⒔
⑴
スーツの男性・芹沢(濱田亮平)が現れる。
芹沢「失礼します!」
沙月「芹沢さん、こんにちは
」
芹沢は茂造を見て、
芹沢「どなたですか?」
沙月「今日から働くことになった、辻本茂造さんです」
芹沢は3ヶ月前の和也殺しの犯人を追っている、刑事だった。
陽子「捜査の方は進展しましたか?」
芹沢「全力で捜査しているのですが、難航しております」
芹沢「山間ということで、目撃者は無く…」
壁の上の方(客席)を見ながら
芹沢「防犯カメラも設置されていなかったため、犯人像が特定できない状況です」
芹沢「私としては、何としても糸口を掴みたい!」
芹沢「そこで、唯一の目撃者である結衣ちゃんの記憶を取り戻してもらうため、」
芹沢「記憶喪失の専門家をお呼びしたのですが…」
陽子「それだけはやめてください!」
陽子「結衣は記憶を取り戻したら、かなりのショックを受けます!」
陽子「結衣にあの恐怖だけは思い起こさせたくないんです!!」
芹沢「和也さんを死に追いやった犯人ですよ?」
芹沢「…私は、何としても逮捕したい」
芹沢「ご協力をお願いできませんでしょうか?」
陽子「…分かりました」
陽子「でも、結衣が少しでも苦しむようなら、直ぐにやめさせます!」
結衣が現れる。
結衣「手を洗ったよ
」
陽子「おやつ、置いてるから食べなさい」
⑵
芹沢が「先生!」と外に呼びかける。
現れたのは、CDコンポを持った、脳科学の専門家(アキ)。
脳科学の専門家の見た目は、肩に付くほどの髪の長さでオカッパ。
あご髭と口髭がある(=描かれている)。
競輪のスーツに競輪用の透明メガネ、銀と青のスポーツシューズ。
腹に金色のポシェットを巻いている。
口を開き、目は一点を凝視し、
右手は常に『フレミングの右手の法則』をし、
上半身がゆらゆらと前後に小さく揺れている。 ![]()
茂造「めっちゃ、気持ち悪い奴が来た
」
先生「脳科学のスペシャリスト、佐村河内です
」
茂造が佐村河内と反対の方を見て、
茂造「あかん、胡散臭い
」 ![]()
佐村「誰が何と言おうと、佐村………河内です
」
茂造「誰も何も言うてない
」
⑶
佐村河内は芹沢に対し、
佐村「ちぇりじゃわちゃん、後3時間でマサチューチェッチュ行きの…
佐村「(早口になり)飛行機出っちゅ!急ぎっちゅっちゅちょう!」
茂造「赤ちゃん言葉になっとるやん
」
茂造「…あいつ、大丈夫か?」
佐村「記憶とは、脳場の…
」 ![]()
茂造「…脳場?(苦笑)」
佐村「記憶とは、脳の海馬という部分で形成されています![]()
」
佐村「この海馬がストレスに非常~に弱い
」
佐村「事件を目撃したことで海馬にストレスが掛かり、海馬の機能が停止し、」
佐村「記憶が失われたと思われます」
佐村「そこで、二つのアプローチで海馬の機能を活性化させます
」
陽子「…二つのアプローチ?」
佐村「ああ
」 ![]()
茂造「なんで、上からやねん
」
佐村「一つは、軽い運動」
佐村「海馬の細胞を増やします」
佐村「もう一つは、音楽を聴くこと」
佐村「ストレスの軽減になります」
佐村「言うなれば、音楽のエクササイズ」
佐村「いや、音楽のエクスゥアスァーイズウヮァッ
」 ![]()
茂造「2回目の言い方、分かりにくいわ。(苦笑)」
⑷
佐村「まず、手本を見せましょう
」
佐村「梅干しを食べられる人…あなただ
」 ![]()
と、茂造が選ばれる。
茂造「誰でも食べられると思うけど
」
佐村「食べられない人もいるんだ…フフフッ
」 ![]()
佐村河内は、金のポシェットから梅干しを取り出し、茂造に渡す。
茂造「この人の梅干し、食べたないわ。(苦笑)」 ![]()
茂造に何やら耳打ちする。
茂造が酸っぱそうに梅干しを食べると、
佐村「ミュージックスタート!」とCDコンポを再生する。
B'z『Ultra Soul』が流れ、茂造が二階に上がる。
佐村河内はゴミ箱を手に持つ。
佐村河内はフレミングの法則の手のまま、一点を凝視し、口を開け、
曲に合わせ、一歩前に出ては下がり、非常に動きの少ない奇妙な動きをする。 ![]()
体を止め、気になった場所(=観客)を凝視する、佐村河内。 ![]()
そして、また小さく揺れる。
曲終わりで、茂造が梅干しの種を飛ばし、佐村河内がゴミ箱でキャッチする。
フレミングの右手の法則を強調しながら決めポーズをする、佐村河内。 ![]()
茂造が二階から下りてくる。
茂造「言っている意味が分かりました」
茂造「『コーン!』っていう音を聞いたら、心が…」
全員「スーッ!
」
佐村「まあ、一番、『スーッ!』ってしているのは、キャッチした私ですがね
」
佐村「…フフフッ
」 ![]()
⑸
結衣がキャッチする番。
結衣にゴミ箱を持たせる、佐村河内。
佐村「結衣ちゃん、持ってみようか」
佐村「ほら、持てた…フフフッ
」 ![]()
茂造「誰でも持てるって!
」
佐村「梅干しは…あなただ
」
と、また、茂造が種を飛ばす役に選ばれる。
佐村「あなたは二個が好きな人だ
」
茂造「一個が好きです
」
佐村「二個が好きなことに気付いていないだけだ…フフフッ」 ![]()
茂造「…血糖値が上がるわ
」
佐村「生きてる証拠です
」 ![]()
再び、茂造に耳打ちする、佐村河内。
茂造「一回聞いたら、ルールは分かるって!」 ![]()
茂造「アホちゃうか!?」
二階に上がった茂造が種を飛ばし、結衣が見事に種をキャッチする。
⑹
陽子が結衣に尋ねる。
陽子「結衣、どう?」
結衣「何が?」
芹沢「先生!…これはどうなんでしょうか?」
佐村「お手上げです
」
茂造「『お手上げ』って、梅干し、二個も食べさせやがって!」
と、佐村河内の太ももの裏を平手で叩く。
佐村「そこ、一番痛いとこっ!
」 ![]()
佐村「勘違いしないでください!
」
佐村「あなたの考える『お手上げ』と私の考える『お手上げ』は違います
」
茂造「どういうことか説明してください」
佐村「分かりました」
佐村「では、あなたのストライクのタイプの女性に好かれたことを想像してください」
茂造が顔を緩める。
佐村「もっと、真剣にイメージしてください!
」
茂造が鼻の下を伸ばす。 ![]()
次の瞬間、
佐村「調子、乗ってんじゃねえよっ!
」 ![]()
と言い、走り去っていった。
茂造「どういう引き際やねん!(苦笑)」
⑺
芹沢が陽子達に平謝りする。
芹沢「申し訳ございません!
」
芹沢「私が聞いていた評判とは違ったみたいで!
」
茂造「どんな評判、聞いていたの?
」
芹沢「私は絶対に犯人逮捕を諦めません!」
茂造「マイペースやな。(苦笑)」
芹沢「失礼します!」
芹沢は佐村河内が忘れたCDコンポを持ち、去っていった。
⑻
沙月「あの先生、何やったの?(苦笑)」
その11に続く