白髪混じりの女性(金澤芳江)が現れる。

女性「小百合ー!
プンプン
従業員に小百合という人物はおらず、皆、目を見合わせる
キョロキョロ

女性「小百合、そんな姿になっても、分かるわよっ!」


哲郎「何しに来たの!?、お母さん」

舞台も観客も驚くびっくり

 

どうやら、哲郎が小百合のよう。

 


母親「ずっと、探していたわ!」
母親「帰りましょう!
プンプン
と、哲郎の腕を掴むが、哲郎が振り解く。

母親「恥ずかしくないの!?」
哲郎「私は望んでこうなったの。ほっといて!」

母親「何を言っているの。帰るわよ、小百合っ!」
哲郎「俺は哲郎や!」

♪悲しい音楽が流れる

哲郎「小百合はもうこの世に居ない。(涙)」

哲郎「子供の頃から、女であることに違和感があった」
哲郎「なのに、あなたは『女の子らしくしなさい』と私を責めるだけ」
哲郎「俺は心と体がチグハグで、ずっと、苦しかった」
哲郎「そうするうちにも、体はどんどん成長して…」
哲郎「制服だからと、スカートを着るのが恥ずかしかった」
哲郎「誰にも相談できず、一人で悩んでいた」

母親「それは、あなたの思い込みよ!」
哲郎「あなたは、いつもそう!」
哲郎「俺が勇気を振り絞って、あなたに相談した時も…『あなたの思い込みよ!』」

哲郎「たった一人の肉親に『思い込み』って言われた、俺の気持ちが分かる?」
哲郎「心が引き裂かれるように、苦しく辛かった」

哲郎「だから、嘘を付くのはやめて、生まれ変わったの。(涙)」

母親「何が哲郎よ!情けないっ!!」


茂造「何が情けないんですか!どこが情けないんですか!プンプン
茂造「哲郎さんは生まれ変わって、今を一所懸命に生きようとしている」
茂造「そんな哲郎さんを否定する…あなたの方こそ、情けないと思いませんか!?」


母親「…ごめんなさい
ショボーン
母親「私も気付いていたの!(涙)」

♪感動的な音楽に変わる

母親「でも、信じたくはなかった。(涙)」
母親「一時の気の迷いと思い込み、見て見ぬ振りをしていた。(涙)」
母親「現実から逃げていた。(涙)」

母親は哲郎に対して、
母親「孤独にして、ごめんなさい!(泣)」
母親「あなたの力になれなくて、ごめんなさい!(泣)」


古賀が哲郎の母親に対し、
古賀「哲ちゃんはほんまに立派な男です!
照れ
古賀「辛い仕事も率先して引き受けてくれて、ほんまに助かってる」

他の従業員も続く。
涼介「僕の両足が不自由な時、どれだけ哲郎さんに助けられたか!
照れ
浩太「僕は哲郎さんのように、男らしくなりたい!
おねがい
沙月「哲ちゃんが居ないと、工場の仕事は捗りません!(涙)


結衣「哲郎のおっちゃんと仲直りしてほしい
ニコニコ
陽子「結衣…
おねがい
陽子が後ろから結衣の両肩に手を置き、同じ気持ちであることを伝える。

茂造「お母さん。今からでも、遅くないと思いますよ
照れ


母親は哲郎に対し、
母親「今からでも、許してくれるかしら?(泣)」
母親「本当にごめんなさい、小百合…」
母親「…哲郎。(泣)」

母親の言葉を聞き、茂造と古賀が笑顔で肯き合う
照れ

哲郎「…(泣)」
哲郎「今、『哲郎』って呼んでくれた。(泣)」
哲郎「ありがとう…(泣)」
母親「哲郎…(泣)」
母子が近付き、抱き合う。
哲郎「ありがとう…(泣)」
母親「哲郎…(泣)」

二人が顔を見つめ合い、
哲郎「ありがとう…『お父さん』。(泣)」
びっくり笑い泣き

♪感動的な音楽が止まる

全員「えーーっ!!!
びっくり

(すすり泣きが聞こえた観客席から、驚きと笑いの声が起こるびっくり笑い泣き)

再度、親子で抱き合う。

暗転。

♪コミカルな音楽が流れる。

 
 

哲郎・沙月・結衣・リンダ以外の従業員の場面。

 

涼介は復帰に前向きになったようで、

上半身をバスケウェアに着替え、ドリブルしている。


テーブル周りで皆が見守る中、
涼介がシュートを打つが、ゴールリングを外す。
古賀「隠れて練習していたみたいやけど、だいぶ鈍ってるようやな」
涼介「トライアウトまでに仕上げていきます!」
紗弥「ビシビシ行くわよ!
ウインク
浩太「僕に手伝えることやったら、何でも手伝います!
ニコニコ

茂造は陽子の横に座っていて、陽子の肩に頭を寄せ、
グリグリと擦り付けている。
茂造「陽子、一緒に手伝おうな~
チュー笑い泣き
陽子は苦笑いしながら、浩太に手招きし、助けを求めているアセアセ

浩太が茂造を押し退け、
二人の間に入る。
浩太「茂造!何、陽子ちゃんにベタベタしとんねん!
プンプン

浩太の頭を叩く、茂造。
浩太「痛っ!生意気やねん、新入りのくせに!
えー

陽子「昨日はバタバタやったけど、」

陽子「涼介君は再起、哲郎さんはお母さんと仲直りして良かった照れ


茂造「しかし、哲郎さん、びっくりしたなあ」
茂造「まさか、哲郎さんが小百合さんで、お母さんがお父さんとは…」
陽子「今、『父と娘』としての最後のデートを楽しんでいるわ」
茂造「…どういうこと?」

すると、女性のカツラを被り、ワンピースを着た哲郎と、
バーコードのカツラを被り、スーツを着た母親が現れる。

哲郎「ただいまー!」

 

茂造「お前ら、コントでもするんか!(苦笑)」
二人「ほっといて!」

母親「ご迷惑をお掛けしました」
母親「今回を最後に、母親と息子として再スタートします」
哲郎「これで隠し事がなくなりました
照れ


茂造は険しい顔になり、
茂造「隠し事はまだあるやろ!
プンプン
哲郎「何のことや?」
茂造「しらを切るつもりか!?
プンプン
と、哲郎のリストバンドを取る。
痛々しい注射痕が露わになる。

皆が驚く。

茂造「危険な薬に手を出してるやろ!
プンプン
茂造「証拠もあるんや!」
と、棚から注射器の入った紙袋を持ってくる。
皆に、注射器を見せる、茂造。

哲郎の母親が、
母親「哲郎、なんでそんな薬に手を出したの!?」
母親「これも、私の責任ね。(涙)」

茂造「哲郎さん、警察に行こう!今ならまだ、間に合う!」
と、哲郎の腕を引っ張る、茂造。

哲郎が茂造の手を振りほどく。
哲郎「違うのよ!
アセアセ
茂造「何が違うんや!」
哲郎「ホルモン注射よ!
アセアセ
哲郎「定期的に男性ホルモンを打たないと、丸みを帯びた女性の体に戻ってしまうの!」

茂造「騙されへんぞ!」
茂造「哲郎さんの異常なリアクション、見たぞ!」
茂造「なあ、皆、見たやろ?」
茂造が皆に同意を求める。
古賀「…あれは、ここ最近、哲郎さんにたまに出る発作や」
茂造「…えっ?発作?
キョロキョロアセアセ

茂造「百日前には無かったの?キョロキョロアセアセ

古賀「無かった」


茂造が哲郎を見て、
茂造「…ほんまにホルモン剤なんやな?」
肯く、哲郎。
茂造「心配したんやぞ…(泣)」
茂造「心配した…良かった。(泣)」

涼介「なんで、茂造さん、工場に来たばかりやのに、泣いてんの?」


外出していた沙月が戻ってくる。
沙月「ただいま
ニコニコ

沙月は、恋愛が順調なようで、綺麗に着飾っている。

沙月が女装した哲郎を見て、
沙月「今日の哲ちゃん、めっちゃ可愛い
おねがい
茂造「究極の社交辞令やな。(苦笑)」
笑い泣き


哲郎の母親が哲郎に、
母親「今日は楽しかった
照れ
母親「また、食事に行きましょう
照れ

哲郎「ありがとう、お母さん
照れ
母親「ありがとう、息子
照れ

茂造「変な呼び方やな。(苦笑)」

とにかく、親子の関係は修復したよう。

 

 
その15に続く