小寺が旅館の中から慌てて飛び出してくる。
小「不審者が居たわ!
アセアセ

奥重が、長年、散髪していないと思われる男(清水啓之)を

旅館から引き摺り出す。
髪は肩に掛かり、長い髭が生えている。

一憲が男を蹴る
プンプン
徹「親父、何しとんねん!啓之や!タラー

ボサボサの頭をした男が、

先程話題になっていた、徹郎の弟・啓之だった。


啓「庭の鳥に餌を上げていたら、捕まえられて…
ショボーン

まりこが啓之に声を掛ける。
ま「啓之君!
ニコニコ

啓之は8年前にこの地を離れたまりこを見て、驚く。
啓「えっ?えーーっ!
びっくりガーンアセアセ

啓之は、不甲斐ない姿を見られたと思ったのか、
逃げるように旅館の中に消えていった。


徹郎がまりこに宿泊を促すが、
まりこは親戚の家に泊まるよう。

一憲がまりこに対し、
一「ほな、冷たいもんでも飲んで行きなさい
照れ
ま「では、お言葉に甘えて」
太「ビール、いただきます
口笛
前「私は酎ハイで
口笛

徹「お前らは勤務中やろ!
タラー
一「まあ、まあ。甘えたらええ
口笛

一憲・太田・真希が旅館に入っていった。


徹郎とまりこ、二人になる。

ま「徹郎さん、ちょっと話を聞いてくれる?」
徹「何?」

二人が旅館玄関左横(舞台下手側)の縁台に行き、
徹郎が座る。

ま「今、お付き合いしている人は?」
徹「おらんよ?」
ま「ほんまに、ほんま?
おねがい
まりこは『ほんま』を言うたびに、
大げさにステップを踏み、場所を移動し、中央に来る。
笑い泣き

徹「ほんまや」
ま「ほんまに、ほんまに、ほんまに、ほんま?
おねがい
まりこが大げさに舞台上手袖まで移動する。
笑い泣き

徹「あの…重そうやね。(苦笑)」
ま「マカロンを食べすぎちゃったみたい
おねがい笑い泣き
徹「いや、何にも可愛ないけど…(苦笑)」 笑い泣き


まりこがまた舞台中央に戻ってきて、
ま「小学生の時から、徹郎さんのことが好きだったの」
ま「お付き合いしてもらえませんか?」

徹「えっ?ほんまに?」
ま「ほんまよ」
徹「ほんまに、ほんまに、ほんまに、ほんま?
照れ
今度は徹郎が大げさに舞台上手に移動する。
笑い泣き

徹「俺も前から、まりこちゃんのことが好きやった照れ
徹「気持ち、一緒やな」
ま「お付き合いしてくれるの?
おねがい
徹「うん!
照れ
ま「ほんまに、ほんま?
おねがい
ステップを踏み、場所を変える、まりこ。
徹「もう、ええ!(苦笑)」
笑い泣き


まりこは舞台下手側でうつ伏せになり、
舞台上手の徹郎の方を見て、両手のひらを自分の顎の前に位置し、
顎を乗せる。
ま「徹郎さん!
おねがい笑い泣き

徹郎もまりこの反対側から、まりこと同じことをする。
徹「まりこちゃん!
照れ笑い泣き

所謂、バカップルの時間が過ぎる。


起き上がり、手を繋ぐ二人。

そこに、一憲・真希・太田が現れる。
一「まりこちゃん、冷たいもの、飲みに来んかね?」
徹「あの~、今の話、聞いてなかったよね?
キョロキョロアセアセ
一「…話?何のことや?」
徹「なら、いい
アセアセ

一「でも、まさか、徹郎とまりこちゃんが、」
前「付き合うとはね」
太「おめでとう!」

三人に全てを聞かれていたよう。

一憲・真希はクラッカーで祝福するが、
最後の太田は拳銃を空に向けて打つ。
笑い泣き
徹「それはあかん!アセアセ
太「めでたいんやから、固いこと、言うなって
ウインク

ま「皆に聞かれて、恥ずかしい!
チューアセアセ
足を大きく動かし、舞台下手に去ろうとするが、動きの割に前に進まない。
笑い泣き
徹「全然、動いてない。(苦笑)」

まりこが去っていった。

 

 



徹郎とまりこの恋愛を喜ぶ、一憲。
一「二人が結婚したら、旅館も安泰やな」

徹「結婚はまだ早いわ」
徹「啓之のことがあるし…
ショボーン
徹「啓之が立ち直る、ええ方法があればなあ」

真希が手を叩く。
前「あっ、そうや!
びっくり拍手
皆が真希に注目する。
前「髪、切らな。パサパサやから
口笛
徹「髪、かい!
タラー

一「真希ちゃん、ええ美容室、紹介するで
口笛


真希が案を出す。
前「啓之君が超能力を取り戻したらいいんですよ!」
徹「そのことで、悩んでんの!
タラー
前「だから、あたかも超能力が使えるかのように、私達で仕掛けを作るんです」
太「嘘って、バレるって
タラー
前「キッカケです
ウインク

前「自信を取り戻したら、超能力も復活するかもしれないでしょ?ウインク

新「…そやな。よっしゃ、やってみよう!」
皆も賛同する。


新名・真希・一憲・太田で仕掛けを作る。

それは、舞台下手の竹垣の前にあるバケツや植木鉢を浮かせるというもの。
バケツや植木鉢透明の糸を括り、糸を透明の棒と結び、
太田と真希が竹垣の奥に隠れ、引き上げる作戦。

仕掛けを作り終える。


啓之を呼ぶと、髪を切りサッパリとした啓之が現れる。

 

まりこが現れ、このままではいけないと思ったのか、
バリカンで切ったよう。

啓「まりこちゃんは?
キョロキョロ
徹「親戚の家に行ったわ」


徹郎が切り出す。
徹「超能力、試してみんか?」
啓「超能力なんか、ないって
タラー
一「ダメ元でちょっとやってみいって
ウインク
一「そこのバケツと植木鉢で試してみよう」
啓「…分かった」

啓之がバケツを見て、
啓「まず、バケツからや。いくぞ!」
太「了解!
口笛笑い泣き
啓「えっ?キョロキョロアセアセ

一「カエルや
アセアセ
一「ちょっと、待ってな」
杖でカエルを突き殺すフリをする、一憲。

啓之がバケツに集中する。
啓之の動きに合わせ、太田がバケツを浮かせる。
啓「浮いた!
びっくり
徹「おお!」


徹「今度は植木鉢、行くよ!」
前「おーっ!口笛笑い泣き
啓「えっ?キョロキョロアセアセ

一「野良犬や
アセアセ

啓之が植木鉢に集中する。
啓之の動きに合わせ、真希が植木鉢を浮かせる。

啓「…!びっくり
啓「俺、力あるんや…」
徹「凄いな!」


奥重と小寺が旅館から飛び出してくる。
奥「スクープや!
爆  笑
新「えっ?」
奥「我々は吉本新聞の記者なんです!」

二人が旅館から去っていく。
奥「特ダネやな!
爆  笑
小「やりましたね!
爆  笑

徹「やばい!やばいぞ、これは!
アセアセ

大事になりそうで、焦る、徹郎。

暗転。

 

 

その4に続く