⒊
⑴
歓楽街の面々が揉めていると、(舞台下手から)男性怒鳴り声が聞こえる。
?「やかましいぞ!こらーっ!」
一瞬にして、皆が静まる。
レ「この声はまさかっ!?」
⑵
ストライプの白スーツを着た男・新名(新名徹郎)が現れる。
目の上下に隈がある、恐ろしい?見た目をしている。
啓之が小声で令に尋ねる。
啓「誰ですか?」
レ「元ヤクザで、抗争で何人もあの世に送った人や…」
啓「ヤバい奴じゃないですか!」
※
補足。
新名さんの外見について。
ストライプの白シャツで、目の周りが真っ黒に塗られているため、
見慣れてくると、『スマートなパンダ』や『ピエロ』にも見えました。
…ですが、台本上は、『極悪ヤクザ』という役柄です。
⑶
新「これから、ここで大事な仕事があるんや!」
新「邪魔すんな!」
新「お前ら、並べ!」
左からホステス・ホスト・啓之・令の順に並ぶ。
新「全員、一歩下がれ!」
皆が一歩下がる。
新「全員、一歩出ろ!」
皆が一歩出る。
啓「何の意味があるんですか?」
新名が列の左側から、一人ずつ尋ねていく。
新「お前が原因か?」
友「違います」
新「お前か?」
早「違います」
令が察し、こっそりと舞台上手に消える。
啓之の順番になる。
新「もう、お前しかおらんぞ。お前やな?」
啓「えっ?大将は?」
啓「僕、違います!」
新「舐めんな!」
啓之の服を脱がせる。
そして、啓之に着せる。
啓「…?」
啓「何の意味が?」
新「おい、騒ぐな!」
啓「すみません!」
⑷
新「今回だけやぞ」
新「次、騒いだらどうなるか…」
客席の方を向き、仁王立ちで拳を突き上げるポーズをする、新名。
同時に、『バーン!』という爆発音のような効果音がする。
新「こうなるんや!」
去っていく、新名。
啓「…あのポーズ、どういう意味やねん!」
啓「あの『バーン!』っていう音も、何やねん!」
⑸
すると、新名が現れる。
新名が啓之に対して、
新「うるさいぞ!」
新「二度目は無い言うたやろ。おーっ!?」
他の人に対しても、
新「二度目は無い言うたやろ。おーっ!?」
人差し指と中指で銃のようにし、
新「おーっ!?」
新「おーっ!?」
啓「江頭さんになってますよ。(苦笑)」
新「騒ぐな!」
啓「あなたが一番うるさいですよ」
新「おーっ!?」
人差し指と中指を蟹のようにくっつけては離す、新名。
啓「指、1、2、なってますよ。(苦笑)」
⑹
啓之は、新名の上下の隈が気になるようで、
啓「…寝てないんですか?」
新「寝てないで。…35日寝てない」
新「おーっ!?」
啓「また、江頭さんになってますよ。(苦笑)」
⑺
新「次、騒いだらどうなるか…」
客席の方を向き、仁王立ちで拳を突き上げるポーズをする、新名。
同時に、『バーン!』という爆発音のような効果音がする。
新「こうなるんや!」
去っていく、新名。
啓「…」
⑻
まりこが啓之を見て、
ま「さっきから気になってたんやけど、あんた、誰?」
啓「屋台の新人アルバイトの清水啓之です」
ま「あっ、そうなのね」
ま「サービスするから、うちの店に来ない?」
話を聞いていた芳伸が
太「兄ちゃん、ぼったくられるで」
ま「何よーっ!」
またしても、ホステスとホストが揉み合いになる。
啓「騒いでたら、また、新名さんが出てきますよ!」
⑼
舞台下手奥の物陰から、新名がゆっくりと顔だけ出す。
皆が静まる
新名が本当に去っていった。
開店時間が迫り、ホステスとホストもそれぞれの店に戻った。
その4に続く