『おしみ婆さんの運命のいたずらは突然に!』
[セット紹介]
『花月食堂』
⒈
舞台下手に、店入り口(引き戸)。
舞台中央奥に、カウンターと調理場への通路。
舞台上手奥に、従業員控え室への通路。
⒉
舞台中央に、テーブルと丸椅子。
典型的な花月うどん店のセット。
その店名を食堂に変更したものです。
[物語]
(敬称略)
⑴
舞台は花月食堂。
従業員は見当たらない。
景子(松浦景子)が亜由貴(筒井亜由貴)を先導する形で、食堂にやってくる。
景「お腹空いたー!」
筒「ここで食べていこうか」
景「デート、楽しい!」
筒「俺も可愛い景子ちゃんとデート出来て、嬉しい」
景「可愛いやなんて、もう、イヤやわ~!」
と、亜由貴の顔面をバッグで叩く、景子。
筒「痛っ!景子ちゃん、何すんの!?」
景「可愛いって言われたから、嬉しくて、つい~」
⑵
景子が奥に呼び掛けると、従業員の安尾(安尾信乃助)が現れる。
安「従業員の安尾といいますか?」
筒「『か?』、要らんから」
安「あっ、『か?』は要らない?」
安「従業員の安尾といいます」
安「二人、付き合ってるんです」
筒「そこは、『か?』、要るなあ」
安「二人、付き合ってるんですか?」
筒「はい」
安「彼女、可愛いですか?」
筒「聞くなーっ!」
安「一見可愛いですけど、よう見たら、そうでもなかったんで」
安「額が腫れ上がってる」
安「もしかして、コブダイですか?」
筒「魚が歩いてくるわけないでしょ!」
筒「責任者、呼んでください!」
安「責任者!」
と筒井に対して大声を出す、安尾。
筒「えっ?」
安「いや、『責任者、読んで』と言われたので…」
筒「そうじゃない!」
安「あの~、責任者は買い物に出掛けてるんです」
安「一度、買い物に出掛けると、観光客に挨拶するので、なかなか帰ってこないんです」
筒「…挨拶?」
⑶
客席が明るくなり、F1~G1先階段から、おしみ婆さん(清水けんじ)が現れる
※
以下、おしみ婆さんは『おしみさん』と表記します。
⑷
F12~G13の通路まで歩みを進め、
清「普段は、話に答えてくださったお客様にだけ千社札を渡すんですけどね」
清「今日はもう、全員にプレゼントします」
清「普段は、2枚位しかあげないんですよ」
清「皆さん、凄く、ラッキーです」
清「…と、言いながら、今日の全公演、全員にプレゼントしています。(苦笑)」
⑸
おしみさんは観客一人一人の前に行き、丁寧に千社札シールを渡し、
時折、質問も交え、楽しい時間を作る。
常連も居るようで、
清「あんた、5枚も6枚も貰うてるでしょ?(苦笑)」
と言いながら、千社札を渡す。
清「皆さん、手に渡りました?」
抜けがないよう、観客に確認する、おしみ婆さん。
清「シールを貰ったんやから、その分、たくさん笑ってくださいね」
おしみさんが花月食堂に戻る(=最前列から舞台に上がる)。
⑹
清「お待たせしました!」
筒「待たせ過ぎでしょ!」
筒「教育、どうなってる、従業員の!」
清「なんで、片言みたいになってるの?(苦笑)」
清「考える時間、たっぷりあったでしょ?(苦笑)」
筒「従業員が僕の彼女のことを『コブダイ』って言うんです!」
おしみさんが景子のピンクの服を見て、
清「失礼しました!…ピンクだから、普通の鯛かな?」
筒「失礼すぎるでしょ!」
ここから、突き合いになり、
おしみさんの「な、ん、な、ん、で、す、か!」平手7連発に。
清「病気が出ちゃいました。すみません」
⑺
清「こんな可愛い子が魚なわけがありません」
筒「…」
清「そこは、私はあなたの返しを期待しているんですよ。(苦笑)」
⑴
おしみさんが安尾に尋ねる。
お「安尾さん。令君は?」
安「奥で仕込みをしています」
調理場からラーメンをすする令(レイチェル)が現れる。
令「お昼、食べてないもんで」
清「我慢しなさい」
令が箸から手を離すと、箸と麺が浮いている。
清「箸、浮いてるやないの!」
令「サンプルですよ」
清「どうなってんの!?」
令「サンプルやのに『どうなってんの!?』」
令「サンプルやのに『どうなってんの!?』」
今回は、おしみさんの体には寄りかからず、サンプルの箸を左右に揺らしながら、
令「…楽し~!」
⑵
令がおしみさんに対し、
令「何か、ありました?」
清「お客様(筒井)に取りこぼしがありましてね」
おしみさんは舞台袖を指差しながら、
清「彼は、向こう(舞台裏)に行って、猛反省するタイプです」
清「お客様にお水をお出しして」
清「彼女は魚だから、お水をあげないと」
清「冗談はさておき…」
筒「…」
筒「冗談かい!」
清「分かり易く振ったのに…(苦笑)」
⑶
安尾と令がコップに水を入れ、客の前に立つ。
令「カップルですか?」
筒「はい」
安「結婚するんですか?」
筒「来年の春に」
令「二人なら幸せになると思いますよ」
令「二人の幸せに乾杯!」
と、安尾と令は客に水を出さず、乾杯し、水を飲む。
筒「…」
筒「僕らのですよね!?」
おしみさんが安尾と令に対し、
清「この子はツッコミが下手やから、やめてあげて。(苦笑)」
⑷
おしみさんが注文を聞く。
景「私、きつねうどんで」
筒「景子ちゃん、前もきつねうどんやったな」
景「私、ここ初めてよ!」
筒「勘違いした」
景「何が勘違いよ!浮気してるんでしょ!?」
景「私、あなたと別れる!」
景子が店を出ようとするのを亜由貴が止め、
その勢いで、舞台上手へと華麗なバレエを見せる。
楽しそうに踊りながら、
景「めっちゃ、悲しい」
また、景子が店を出ようとするのを亜由貴が止める。
景「触らないで!」
景子が亜由貴を押すと、
今度は亜由貴がまだまだ練習段階のような素人ブレイクダンスを披露する。
踊り終え、
筒「何、すんねん!」
⑸
景子が悲しそうな表情で、亜由貴に別れを告げる。
景「さよなら…」
景子は店を出ると、楽しそうな表情でバレエを披露し、去っていった。
亜「景子ちゃん、待って!」
走って追いかけるかと思いきや、
入口付近で先ほどの素人ブレイクダンスを披露する。
一通り、踊り終え、去っていった。
清「…なんなんでしょうね?(苦笑)」
⑹
おしみさんが安尾と令に注意する。
清「あんたたちはふざけてばっかりで、ほんまにー!」
令「真面目に働きますんで」
安「勘弁してください!」
と、二人でプロレスラー・武藤敬司の決めポーズをする。
清「また、ふざけてるやないの!」