おしみさん・浅香・安尾、三人。

浅「…きっと、偶然よ」
浅「施設の話なんて、幾らでもあるわ」
自分に言い聞かせるように話す浅香だが、立ち眩みしてしまう。

清「社長、大丈夫ですか!?
びっくり
清「椅子に座ってください」

浅香が客用の丸椅子に座ろうとすると、

安尾が椅子を除け口笛、浅香が派手に転ぶ。

浅「何するのよ!?スカートの中が(観客に)丸見えになったじゃないの!
プンプン
おしみさんは安尾ではなく、浅香に対し、
清「迷惑だから、やめてください
タラー笑い泣き


清「安尾さん、社長にお茶を入れてくれますか?」

安尾がお茶を入れようとする。
急須はあるが、ポットが見つからず、おしみさんが奥にポットを探しに行く。


そこに、白スーツのサングラス姿の男性・帯谷(帯谷孝史)がやってくる。

安「ポット、あった!
ウインク
帯谷の頭を触る、安穏。

おしみさんが本物のポットを見つけ、安尾に渡す。
ここからは、安尾による一連のポットくだり。

浅香は娘と思われる靖子のことでショックを受け、俯いており
ショボーン
ポット弄りを見ていないだけでなく、帯谷が現れたことにも気づいていない様子。


帯谷が浅香の存在に気付く。
帯「ひょっとして、あき恵さん?
キョロキョロ

帯谷の声を聞き、浅香が顔を上げる。
浅「園長さん!
びっくり

帯谷は、浅香が25年前に娘を預けた児童養護施設『希望ハウス』の園長だった。

浅「娘を迎えに行った時以来だから…20年ぶりかしら」
帯「お久しぶりです
ニコニコ


帯谷は、25年前に一時的に預かった子供の結婚式に参列するため、
花月殿を訪れたと言う。

そこに、控え室から靖子が現れる。
靖子は帯谷を見て、
靖「園長先生、お待ちしておりました!
照れ

靖子と帯谷が控え室に向かった。

 
 


おしみさん・浅香・安尾、三人に。

おしみさんが浅香に対し、
清「やっぱり、間違いないですよ!」
清「靖子さんは、社長の娘さんです!」

浅「まさか、こんなことが…」

安尾が浅香に対し、
安「社長。実の母親だと、靖子さんに言いに行きましょう!
ウインク

浅「今更、のこのこ出て行って、言えるわけがないでしょ!」

清「靖子さんは25年間、お守りを大切に持っていました」
清「きっと、本当のお母さんに会いたいはずです!」

清「結婚式場の人間ではなく、母親として、おめでとうを言ってあげましょう
ニコニコ
浅「無理よ…」

安「最初に、僕が靖子さんと話して、ムードを作ります」
安「タイミングを見計らって、『今や!』と言いますので、話してください」
浅「…分かったわ」


安尾が靖子を呼び、靖子が現れる。
靖「何でしょうか?」

安「ちょっと、お話が…」
靖子を丸椅子に座らせる。

浅香は靖子に背を向け、舞台下手で話を聞く。

安「靖子さん。もしも、結婚式にお母さんが現れたら、どうですか?」
靖「そんな、何もしてもらってないですし」
靖「捨てられて、とっても貧しい思いをしました」
靖「私の前に現れたら、ボコボコに殴って、殺しますよ
プンプン
安「…」
安「今や!」
笑い泣き
浅「…!」
浅香は、とても話しかけられない。


靖子も長年の思いがあるようで、安尾に更に語る。
靖「私を捨てた人に、私の結婚を邪魔をされたくありません
プンプン

浅香が靖子に語りかける。
浅「靖子さん。今回の結婚、あなたにとって、幸せなものなの?」
靖「…(涙)」

靖子が泣きながら、控え室に走り去ってしまった。
 
 
その6に続く