⒉
⑴
一人の従業員が遅刻しているよう。
沙月「そう言えば、今日から来るはずのアルバイト、遅いわね?」
和也「連絡しても繋がりません
」
大島「採用した僕の責任です。あの爺さん、初日から遅刻って!」
そこに、赤色の服に赤色の髪をしたお爺さん(見た目は茂造の赤色バージョン)、
辻本源造(辻本茂雄)が走って現れる。
源造「えらいこっちゃーっ!!」
源造は玉置のバッグを蹴ったり、
大島に遅刻を叱られては、バッグで玉置の顔を叩いて八つ当たりしたり、大暴れ。
玉置「何をするんや!
」
和也「社長、失礼しました!
」
玉置「ほんま、失礼な爺さんや!
」
和也「すみません!今度、一杯、奢りますので
」
玉置「それやったら、許します」
⑵
壊れたダクト部分を二階から見ようと、松本が階段を登る。
玉置「こんな爺さん、雇わん方がええですよ!
」
その声に応ずるように、
源造「なんで、そんなこと言われなあかんねん!
」
源造が杖で壁を叩くと、
階段が坂になり、松本が滑り落ちる。
大島「源造さん、何やこれ!」
源造「叩いたら、なったんや
」
⑶
今度は、ダクトを工場裏から見ようと、中央奥の作業場から回ろうとする。
玉置「ジジイ、ええ加減にせえよ!
」
源造「…
」
源造が杖で壁を叩くと、扉が閉まり、玉置達は腰を抜かす。
⑶
玉置「もう、我慢ならん!」
玉置達は怒って帰ってしまった。
源造「何で、こうなったんや?」
大島「お前のせいや!
」
和也「まあ、まあ。改めて、玉置社長に謝りに行くから、大丈夫や」
と、大らかな、和也。
⑷
沙月「このお爺さん、大丈夫?」
源造「大丈夫!一人でオムツも替えられるし
」
大島「オムツ、履いてるんですか?(苦笑)」
源造「もう、ベトベト
」
大島「替えといて!」
陽子「はい。怒るのはここまでよ!
」
⒊
⑴
源造・沙月が入り口付近に立ち、
工場の人間がロビー上手寄りに立ち、向かい合う。
沙月が「源造を紹介する」と言うと、
源造が自ら名乗る。
源造「アルバイトの源造や!
」
⑵
沙月達も源造に自己紹介する。
沙月「私は原田沙月
」
沙月「亡くなった父の跡を継いで、五年。皆に支えられながら頑張ってます」
⑶
陽子「私は伊藤陽子です
」
陽子「沙月の妹で、家事全般と事務を担当しています」
陽子「そして、私の夫が…」
和也「専務の伊藤和也です
」
沙月「和也君は、私の恩人なの
」
沙月「大手企業を辞めてまで、会社を手伝ってくれているわ」
沙月「和也君のお陰で、工場を守ることができた」
沙月「だから、私が、いつ、お嫁にいっても大丈夫ね」
源造「相手、おらんやろ!
」
沙月はズッコケるような変なポーズで、
沙月「ドゥへ!
」
陽子「私達の娘の…」
結衣が源造の前に出て、
結衣「伊藤結衣です!小学四年生です!
」
源蔵「可愛いなあ
」
と、源造は、掌で結衣の頭にポンポンと触れる。
その瞬間、和也が結衣を源造から引き離す。
和也「触るな!
」
陽子「あなた。頭を触るくらい、いいじゃない。(苦笑)」
和也は結衣を後ろから抱きしめ、
和也「男には、指一本、触れさせん!
」
古賀「専務は、結衣ちゃんを溺愛してるんや。(苦笑)」
※
補足。
結衣は大抵の場面では、両親(和也と陽子)の傍に居ます。
⑷
沙月「次は従業員の紹介ね」
古賀「古賀雅彦です
」
和也「古賀さんは創業時から勤めていて、もう30年になるベテランなんや」
和也「古賀さんの言い付けは必ず守ること!」
⑸
哲郎「南郷哲郎です
」
和也「力仕事で困った時は、哲郎さんに言うたらええ」
哲郎「任せて!
」
哲郎は、作業服を抜き、薄緑のタンクトップになり、筋肉を見せつける。
力仕事で怪我をしたのか、左肘に黒のリストバンドをしている。
源造「凄い筋肉…昔、何かやってたの?」
和也「哲郎さんは過去を語りたがらないから、誰も過去のことは知らんのや」
⑹
涼介が舞台上手袖から中央に車椅子を進め、
涼介「香芝涼介です
」
陽子「涼介君はBリーグに居たの
」
源造「…Bリーグ?」
陽子「バスケットのプロリーグよ」
和也「働きながら、トライアウトを受けて、プロになったんや
」
涼介「その話はやめてください
」
俯く、涼介。
涼介「たった一試合しか出てないんですから」
沙月「涼介君はね、デビュー戦で大活躍したのよ!」
沙月「でも、その帰りに事故にあったの」
沙月「信号無視のトラックと接触して、大怪我したの…」
源造「ハハハハッ
」
大笑いする源造。
大島「笑うとこ、ちゃうぞ!話、聞いてた!?」
涼介「…それで、契約は取り消し」
涼介「今では、この有様です
」
沙月が涼介に対し、
沙月「弱音は駄目よ!
」
和也も涼介を励ます。
和也は入り口上部のバスケットゴールを見てから、
和也「いつでも練習できるように、バスケットゴールも設置したんや」
源造が背後の壁に設置されたゴールを見る。
和也「復帰を目指して、リハビリ頑張ろう!」
涼介は何も答えず、不機嫌そうな顔をして、和也に背を向け、
奥(舞台上手袖)に戻る。
涼介は、バスケットの事で悩んでいる様子。
⑺
浩太「落合浩太です!
」
和也「浩太は、陽子の幼馴染」
浩太「リストラされて、職に困っていたところを専務に助けてもらいました」
浩太「専務と陽子ちゃんには、感謝しています!」
古賀「浩太は、専務に弟のように可愛がられてるんや
」
浩太は気が良さそう。
⑻
大島「大島和久です
」
沙月「私の未来の旦那様
」
大島「社長とは結婚しません
」
沙月「な~、ボーナス上げるから、結婚して~な~
」
大島「しません!」
沙月が奇妙なポーズをしながら、
沙月「ダッピョョョョョ~ン
」
源造と工場スタッフ、それぞれの紹介が終わる。
⑼
大島が源造に対し、
大島「源造さん、ちゃんと仕事してよ!」
源造「はい、はい。『はい』は一回!」
大島「なんや、その返事は!
」
その4に続く