23.
⑴
一ノ瀬が工場の人間に対し、
一瀬「みんな、あの男の話を信用したわけじゃないですよね?
」
沙月「…私も和也君と信じる。(涙)」
沙月が和也の方に一歩、歩み寄る。
一瀬「沙月さんまで、何を言い出すんですか!
」
沙月「でも…」
沙月が一ノ瀬のもとに駆け寄り、
沙月「雄二さんが犯人というのは、何かの間違いよ!(泣)」
自分を愛してくれた一ノ瀬を信じたい、沙月。
和也「沙月さんが犯人じゃないと思いたい気持ちは分かります」
和也「でも、その男が俺を殺したんです
」
和也「その男は、一ノ瀬雄二ではありません!」
和也「本当の名前は…金平巧!
」
沙月が一ノ瀬に
沙月「…間違いよね!?(泣)」
一瀬「当然じゃないですか!
」
一ノ瀬が茂造に対し、
一瀬「根も葉もないことを並べ立てて…茂造さん、僕を妬んでるんですか?」
一瀬「それなら、あんた、『やっぱり邪魔やな!!』」
⑵
『やっぱり邪魔やな!!』
その言葉が結衣の記憶を呼び起こす。
(照明が青暗い禍々しい色に変わる)
結衣が頭を抱え、座りこむ。
結衣「頭が痛いよーっ!!」
陽子「結衣っ!!
」
和也「結衣、大丈夫か!!
」
『やっぱり邪魔やな!!…邪魔やな!…邪魔やな!…邪魔やな!』
と、一ノ瀬の声が結衣の頭の中で反響し、そして、声が止まる。
結衣が一ノ瀬を指差し
、
結衣「…この人がお父さんを撃ったの」
一ノ瀬が笑いながら、結衣に対し、
一瀬「結衣ちゃん、記憶、まだ戻ってないね?
」
和也が一ノ瀬に問い詰める。
和也「なんで、結衣が記憶を失くしている事を知ってるんや!?」
一瀬「そっ、それは…沙月さんから聞いた
」
一ノ瀬が、背中に居る沙月の方を見る。
一瀬「ね?沙月さん
」
沙月「…私、言ってない!言ってないっ!!
」
⑶
そこに、刑事・芹沢が現れる。
芹沢「喜んでください!」
芹沢「犯人の手掛かりが掴めました!」
芹沢「事件発生直後、工場の近くで自動車事故があったのですが…」
芹沢「軽微なものだったので、届出されていなかったんです」
芹沢「事故に遭った車のドライブレコーダーに、」
芹沢「地元の者ではないスーツの男が収めされていました」
芹沢「その事故を起こす原因となった人物こそ、この事件の容疑者…」
芹沢「龍仁会・若頭、金平巧です!」
皆が驚いた顔をし、金平の方を見る。
芹沢が皆の視線を追い、舞台上手に居る金平が視界に入る。
芹沢「お前は、金平巧!
」
一ノ瀬が金平巧であることが確かになる。
⑷
金平が本性を現す。
金平「最悪のタイミングで記憶を取り戻しやがって!」
金平「娘に情けをかけたんが間違いや!」
金平「目撃された時に、躊躇なく殺しておけば良かった!」
沙月が金平に対し、
沙月「私を騙したのね!(泣)」
金平「利用価値があったからやっ!有り難く思え!」
沙月は泣き崩れる。
金平は苛立ち、叫ぶ。
金平「あ〝ぁーーっ!!!
」
金平「何十億というビジネスがパーや!!
」
金平が和也に尋ねる。
金平「なんで、俺が金平って、知ってるんや?
」
金平「どこで調べたんや?
」
和也「それは、お前が俺を殺したからや」
金平「何をわけのわからんこと言うとんや!」
金平「…わけのわからん男が来てから、全部おかしくなったっ!!
」
⑸
芹沢「金平!大人しくしろ!署まで来てもらおう!」
芹沢が金平を逮捕しようとするが、金平は芹沢を殴り倒す。
拳銃を取り出し、天井に向け発射し、威嚇する、金平。
舞台下手に居る結衣を抱き、人質に取り、舞台下手に戻る。
⑹
金平は、人質の結衣に拳銃を突きつける。
逃走するため、
金平「社長の車の鍵、渡せ!
」
和也が金平に対し、
和也「その子を放してくれっ!」
和也「俺が人質になるから!」
金平「無理やな。お前に関わったら、ロクなことがない」
芹沢が説得に当たる。
芹沢「金平、これ以上、罪を重ねるな!
」
芹沢「分かった。俺の車を使え!
」
金平「警察の車はGPSが付いとるやろがっ!!」
芹沢が説得する間に、舞台下手にいる和也達が作戦を練る。
金平の頭の上に、壊れた換気ダクトが伸びていて、
裂けた通気口にバスケットボールをシュートし、ダクトの中を通らせ、
金平の頭に落とした隙に、結衣を救う算段。
和也「涼介を信じる!」
陽子「お願いします!」
涼介が見事シュートを決め、ボールがダクトを通り、金平の頭に当てる。
金平「痛っ!
」
金平は衝撃で結衣を離し、結衣が皆のもとに戻ってくる。
⑺
芹沢が金平を取り押さえようとするが、
金平に撃鉄で殴られ、気絶してしまう。
金平は激昂する。
金平「もう、ええ!」
金平「片っ端から、ぶち殺したるっ!!
」
和也が金平の前に立つ。
和也「もう、誰一人、傷付けさせん!
」
金平「お前が一番目障りやっ!
」
と、和也を撃つ、金平。
和也がテーブルに倒れる。
「和也さん!」、「専務ーっ!」、皆が叫ぶ。
⑻
しかし、次の瞬間、まるで逆再生のように、和也が立ち上がる。
金平「こいつ、バケモンか!?
」
金平の手が震え、銃口は定まらず、和也に銃を掴まれる。
弾を発射することができず、和也に銃を奪われる。
和也に恐れ慄き、体育座りして怯える、金平。
和也は怒りを隠したような冷たい表情で、金平に銃を向け、
ハンマーを引き、弾を込める。
金平「撃つなっ!撃たんといてくれーっ!![]()
」
リン「ダメよ!ダメ!
」
和也に撃たないよう促す、リンダ。
結衣の顔を身体で覆う、陽子。
和也の顔には憎しみのような表情が浮かぶ。
和也は天井に向け、拳銃を発射する。
金平「ヒーッ!![]()
」
⑼
座り込む金平のもとに芹沢が向かう。
芹沢「金平巧!」
芹沢「公務執行妨害、傷害、恐喝、人質強要、殺人未遂の現行犯…」
芹沢「そして、伊藤和也の殺人容疑で逮捕する!」
芹沢が金平に手錠を掛ける。
芹沢が工場の皆に一礼する。
芹沢「これでやっと、伊藤和也さんの無念を晴らすことができます!」
⑽
連行される、金平。
金平の前に和也が立ち塞がる。
金平「ヒーッ!![]()
」
和也「二度とここに近付くな!
」
金平「やめてくれー!やめてくれーっ!![]()
」
沙月は、恋人だった金平に一歩近付き、金平の姿に涙する。
金平が連行されていった。
その17に続く