⒑
⑴
そこに、幸恵と景子が現れる。
幸「たこ焼き、食べて帰ろう」
幸恵と景子は帯谷を見て、
幸「帯谷やん!」
帯「…」
信「知り合い?」
幸「中学時代の同級生なんです」
景「あんなにいじめられていた帯谷が不良みたいな格好してる」
幸「高校デビュー?せいぜい頑張りなよ」
二人が去っていった。
⑵
南高の大黒・高関の表情が変わる。
大「どういうことや!」
高「よう見たら、闘った二人の顔が綺麗やし」
帯「そっ、その…」
花子が帯谷に対し、
花「帯谷君、それ以上言うたら、駄目よ」
花「二人が喧嘩が弱くて、芝居してること、」
花「中学までいじめられていて、高校デビューしたことがバレてしまう!」
高・大「なんやとーっ!」
花「ほら、バレた!」
信「お前のせいや!」
⑶
大黒と高関が帯谷に詰め寄る。
大「俺らを騙してたんか!」
高「今まで、偉そうにしやがって!」
信濃が間に入り、喧嘩を止めようとするが、
大黒と高関に殴り倒される。
今度は、烏川が帯谷を庇いに行く。
烏「やめろ!」
大「烏川、お前からやったるわ!」
大黒と高関が距離を詰めると、烏川がその分後退りする。
しかし、後退りした烏川の体が小西と親泊に当たる。
烏川が背中を振り返ると、
自分を睨み付ける小西と親泊の顔が見える。
大黒が小西と親泊に対し、
大「お前らも騙されてたんやな」
⑷
親泊が口を開く。
親「…前から知ってたんや」
烏「えっ?」
親「親が離婚して、別の県で住んでいる双子の妹がいてな」
親「妹の中学校の卒業アルバムに、眼鏡を掛けた烏川が写っていた」
信「もしかして、その妹って…」
綾「お兄ちゃん!」
綾子が現れ、親泊の横に並ぶ。
信「ジャイアンとジャイ子やん!(苦笑)」
綾子が去っていった。
⑸
烏川が親泊に尋ねる。
烏「何で、黙ってた?」
♪GReeeeN『キセキ』が流れ始める
親「最初は、腹が立ったよ」
親「やけど、烏川の必死な姿を見てたら、何も言えんようになって」
小「一緒に居たら、楽しくなってきた」
烏「…すまんかった」
三人が抱き合う。
曲がサビに入ると、花子が
花「♪明日 今日よりも 好きになれる」
信「何で歌うねん!」
信「せっかく、ええ雰囲気やったのに」
信「まあでも、良かったわ」
⒒
⑴
南高の大黒と高関は、怒りが収まらない様子。
大黒は、ゴミ捨てから鉄パイプを取り出し、
北高の三人を傷めつけようとする。
その時、屋台に隠れていた松元が屋台の前に出る。
鉄パイプを振り上げた大黒の手首を松元が掴み、捻る。
鉄パイプを落とす、大黒。
殴り掛かる大黒を松元が一瞬で返り討ちにする。
松「もう、ええやろ!」
信「松元君、どうしたん!?」
信濃が、松元の変貌ぶりとあまりの強さに驚く。
高「…松元?『地獄の松元』か!?」
大「隣県の全ての高校で入学拒否された、伝説のワル!!」
南高の二人が恐れ慄く。
信濃が松元に尋ねる。
信「烏川君が間違えられたワルというのは、もしや…?」
松「はい」
松「喧嘩ばかりで嫌になって、真面目に生きようと決めたんです」
信「逆高校デビュー!?」
⑵
松元が南高の大黒達に対し、
松「北高に手を出したら、ただでは済まさんぞ!」
帯谷が大黒達の前に立ち、庇う。
帯「こいつらに手を出さんとってくれ!」
帯「初めてできた、俺の仲間なんや!」
帯「やるなら、俺をやってくれ!」
♪GReeeeN『キセキ』が流れ始める
大「そこまで、俺たちのことを…」
高「帯谷ーっ!」
三人が抱き合う。
曲がサビに入ると、『烏川』が
烏「♪明日 今日よりも 好きになれる」
信「歌わんでええ!」
⑶
帯谷が土下座して、松元に懇願する。
帯「堪忍してくださいっ!」
松「そこまで言うなら、やめといてやる」
松元が去っていく。
信「松元君、最初からこうなることが分かっていて…」
松元が立ち止まる。
松「…」
松元は、何も言葉を言わず、背中で男を見せ、去っていった。
北と南は和解した。
⒓ 終
烏「これからは、北と南、仲良くやっていこう」
帯「そやな!」
烏川が信濃に謝る。
烏「ご迷惑をお掛けしました」
烏「皆で屋台を手伝います!」
北高が屋台の上手側に、
南高が屋台の下手側に立つ。
帯「俺らも手伝う!」
烏「俺らが手伝うから!」
帯「何でや、俺らが…」
南と北で屋台の引っ張り合いが始まり、屋台が南北に真っ二つに割れる。
烏「…」
烏「さっ、学校、行こう!」
信「ちょっとーっ!!」
南北融和の陰で、手痛い思いをする信濃であった。
終。
⒈
ギャグは帯谷さんが担当。
信「芸歴46年目にして、初めてできたギャグです」
信「面白いと思ったら、コケてください」
信「面白くなかったら、コケなくて良いですので」
烏「俺はおもんないと思うけど、お客さんは面白いと思うかもしれんからね」
帯「お前なあ…(苦笑)」
烏「早よ、やれって!」
烏「あんたのための時間、ちゃうから!」
⒉
帯谷さんが舞台袖から登場し、ギャグを披露。
帯「こんばんは。こんにちは。おはよう」
皆、コケるタイミングに困っているようでしたが、
一人コケると、他の人も続いてコケました。
信「無駄にコケていただいて、すみません。(苦笑)」
⒈
信濃さんのサイン入り台本表紙。
烏川さんがこの回の来場者を見て、
烏「全員にプレゼントしたらええのに。(苦笑)」
烏「せっかく、来てくださってるんやから」
⒉
烏「当たっても、持って帰らん人がいるそうです」
烏「裏、メモ用紙として使えますからね」
と、裏側の白紙部分を見せる。
⒊
信濃さんが半券を引く度、烏川さんが当選者に尋ねる。
烏「要ります?」
信「その確認、やめてください!(苦笑)」
[雑感]
⒈
・北高は舞台上手から現れる
・南高は舞台下手から現れる
・屋台が境界線で、基本的には、お互いのエリア内で活動する
と、理系チックな舞台の使い方が面白かったですね。
⒉
信濃さんの作品の大きな特徴は、『驚き』や『意外性』でしょうか。
今回も
・烏川さんや帯谷さんが高校一年生
・松元さんが伝説の不良
・大オチで屋台が真っ二つに裂ける
等の驚きや意外性が観られました。
次回はどんな驚きや意外性があるのか、楽しみにしています。
18/05/15~21
【祇園花月・信濃岳夫さん担当週】
『激突!北と南の男たち』 完