24.
⑴
皆が、撃たれた和也を心配し、駆け寄る。
陽子「あなたーっ!」
古賀「専務、大丈夫ですかっ!」
和也は笑顔で、
和也「大丈夫も何も、俺はこの世の人じゃないから
」
和也「みんなを守れて、良かった
」
リン「伊藤和也…」
リン「時が来ました。(涙)」
薄青色の照明に変わる。
別れの時が来る。
結衣「お父さん、行ったら嫌や…
」
⑵
和也が皆に語りかける。
和也「沙月さん!」
和也「幸せを壊して、ごめんね。(涙)」
沙月「私のことを助けてくれて、ありがとう。(泣)」
和也「沙月さんやったら、必ず、良い旦那さんが見つかるから
」
沙月「究極の社交辞令やないの…(号泣)」
和也「…陽子と結衣をお願いします。(涙)」
和也「古賀さん!」
和也「これからたいへんやと思うけど、工場の仲間のことをよろしくお願いします!」
古賀「専務…(涙)」
和也「哲郎さん!」
和也「お母さんを大切にね
」
哲郎「ありがとうございます…(涙)」
和也「涼介!」
和也「絶対にトライアウト、合格しろよ!
」
涼介「はい!絶対に合格しますっ!(涙)」
和也「紗弥香さん」
和也「涼介は頼りないところがあるから、支えたってね
」
紗弥「任せてください。(涙)」
⑶
和也は舞台上手に居る、陽子と向き合う。
和也「陽子…」
和也「来世も来来世も幸せにするって約束…」
和也「俺、生まれ変わることがないから、約束、守られへんわ。(涙)」
和也「ごめんな。(涙)」
陽子「和也さん…(涙)」
和也か浩太に向かい、呼びかける。
和也「浩太ーっ!
(涙)」
和也と陽子はお互いを見つめ、涙しながら頷き、
夫婦の固い繋がりを確認する。
和也は陽子を(舞台下手に居る)浩太の方に向け、手を繋ぎ連れて行く。
浩太の横に並ばせ、陽子の手を離し、浩太に託す。
和也「陽子を必ず幸せにしてくれよ!
(涙)」
浩太「…(泣)」
和也「返事はっ!」
浩太「はい!幸せにします!!(泣)」
和也「よし。なら、俺に黙って、二人でランチに行ったことは許す
」 ![]()
⑴
和也が(舞台上手に居る)結衣と向き合う。
和也「結衣。お父さん、居なくなるけど、強く生きていくんやぞ。(涙)」
結衣「お父さん、行かんとって…(涙)」
和也「それは無理なんや。(涙)」
結衣「嫌や!行ったら嫌や!(涙)」
和也「…(涙)」
和也「じゃあ、結衣との約束や…(涙)」
結衣の手を腕に抱える、和也。
和也がメンデルスゾーンの『結婚行進曲』を歌う。
和也「♪パパパパーン」
和也「♪パパパパーン」
和也「♪パパパ…うぅ(泣)」
涙で歌えない和也の代わりに、古賀が続きを歌う。
古賀「♪パパパパーン」
古賀「♪パパパパーン」
皆が古賀に続く。
皆の歌に合わせて、和也と結衣が一歩ずつ歩き、
和也「結衣っ!結衣ーっ!結衣ーーーっ!(泣)」
和也「…うぅ(泣)」
⑵
工場入り口に居るリンダが告げる。
リン「…時間です!(涙)」
♪別れの曲が流れる
結衣を陽子と浩太に託す、和也。
舞台は、より一層薄暗くになり、入り口が緑色のライトで照らされる。
和也は、悲しみを堪えるような表情で、入り口のリンダのもとに足早に向かう。
和也はリンダと向き合う。
リンダは泣きながら頷く。
和也も頷く。
和也は精一杯、微笑み、明るく振る舞う。
和也「みんな!さよならっ!!
陽子「和也さん!(涙)」
結衣「お父さん!(涙)」
沙月「和也くん!(涙)」
古賀「専務ーっ!(涙)」
皆が「専務ーっ!(涙)」
陽子「あなたーっ!(涙)」
結衣「お父さーん!(涙)」
結衣が和也のもとに駆け寄るが、
和也と触れ合う前に雷鳴が轟き、驚いた結衣は床に腰を落とし、
暗転。
⑶
非常用電源か、僅かな明かりが灯る。
作業場へ向かう扉の先に、生前の見た目の和也(鈴木康平)が現れ、
淡い光が和也を照らす。
和也の魂だろうか。
和也「さよならっ!
」
和也を照らしていた光が消え、扉が閉まる。
陽子「和也さん!(涙)」
結衣「お父さん!(涙)」
沙月「和也くん!(波)」
古賀「専務ーっ!(涙)」
皆が「専務ーっ!(涙)」
陽子「あなたーーっ!(涙)」
結衣が扉の前に駆け寄り、長く、長く、父親に呼びかける。
結衣「お父さーーーーーーーーん!!(涙)」
扉が開くことはなく、結衣はもう二度と父親と会えないことを悟る。
俯きがちに、母親・陽子のところまで歩いていく
結衣を抱きしめる、陽子。
結衣は陽子の胸で泣き崩れる。
結衣「わーーーっ、うぅ…わぁーーーー(号泣)」
暗転。
♪物悲しげな音楽が流れる