⒋
⑴
健「お部屋に案内しますんで」
信「それなら、僕ら二人だけで行きますんで」
信「ところで、従業員は二人だけなんですか?」
と、旅館の状況を探る、信濃。
中「もう一人居たんですが、この三月に辞めましてね」
ア「何で辞めたんですか?
」 ![]()
中「えっ?…『何で』?
」
信「皆を追い込むな。(苦笑)」
どこかの座長イズムが継承されているかのような、アキの無茶ぶり。
⑵
中「でも、珠代の彼氏が婿に入って、旅館を手伝ってくれるみたいなんです」
信「彼氏!?」
珠「だから、あなたとは付き合えんねん
」
信「彼氏が居て、よう俺に色々できたな!(苦笑)」 ![]()
信「どんな彼氏ですか?」
珠「お客さんだけど、言っちゃおうかなあ?
」
珠「雅斗さんっていうの」
珠「私のこと、好きで好きで仕方ないみたいで…仕方なく付き合ってあげたの
」
信「まさかの、上から?(苦笑)」
⑶
そこに、雅斗(桜井雅斗)が現れる。
雅「こんにちは」
雅斗は舞台上手に居る珠代のもとまで行き、二人で、
珠・雅「イ〝ャオ
」
珠・雅「イ〝ャオ
」
珠・雅「イ〝ャオ
」
珠・雅「イ〝ャ~オ ワオ ワオ
」
と体を動かしながら、ネタをする。
雅「近くまで仕事に、来って、たんや
」
ア「出てきて1分で噛んだ
」 ![]()
ア「緊張してんやね
」
信「お前は黙れ!(苦笑)」
雅「近くまで仕事に来てたんや」
雅「どうしても珠代さんに会いたくて…」
珠「今夜も激しく愛し合いましょ
」
ア「オェッ
」
舞台下手で見ていたアキが吐き気を催す。 ![]()
雅「失礼じゃないですか!
」
アキは自分を指しながら、
ア「失礼でしょ?
」
雅「自分に言うてんの?
」
ア「自分に言うてます
」
ア「人の恋愛を見てゲー吐くって失礼でしょ?
」 ![]()
信「お前は黙れ!」
ア「私、言うてることは間違ってません
」
信「言うてることは間違ってないけど、やってることが間違ってる
」 ![]()
ア「難し~
」
⑷
珠代が雅斗に提案する。
珠「お客さんとはいえ、この雰囲気、なんか嫌
」
珠「外でランチしましょ?」
雅「分かった」
珠代は、変顔をし、奇妙なダンスをしながら、舞台下手袖に捌ける。
珠「♪雅人と 珠代は ラブラブや~
」
珠「♪雅人と 珠代は ラブラブや~」![]()
珠代が掃けた後、
信「どこであんなん思い付くんや?(苦笑)」
ア「一人っ子政策っすよ
」 ![]()
ア「自分で遊ぶしかないから
」
⑸
一呼吸置き、
雅斗も、変顔をし、奇妙なダンスをしながら、舞台下手袖に捌ける。
珠「♪雅人と 珠代は ラブラブや~
」
珠「♪雅人と 珠代は ラブラブや~
」
雅斗も捌ける。
アキが入り口の方に向かって、
ア「無理しなくて、いいよーっ!
」 ![]()
信濃に雅斗の表情を教える、アキ。
ア「顔が引きつっていた。(苦笑)」
ア「目が泳いでた
」
ア「自分からやってない
」
ア「あれは仕事でやってる
」 ![]()
信「『仕事』とか言わない約束、守りなさい!(苦笑)」 ![]()
⑹
珠代がスマホを忘れたようで、中條が追いかけていった。
信「この旅館、二人しかおらんのに、頻繁に誰もおらんようになるな。(苦笑)」 ![]()
信濃は雅斗の顔をどこかで見たことがあるよう。
信「見たことある気がするけど…誰やったかな?
」
⑴
信濃が仕事に取り掛かる。
信「アキ、誰か来たら、『来たっ!』って言うてくれ!」
信濃が、物色しようとフロントに向かう。
アキが突然、大声で、
ア「来たーーーっ!!!
信「えーっ!?」
ア「…って言えば、ええんですね?
信「…
ア「…どうでした?」
信「びっくりしたよ!」
信「来たら、言うてくれ!」
ア「申し訳ない!
人差し指でアキを指差しながら怒る、信濃。
アキはその指を追いながら、匂いを嗅ぐ。
ア「人差し指、お風呂に入ってます?
信「人差し指だけ入らん奴、おる?(苦笑)」
アキは、人差し指を上に向けて
信「そんな奴、おらんて。(苦笑)」
⑵
アキが入り口を見張る。
ア「来るのか!?来ないのか!?
ア「来いぞ!来いぞ!
信「『来いぞ!』って、何やねん!
ア「人生で初めて言いました!」
信「人生で初めて聞いたわ!(苦笑)」
ア「『来い』の最上級です!
信「もうええから、黙って!」
ア「黙っす!
ア「来いぞ、黙っす!
信「言うな!」
ア「申し訳ない!
信「黙って、見とけ!」
⑶
信濃が物色していると、健一が帰ってくる。
しかし、アキは何も言わず、入り口を見ている。
健一がロビー中央まで来た時点で、ようやく、
ア「来たーっ!」
信濃が振り向き、健一が中央に居るのを見て驚く。
信濃がアキに対し、
信「言うんが遅いわ!
ア「『黙って見とけ』って言われたから、言うてええんかな?って…
⑷
健一がフロントに居る信濃に尋ねる。
中「あんた、何してんの?」
信「あの~…パンフレットを探していました
中「嘘付くな!泥棒やな!?
健一はフロントの裏から防犯用のマキザッパを取り出し、
健一はアキに対し、
中「お前もや!(=お前も座れ!)」
アキは座らずに、フロントからの裏から防犯用マキザッパを取り出し、
信濃のお尻を叩く。
ア「来いぞーっ!
信「来いぞ?(苦笑)」
と言いながら、叩かれるたびにお尻を突き出す、信濃。
信「なんで、お前が俺を叩くねん!」
ア「『お前もや!』って言われたから…
中「意味が違うわ!お前も叩いてやるって意味や!
⑸
健「警察、呼ばな!」
そこに、客のケイイチ・ほたる・ゆうが客室から現れる。
三人は信濃を見て、
ケ「まさか、お会いできるとは!
ほ「風水のパコ先生ですよね?
ゆ「青シャツに黄ネクタイ、赤ジャケット…間違いなく、Dr.パコ先生よ!
信「…えっ?」
信「…あっ、バレましたか!
信「私が風水師のDr.パコです!
信濃がアキを紹介する。
信「弟子のペコです!
ア「ペコです」
中「えっ?さっき言うてた、先生?
⑹
中「怪しいなあ」
健一は信濃のカバンをチェックする。
絵画を取り出し、
中「これは?」
ア「壁に掛けると運気が上がるアイテムです」
ケ「おおっ!」
シルクのスカーフを取り出し、
中「これは?」
中「シルクです。シルクでこんにちは!
信「…はい?(苦笑)」
ア「…(苦笑)
信「お前、ええ加減にせえよ!(苦笑)」
信「何も考えんと適当に喋るの、やめろ!(苦笑)」
『シルクでこんにちは!』は咄嗟のアドリブのよう。
ア「えーっと、巻いたら、運気が上がるんです(苦笑)」
ア「シルクでこんにちは!
⑺
健一は、アキのスポーツバッグも調べる。
ボーリング玉を取り出し、
中「…ボーリング玉?」
ア「水晶玉です」
中「穴が空いてるし、ボーリング玉ですよね?」
ア「水晶玉です。風水占いの仕事で使う」
中「ほな、『7』って数字、何なん?」
ア「子供用の…
信「あっ、いえ、水晶玉を掘り起こした場所を彫り込んでいるんです
信「場所が大事でして」
中「…?どこで掘り起こしました?」
ア「セブンイレブンです
中「…セブンイレブン!?」
信「あっ、セブ…セブ島です!
ア「セブ島でこんにちは!
⑻
健一が激怒する。
中「ええ加減にせえよっ!
中「グダグダ抜かしやがって!」
中「情けない!」
中「…お客様を泥棒扱いするなんて。(涙)」
健一は自分の接客姿勢に立腹していたよう。
中「すいません!」
ア「いぃよぉ~
信「言わんでええ!(苦笑)」
風水師パコとその弟子ペコに間違えられ、
事なきを得た、泥棒の信濃とアキ。
暗転。