⒍
⑴
チー「失礼します!」
(峰不二子のような)黒の全身ラバースーツ姿の女性・チー(Chee)と
灰色~銀色っぽいスーツ姿の西山(入木将志)がやってくる。
チー「こちらの代表の方は?」
沙月「私ですが…」
チー「こういう者です」
と、沙月に名刺を渡す。
沙月「…アーツブレインカンパニー、営業部長?」
沙月「どうぞ、お座りください」
チーがテーブル下手側の椅子に座る。
⑵
チー「西山」
西山「お近付きのしるしに…つまらない物ですが」
と、テーブルに贈り物を置く。
源造「つまらない物には、キーック!
」
贈り物を踏み潰す、源造。
源造はやりきったという感じで、
源造「キック!
」
和也「源造さん、何をしとるんや!
」
源造「『つまらない物』って言われたから…
」
源造が西山に尋ねる。
源造「中身、なんや?」
西山「…ラ・フランス」
源造「潰れてぐちゃぐちゃになったから、もう『用無し(=洋梨)』や
」
源造「陽子。ジュースにしなさい
」
古賀「偉そうに…お前が決めるな!
」
⑶
源造の無礼な応対について、沙月がチーに謝る。
沙月「申し訳ございません
」
沙月「私が代表の原田沙月です」
和也「専務の伊藤和也です」
工場の仲間はロビー上手寄りで見守る。
沙月「どういったご用件で?」
チーが沙月に用件を述べる。
チー「今日は、恩赦が保有するこの土地をお売りいただきたく、ご相談に参りました」
チー「私達は土地売買の仲介をしている者でして…」
チー「詳しくは西山から」
西山「この一帯に最終処分場を建設する予定がありまして…」
西山「ですから、土地を売っていただきたいのです」
和也「申し訳ございませんが、その話をお受けすることはできません」
チー「ご安心ください」
チー「別の土地で営業を継続できるように考えております」
チー「移転費用を含め、相場以上の金額で買い取らせていただくつもりです」
和也「そういう問題ではございません」
和也「弊社の繊維製品の製造には、この山の湧き水が不可欠なのです」
沙月「父が苦労して探し当て、私達に残してくれた土地なんです」
沙月「幾らお金を積まれても、この土地を売る気はございません」
和也「それに、最終処分場を建設すると、土壌が台無しになってしまいます」
チー「お言葉ですが、」
チー「この土地は、工業排水で既に環境汚染されているじゃありませんか」
和也「はっきり、申し上げます」
和也「私達は、水の扱いには細心の注意を払っております」
和也「荒い浮遊物をバースクリーンで取り除き…」
和也「沈渣池を通して沈殿させ、沈殿池を通して濾過し…」
和也「水を中和した後、工業用水として再利用しております」
和也「排水は最小限に留めております」
和也「環境汚染とおっしゃいますが…」
和也「事実を正確に調べた上で、お話していただきたい!」
古賀「土地は売らんぞ!」
皆が「売らん!」、「そうや、そうや!」、「帰れ!」と続く。
⑷
西山「じゃかましんじゃい!横から、ぐちゃぐちゃと!
」
西山が古賀に襲い掛かり、胸ぐらを掴む。
哲郎が間に入り、西山の手を解く。
西山の攻撃をするするとかわし、
西山の首を片手で掴み、そのまま押し倒す。
⑸
西山「このボケ、なめやがって!![]()
」
激昂した西山がドスを取り出す。
アーツブレインカンパニーは普通の会社ではないよう。
西山がドスを構えると、和也が両手を広げ、皆を守ろうとする。
和也「やめろ!従業員には手を出すな!
」
西山「なんやと!
」
チー「西山!」
チーは西山のドスを下ろさせる。
ドスを仕舞う、西山。
チーは和也らに対して、
チー「一旦、引き上げます」
チー「でも、私達も諦めるわけにはいかないの」
チーが西山に対して、
チー「行くわよ!」
西山「…へい!」
チーが去る。
西山も和也を睨みつけながら、去っていった。
⑹
二人が去り、両膝の力が抜け床に付ける、和也。
結衣「お父さん、大丈夫?」
和也「大丈夫や
」
結衣「お父さん、カッコよかった!
」
和也「ただただ、必死やっただけや。(苦笑)」
哲郎が和也を椅子に座らせる。
父親の和也に寄り添い、安心している、結衣。
⑴
騒がしい声を聞いた大島が二階から下りてくる。
大島「何か、あったんですか?」
古賀「『土地を売れ』言うて、断ったら、暴れた奴がいてな」
古賀「専務と哲ちゃんが守ってくれたわ」
古賀「お前の方は大丈夫か?」
大島「お母さん、『別れなさい』の一点張りで…
源造「辻本源造、役に立つ時が来ました!
源造「工場に来て、皆の絆とチームワークに気付きました」
源造「皆で一芝居、打ちましょう!」
浩太「一芝居?」
源造「友梨ちゃんが強盗に人質に取られ、大島君が助ける」
源造「命懸けで助ける姿を見たお母さんは、二人の結婚を許すはずです」
皆が源造の案に乗る。
⑵
陽子「でも、強盗の役は?」
源造「どこかに、ええ人おらんかなあ?」
そこに、借用書を持った森田が現れる。
森田「大島!借用書、持ってきたぞ」
皆で「おったー!」
森田「…強盗役、やらんからな
」
大島「何で、知ってるんですか?」
森田「そこまで、丸聞こえやった」
大島「強盗役、お願いします!」
森田「やらん!」
源造「今すぐ大爆笑取るか、手伝うか、どっちや」
森田「…手伝う
」
森田の顔はサキに知られているため、顔を隠す方法を考える。
源造「それやったら、これがあるわ」
と、ポケットから怪しげな蝶マスクを取り出す。
大島「何で、そんなもん、持ってるの?」
源造「源造の夜の顔や
」
大島「一体、何の仕事をしてるんや!」
源造が蝶マスクを目に当て、
源造「それは…ひみつの源造
」
森田に蝶マスクを着けさせる。
浩太「緑のスーツもインパクトがあるから、気付かれるかも」
と、上半身を脱がせる。
すると、光る『花火のブラジャー』が現れる。
秘密を知られ、目を閉じ、頭を横に傾け落ち込む、森田。 ![]()
大島「何で、そんなブラ、着けてんの?」
源造「さっき、結衣ちゃんにぼろ負けやったからな
」
源造「男として子供には負けられんから、頑張ったんやな
」
源造「よっぽど面白い理由があるんやろう
」
源造「大島君、理由、聞いたってくれ」
大島「何で、そんなブラを着けてるんですか?」
森田「…」
森田「今日、ちょっと寒かったんです…」
全員「…
」
結衣が森田の前に来て、
結衣「やっぱり、お笑い向いてない
」
森田「…(苦笑)」
意気消沈したように、花火のブラジャーのライトが消える。 ![]()
古賀も森田を遇らう。
古賀「はい、はい
」
古賀「台詞を付けていくから、あんたは下がって。(苦笑)」
森田「冷た過ぎない?」
ブラジャーのオチを言わせてもらえない、森田。
⑶
古賀が台詞を付ける。
簡単には、
①皆で「強盗やーっ!」と叫び、友梨やサキを呼ぶ
②強盗役の森田が包丁を持ち、友梨を人質に取り、金を要求
③大島が森田と対峙し、友梨を助ける
④源造「やり直すんや!」「生まれ変わるんや!」と、森田を改心させる
⑤森田が去る
⑥サキが大島と友梨の結婚を許す
というプラン。
途中、大島にナイフを奪われ、森田が逆に襲われる場面も用意され、
『悲鳴で大爆笑』を要求される。
森田「悲鳴で大爆笑って、どういうことや?(苦笑)」
森田の悲鳴(『恐ロシア×3』、『Oh! No!×3』、『怖がってる×3』、『母上様~×3』等)は、
不発に終わる。
森田「OK!
源造「何が『OK!』や!」
源造「何や、あの悲鳴!?」
源造「本番で言うたら、杖の先で喉元を叩くからな!
森田「二度と言わんわ!
森田「ところで、友梨ってどんな女や?」
源造「出てきたら、分かる。アザラシか、友梨や
⑷
本番スタート。
皆で「強盗やーっ!」と叫び、サキ・友梨・手島が二階から下りてくる。
森田が友梨を人質に取り、舞台上手に立つ。
大島が森田と対峙する前に、サキが森田の前に行く。
サキ「私の娘に何をしてるのよ!
サキは異様に強く、一瞬で森田の腕を捻り、森田は包丁を落とす。
サキ「警察に電話を!
森田「ちょっ、ちょっと待ってください!
森田「頼まれてやっただけなんです!
サキ「…頼まれた?誰に?」
森田「大島です!
サキ「本当なの!?」
源造「その通りなんや!
サキ「大島ーっ!
サキが床の包丁を取り、(舞台下手に居る)大島に襲い掛かる。
勢い余って転び、包丁を落とす、サキ。
源造「やり直すんや!
と、源造がサキに落ちた包丁を渡す。
古賀「何しとんや!
舞台上手に逃げる、大島。
ナイフを持ったサキが大島に襲い掛かろうとする。
その時、騒ぎを聞いた、警官・岡田が現れ、
サキに銃を構える。
岡田が銃を発射する瞬間、サキが転び、
銃弾はサキの前に居る、森田に当たってしまう。
森田は仰向けに倒れる。
皆が駆け寄る。
大島「息してない!死んでるーっ!!
源造「生まれ変わるんや!
古賀「言うてる場合かー!」
暗転。
♪トランペット主体の、コミカルな曲か流れる
(カーテン状の黒幕が閉まる)