする。
景子が赤ちゃんに、
景「あなたのお父さんかな~?」
啓「えっ?」
景「冗談よ」
成り立て家族の微笑ましい場面。
⑶
啓之が水を貰おうと奥に呼びかけると、従業員の烏川(烏川耕一)が現れる。
烏「うどんの方はどうでした?」
啓「美味しかったです。特に出汁が最高でした」
景「お兄さんが出汁を作っているんですか?」
烏「いえ、あれは『どん兵衛』の出汁です」
啓「…どん兵衛?(苦笑)」
烏「冗談です」
烏「私は従業員でして、出汁はお店の2代目が作っています」
⑷
『リリリリリン』
その時、店に電話が掛かってくる。
烏川が受話器を取る。
烏「…えっ?まだ行ってません?」
烏「至急、確認します」
烏川が受話器を置く。
啓「何かあったんですか?」
烏「出前がまだ来てないらしくて…」
烏「新人バイトに行かせたけど、あいつはどこで何をしとんや!?」
補足。
劇中、登場する赤ちゃんは全て『人形』です。
『おくるみ』で包まれていて、表情までは見えません。
⑵
啓「赤ちゃん、抱かせてくれる?」
啓之が赤ちゃんを触ろうとすると、
景「やめてよ!…お父さんじゃないんだから」
啓「えっ?」
景「冗談よ」
景子が啓之に赤ちゃんを渡そうとする。
景子が赤ちゃんに、
景「あなたのお父さんかな~?」
啓「えっ?」
景「冗談よ」
成り立て家族の微笑ましい場面。
⑶
啓之が水を貰おうと奥に呼びかけると、従業員の烏川(烏川耕一)が現れる。
烏「うどんの方はどうでした?」
啓「美味しかったです。特に出汁が最高でした」
景「お兄さんが出汁を作っているんですか?」
烏「いえ、あれは『どん兵衛』の出汁です」
啓「…どん兵衛?(苦笑)」
烏「冗談です」
烏「私は従業員でして、出汁はお店の2代目が作っています」
⑷
『リリリリリン』
その時、店に電話が掛かってくる。
烏川が受話器を取る。
烏「…えっ?まだ行ってません?」
烏「至急、確認します」
烏川が受話器を置く。
啓「何かあったんですか?」
烏「出前がまだ来てないらしくて…」
烏「新人バイトに行かせたけど、あいつはどこで何をしとんや!?」
⒉
⑴
アルバイトの藍(酒井藍)が岡持ちを持ち、帰ってきた。
藍「ただいま帰ってきました!」
勢い良く店内に入り、その勢いで岡持ちが啓之の頭に当たる。
啓「痛っ!」
藍「もしかして、当たりました!?」
藍「大丈夫かな?」
と、岡持ちの損傷を気にする、藍。
烏川が啓之に謝る。
⑵
烏川が藍に対し、
烏「電話が掛かってきたぞ!」
烏「何、しとったんや!?」
藍「あの~…」
烏「さぼっとったんか?」
藍「さぼってません!」
藍「道が二手に分かれててて、どっちが近道かなって…」
藍「こっちかな?こっちかな?」
藍「悩んでたら、悩んでる自分にだんだん腹立ってきて」
藍「こうなったら、もう、行ったれーって!」
藍「ほんで、喫茶店でハンバーグ食べてました」
烏「さぼっとるやないか!」
⑶
烏「ええ加減にせえよ!」
怒った烏川が岡持ちを叩くと、その音で赤ちゃんが泣き始める。
藍「最悪や。泣かしよった」
烏「お前のせいや!」
赤ちゃんは、なかなか泣き止まない。
藍が景子に対し、
藍「私、あやすの得意なんで、ちょっといいですか?」
藍「最近、姪っ子も産まれたんで」
藍が景子が腕に抱える赤ちゃんを見て、
藍「ごめんね。お歌、歌うから聞いてね」
藍「…」
藍「♪寝るか 泣き止むか 喰われるか」
藍「♪寝るか 泣き止むか 喰われるか」
藍「♪オラは 平気で 赤子を喰う」
烏「怖すぎるやろ!」
烏「そんなんで泣き止むわけないやん!」
『アハハハハ』
赤ちゃんが笑い出す。
烏「嘘やん!?」
⑷
次は景子が赤ちゃんを腕に抱えたまま、バレエダンスを披露する。
烏「危ないって!」
『アハハハハ』
赤ちゃんが笑い出す。
⑸
藍が景子に尋ねる。
藍「奥さん、もしかして、バレリーナですか?」
景「…はい」
藍「どんな曲でも踊れます?」
景「…はい」
藍「じゃあ、私が歌うんで、踊ってください」
藍「…」
藍「♪寝るか 泣き止むか 喰われるか」
藍「♪寝るか 泣き止むか 喰われるか」
藍「♪オラは 平気で 赤子を喰う」
藍の歌にダンスのタイミングを合わせ、
⑴
アルバイトの藍(酒井藍)が岡持ちを持ち、帰ってきた。
藍「ただいま帰ってきました!」
勢い良く店内に入り、その勢いで岡持ちが啓之の頭に当たる。
啓「痛っ!」
藍「もしかして、当たりました!?」
藍「大丈夫かな?」
と、岡持ちの損傷を気にする、藍。
烏川が啓之に謝る。
⑵
烏川が藍に対し、
烏「電話が掛かってきたぞ!」
烏「何、しとったんや!?」
藍「あの~…」
烏「さぼっとったんか?」
藍「さぼってません!」
藍「道が二手に分かれててて、どっちが近道かなって…」
藍「こっちかな?こっちかな?」
藍「悩んでたら、悩んでる自分にだんだん腹立ってきて」
藍「こうなったら、もう、行ったれーって!」
藍「ほんで、喫茶店でハンバーグ食べてました」
烏「さぼっとるやないか!」
⑶
烏「ええ加減にせえよ!」
怒った烏川が岡持ちを叩くと、その音で赤ちゃんが泣き始める。
藍「最悪や。泣かしよった」
烏「お前のせいや!」
赤ちゃんは、なかなか泣き止まない。
藍が景子に対し、
藍「私、あやすの得意なんで、ちょっといいですか?」
藍「最近、姪っ子も産まれたんで」
藍が景子が腕に抱える赤ちゃんを見て、
藍「ごめんね。お歌、歌うから聞いてね」
藍「…」
藍「♪寝るか 泣き止むか 喰われるか」
藍「♪寝るか 泣き止むか 喰われるか」
藍「♪オラは 平気で 赤子を喰う」
烏「怖すぎるやろ!」
烏「そんなんで泣き止むわけないやん!」
『アハハハハ』
赤ちゃんが笑い出す。
烏「嘘やん!?」
⑷
次は景子が赤ちゃんを腕に抱えたまま、バレエダンスを披露する。
烏「危ないって!」
『アハハハハ』
赤ちゃんが笑い出す。
⑸
藍が景子に尋ねる。
藍「奥さん、もしかして、バレリーナですか?」
景「…はい」
藍「どんな曲でも踊れます?」
景「…はい」
藍「じゃあ、私が歌うんで、踊ってください」
藍「…」
藍「♪寝るか 泣き止むか 喰われるか」
藍「♪寝るか 泣き止むか 喰われるか」
藍「♪オラは 平気で 赤子を喰う」
藍の歌にダンスのタイミングを合わせ、
景子が赤ちゃんを腕に抱えながらバレエダンスする。
『アハハハハ』
赤ちゃんが笑い出す。
烏「この子、ほんま、おかしいんちゃうか?(苦笑)」
⑹
啓之が会計をお願いする。
烏「うどん二つで千円になります」
会計を済ませ、店を後にする、啓之と景子。
(舞台下手袖で)景子が赤ちゃんを見て、
景「臭う…」
景「ウンチ漏らしたみたい」
景「急いで替えないと」
と、景子が自分のお尻を押さえながら、履ける。
啓「お前の方か!」
『アハハハハ』
赤ちゃんが笑い出す。
烏「この子、ほんま、おかしいんちゃうか?(苦笑)」
⑹
啓之が会計をお願いする。
烏「うどん二つで千円になります」
会計を済ませ、店を後にする、啓之と景子。
(舞台下手袖で)景子が赤ちゃんを見て、
景「臭う…」
景「ウンチ漏らしたみたい」
景「急いで替えないと」
と、景子が自分のお尻を押さえながら、履ける。
啓「お前の方か!」
⒊
⑴
烏川と藍、二人に。
烏「藍ちゃん、掃除してくれる?」
藍「どこ、掃除したらいいですか?」
烏「そんなんは汚いところを自分で見つけて、掃除するんや」
藍「分かりました」
⑵
女将のあき恵(浅香あき恵)が戻ってくる。
浅「ただいま~」
藍があき恵を見て、
藍「汚いとこ、あった」
と、あき恵の顔を雑巾で拭こうとする。
浅「藍ちゃん、何すんの!?」
藍「女将さん、汚いから…汚いっていうより、ブサイクですけど」
浅「藍ちゃんだけには言われたないわ」
藍「女将さんやから、言えるんです」
浅「「あんた、豚やないの!」
藍「豚は痩せたら直るけど、ブスは一生もんやからな!」
あき恵は言い合いに負け、
浅「イヤァ~~~ア!」
藍「昼休みや!」
浅「違うわよ!叫んだの!」
烏川が呆れ、
烏「やなぎさんの紹介やから雇ったけど、どうしようもないな…」
⑶
そこに、『やなぎ製麺所』のやなぎ(やなぎ浩二)が
⑴
烏川と藍、二人に。
烏「藍ちゃん、掃除してくれる?」
藍「どこ、掃除したらいいですか?」
烏「そんなんは汚いところを自分で見つけて、掃除するんや」
藍「分かりました」
⑵
女将のあき恵(浅香あき恵)が戻ってくる。
浅「ただいま~」
藍があき恵を見て、
藍「汚いとこ、あった」
と、あき恵の顔を雑巾で拭こうとする。
浅「藍ちゃん、何すんの!?」
藍「女将さん、汚いから…汚いっていうより、ブサイクですけど」
浅「藍ちゃんだけには言われたないわ」
藍「女将さんやから、言えるんです」
浅「「あんた、豚やないの!」
藍「豚は痩せたら直るけど、ブスは一生もんやからな!」
あき恵は言い合いに負け、
浅「イヤァ~~~ア!」
藍「昼休みや!」
浅「違うわよ!叫んだの!」
烏川が呆れ、
烏「やなぎさんの紹介やから雇ったけど、どうしようもないな…」
⑶
そこに、『やなぎ製麺所』のやなぎ(やなぎ浩二)が
うどん麺をケースで持ち、現れる。
『花月うどん』は、麺は仕入れているよう。
や「こんにちは」
浅「やなぎさん、聞いてください」
浅「藍ちゃんが私のことをブサイクって言うのよ。仕事もちゃんとしないし!」
浅「やなぎさんからも言ってください!」
やなぎがゆっくりと藍のもとに歩み、
や「藍ちゃん…こりゃ」
と自分の頭の上で拳を作る。
烏「子供やないんやから」
藍がやなぎに対し、
藍「私、子供じゃないんで!…こりゃ」
と自分の頭の上で拳を作る。
藍「アーハッハッハッ!」
藍「イェ~イ!」
と、やなぎとハイタッチする。
⑷
やなぎは先月分の麺の代金を貰いに来たよう。
浅「お金のことは息子に任せてるんで…」
浅「ちょっと、待ってくださいね」
あき恵が奥に呼びに行こうとすると、奥から男女の怒鳴り合いが聞こえてくる。
怒鳴り声はだんだん大きくなり、
あき恵の息子で2代目大将の俊彦(高井俊彦)、
俊彦の妻・早苗(金原早苗)が現れる。
二人は険悪な雰囲気で、枕で殴り合っている。
殴り合う道具が『枕』という点からして、最悪のところまでは行っていないよう。
⑸
あき恵が喧嘩を止め、俊彦と早苗に尋ねる。
浅「何が原因なの!?」
早「浮気してる!」
早「服にキャバクラの名刺が入ってた!」
俊「それは駅前で配ってただけや!」
俊「ゴミ箱に捨てようと服に仕舞って、そのまま忘れたんや!」
早「何よ!」
俊「そっちこそ、何や!」
また、枕で殴り合い、店内を移動する。
そのうち、やなぎが二人の間に入り、枕で殴られる。
や「痛たたっ!」
や「体が幾つあっても足らん。帰ります!」
やなぎはお金を貰うことなく、帰っていった。
⑹
俊彦が早苗に対し、
俊「勝手な想像で疑うん、やめてくれ!」
俊・早「フンッ!」
腕を組み、顔を背ける、俊彦と早苗。
俊彦は調理場に、早苗は奥の部屋に消えていった。
『花月うどん』は、麺は仕入れているよう。
や「こんにちは」
浅「やなぎさん、聞いてください」
浅「藍ちゃんが私のことをブサイクって言うのよ。仕事もちゃんとしないし!」
浅「やなぎさんからも言ってください!」
やなぎがゆっくりと藍のもとに歩み、
や「藍ちゃん…こりゃ」
と自分の頭の上で拳を作る。
烏「子供やないんやから」
藍がやなぎに対し、
藍「私、子供じゃないんで!…こりゃ」
と自分の頭の上で拳を作る。
藍「アーハッハッハッ!」
藍「イェ~イ!」
と、やなぎとハイタッチする。
⑷
やなぎは先月分の麺の代金を貰いに来たよう。
浅「お金のことは息子に任せてるんで…」
浅「ちょっと、待ってくださいね」
あき恵が奥に呼びに行こうとすると、奥から男女の怒鳴り合いが聞こえてくる。
怒鳴り声はだんだん大きくなり、
あき恵の息子で2代目大将の俊彦(高井俊彦)、
俊彦の妻・早苗(金原早苗)が現れる。
二人は険悪な雰囲気で、枕で殴り合っている。
殴り合う道具が『枕』という点からして、最悪のところまでは行っていないよう。
⑸
あき恵が喧嘩を止め、俊彦と早苗に尋ねる。
浅「何が原因なの!?」
早「浮気してる!」
早「服にキャバクラの名刺が入ってた!」
俊「それは駅前で配ってただけや!」
俊「ゴミ箱に捨てようと服に仕舞って、そのまま忘れたんや!」
早「何よ!」
俊「そっちこそ、何や!」
また、枕で殴り合い、店内を移動する。
そのうち、やなぎが二人の間に入り、枕で殴られる。
や「痛たたっ!」
や「体が幾つあっても足らん。帰ります!」
やなぎはお金を貰うことなく、帰っていった。
⑹
俊彦が早苗に対し、
俊「勝手な想像で疑うん、やめてくれ!」
俊・早「フンッ!」
腕を組み、顔を背ける、俊彦と早苗。
俊彦は調理場に、早苗は奥の部屋に消えていった。
その2に続く