隣のクリーニング店の真希(前田真希)が休憩にやってくる。
真「けんじさん、こんにちは」
清「おお、真希ちゃん。いらっしゃい」

真希は安尾とは面識が無く、けんじに尋ねる。
真「そちらの方は?」
清「最近入った、安尾っていうアルバイトなんや」

清「お茶を出すから、座って」


クリーニング店から、花子(山田花子)も休憩にやってくる。
花「大将、こんにちは」
清「おっ、姉妹揃って休憩?」
清「花ちゃんも座って」

花子と真希は姉妹で、花子が姉のよう。
テーブルを挟んで、二人が座る。


安尾が二人の間に立ち、
安「何という、神様のいたずら!
ニヤリ
安「生きていたら、良い事がある」
安「だから、頑張って!」
と言い、真希の方を見る。
笑い泣き

清「そっち!?(苦笑)」
安「歯が出てるから
ニヤリ
清「確かに、『すんのかい、せんのかい』みたいな空気、出てるけど」
笑い泣き
真「…?」
清「でも、歯出てるのは、どっちか言うたら、花ちゃんの方や!(苦笑)」


真希がけんじに対し、
真「けんじさん、今日もお店が忙しそうね」
清「おかげさまで…」
真「定休日も無しに、朝から晩まで働いてるわね」
清「何とかなってるのも、家内のお陰や
照れ

真「奥様は?」
清「今、買い物に行ってるわ」


けんじの妻の靖子(高橋靖子)がスーパーのビニール袋を提げ、戻ってくる。
靖「ただいま」
清「靖子、お帰り」
靖「今日は、あなたの好きな『すき焼き』にするわね
ウインク
清「おー、楽しみやな
ニコニコ

靖「亜依はもう戻ってきた?」
清「それが、まだなんや」
清「中学校、とっくに終わってる時間やのに、何してるんやろ?」

 
 


中学校の制服を聞いた亜依(葛原亜依)が戻ってくる。
清「亜依、お帰り」
亜「…
えー
亜依は不機嫌そうな表情で返事をしない。
靖「亜依、『ただいま』は?」

真「亜依ちゃん、『ただいま』は大事よ」
花「『ただいま』って、言おうね」
膨れっ面をする、亜依。

安「亜依ちゃん、『た…」
けんじは、安尾の言葉に被せるように、亜依に対し、
清「お腹、空いたやろ?」

安「僕にも『ただいま』くらい言わせて…

大袈裟に膨れっ面をする、安尾。 笑い泣き
清「お前がやっても、全然、可愛いない。(苦笑)」


改めて、けんじが亜依に対し
清「お腹、空いたやろ?」
清「うどん、作ったろか?」

亜依は不機嫌そうな表情のままで、返事をしない。
花「はっきりと、『ここのうどん、不味い』って、言い
ニヤリ
安「『ここのうどん食べたら、地味になるから』って、言い
ニヤリ
清「黙れ、お前ら!
タラー

清「亜依、お母さんから聞いたけど、今日、すき焼きやって」
清「楽しみやなあ」
亜「…
えー
靖「亜依、学校で何かあったの?」

亜依は何も言わず、奥の部屋に向かった。


気不味い雰囲気になる、店内。
清「物心がついてきてから、あんな感じで
タラー
清「…少しずつ、慣れていくと思うんやけど」

安「知らんかった!…大将、すき焼きが好きとは!
口笛
花「大将は海辺で育って、毎日魚を食べてたから、魚は懲り懲りなのね
口笛
清「お前ら、何を言うとんや。(苦笑)」
清「もっと気になるところがあったでしょ?」

靖子が事情を説明する。
靖「亜依は私の連れ子なんです」
安「バツイチ!
ニヤリ笑い泣き
清「そういう言い方、やめろタラー
靖「…前の夫、亜依の父親は、事故で亡くなってしまったんです」
靖「日曜日は毎日、亜依と遊ぶような父親で、亜依も懐いていたもので…」

 

安「…ショボーン
安「なるほど~…それで、赤トンボは居ないんですね口笛笑い泣き
清「話、聞いてた?」
安「あっ、それで、大将に懐いてないんですね
アセアセ


清「本当の父親が居てない…亜依の気持ち、分からんでもないんや」
清「なんとか、距離を縮められたらええんやけどね」
清「ええ方法、ないかな…」

安尾が両手を叩き
拍手
安「ええ方法、思い付いた!
びっくり…ら、良かったのに」
清「何も思い付いてないの?」
安「思い付いてないですっ!
口笛
清「ほな、なんで、手、叩いたん?
タラー

真「焦らず、ゆっくり頑張るしかないわね」


靖子の表情も幾分暗く、けんじが気遣う。
清「座って、休んどき」

安「よいしょっと!
ニコニコ
けんじの背後に居る、安尾が座る。
清「お前に言うてない!仕事しろ!」
清「雰囲気見たら、誰に言うたか分かるやん!?」
清「お前と目、合わせた?」
安「あっ
アセアセ
安尾が椅子から立つ。


靖子・真希・花子に対し、
清「今、お茶を汲むね」
けんじがカウンターに向かう。

 
 


けんじがお茶を入れようとポットを探すが、見つからない。

そこに、白スーツでサングラスを掛けた、
借金取り風の男・帯谷(帯谷孝史)が現れる。

清「あった、あった
ウインク
と、帯谷の方に向かう。
けんじは帯谷の頭頂部を押し、
清「あれ、お湯、出えへんな?
ニヤリ
頭頂部を見て、
清「止まるになっとるわ
ニヤリ

安尾がカウンターの奥の調理場にあったポットを持ってきて、
けんじに渡す。
ここから、一連のポットくだり。


帯「ワシ、ポットちゃいまんねん!」
帯「借金の取り立てに来たんや」
清「借金!?誰ですか?」
帯「花子!今日こそ、50万、返してもらうぞ!」

真「お姉ちゃん、こんなところからお金を借りるなんて…」
花「手術に必要やったの
ショボーン
真「家族やのに、何でそんな大事なこと、言うてくれんかったの!?」
花「心配させたくなかったから…
ショボーン
清「花ちゃん、手術って、何の手術?」
花「鼻の手術。高くしてみた
口笛
清「高くして、それ?…アホみたいな顔、してるやん。(苦笑)」


花子が帯谷に対し、
花「少しだけ、待ってください!」
帯「しゃあないの!少し、待ったるわ」
帯「次来る時までに用意しとけよ」

帯谷が去って行った。


真希が心配する。
真「お姉ちゃん、50万もどうするのよ!」
花「アテはあるから
ウインク
花「…パチンコ行って来るわ
口笛

花子が走って行った。

清「パチンコに注ぎ込む金で返せ!」
清「花ちゃんは、ほんまに…
タラー
 
 
その4に続く