こんばんは。ちょっと私生活がわたわたしていて、一日空いてしまいました。
 だらだらとやっていても仕方ないのですが、明日もやらなければならないことが詰まっていまして、若干てんてこまいなので、今回の更新は短めにさせていただきます。申し訳ないです。
 省庁の名前など、特定につながりかねない詳細な事項については、念のため伏せさせていただきますが、その点はどうかご了承ください。私だけの問題ではすまないこともあるかもしれませんので。


【第1クール・1日目】
 インターネットや、友人のつながりなどを活用して、官庁訪問のごくごく初歩的なことは知ることができたものの、やはり「得体のしれないもの」だったので、とても緊張していたのを覚えています。
 情報収集を経て、「ここに行きたい!」と一番強く思っている省庁には、初日に朝一で訪問した方が良いということを知ったので、事前に聞いていた話から特に関心が強かったA省に行って、第1クール・1日目の朝8時に受付をしました。
 A省の公式ウェブサイトで、官庁訪問をする学生向けの告知が更新されていて、「受付後に、まずエントリーシートを書いてもらう。写真を持参するように。」とあったので、写真と筆記用具、エントリーシートに書く自己PRなどの要点を書いたネタ帳、そして、メモ用のルーズリーフ(面接官の名前、役職、年次、話の内容をメモするため)を持って、いざ訪問開始。
 建物に着いたら、一旦ホールで全員が待機するよう指示があり、しばらく待機していました。正式な受付開始時間になった頃に、会議室に移動し、そこでエントリーシートを受け取り、記入が完了次第提出、そして、全員が提出し終わった後、面接が始まりました。
 ちなみに、エントリーシートには、説明会への参加の有無や、試験の順位などを「任意で」記載する欄があり、説明会に行くのを忘れていた上に、順位もあまり良いものではなかった僕は、この時点で嫌な汗をいっぱいかいてしまいました。結局、最後まで「なぜ説明会に参加しなかったのか?」「この順位についてどう考えているのか?」と言った苦しい質問はなかったのですが、終始ヒヤヒヤしていました。
 順位については、よっぽど優秀であれば目に留まるという程度で、それ以外は「そこそこの人」も「下の人」も、採用する側にとっては「どんぐりの背比べ」程度でしかない、というお話は何度か耳にしているので、あまり見ていないのかもしれません。

(1)入口面接:面接官3対受験生3の集団面接 ⇒40分ほど
 まず、志望理由や自己PR、学生時代に力を入れたことをそれぞれが順番に喋るようにと言われ、エントリーシートに書いた通りのことを簡潔に喋りました。一通り喋り終えると、面接官から多少掘り下げる感じで質問がありましたが、どれも当然想定されるような質問で、答えに詰まるような踏み込んだ質問はありませんでした。
 複数人での面接はこれが最初で最後、あとはずっと面接官と一対一の面接ばかりでした。

(2)一人目:7年目の係長 ⇒45分ほど
 まずは、面接官の経歴について説明を受けて、携わってきた仕事の内容などを聞きました。その上で、法改正に携わったということだったので、法改正に携わるとは具体的にどういう風に仕事をするのかについて質問しました。
 その次に、A省についてのより深く知るという観点から、抽象的な質問として、A省に対する世論などの批判について、中で働いている立場の者としてどのようにお考えかという趣旨の質問をして、簡潔なご回答をいただきました。
 質問が一段落すると、今度は面接官の方から質問する流れになり、A省を志望した理由を問われました。この質問は当然想定していて、実際に質問されたら、自分は司法試験に向けた勉強をしてきた立場である以上、少しくらいは「法律の知識」「法律の適用・執行」といった観点を交えて回答した方が良いのかなと考えていました。
 そこで、A省の業務内容や権限を「法の適用・執行」という観点から分析した上で、法科大学院を卒業した自分の知識や経験が活かせると考えているという話をしたところ、「省庁の権限は、法改正で大きく変わることもありうる。仮に法改正がなされて、現時点で省庁が持っている権限がなくなった場合、あなたの関心はなくなってしまうということか?」と返されてしまいました。
 これについては、うまく答えることができず、なんとなくぼやかした回答をしてしまいました。ただ、それだけで終わってしまうと確実に評価は最悪なものになると思って、何か他にも志望動機を言わなければと考え、「A省の業務内容は社会のあらゆる分野に及んでいて、、仕事をする中でも社会全体に目を向ける視野の広さが求められると思う。そういった広い視野を持つ仕事をしたい」と、苦し紛れとしか言いようのない動機も付け加えてしました。
 これに対しては、「でも、それぞれの省庁の果たすべき役割というものがあって、A省の業務内容が社会の幅広い分野に及ぶのは事実としても、果たすべき役割は自ずと限られている。そう考えれば、むしろ、視野は狭いかもしれないが、それでも良いのか」と問われました。
 「ゆくゆくは専門性を身に付けることも必要なので、それぞれの省庁の果たすべき役割に応じた専門性が身につけられるという意味で、良いことなのではないか」と返すと、「結局、視野の広さが欲しいのか、専門性が欲しいのか、どちらなのか。その場しのぎで相反することを言っているようにしか聞こえない」と厳しいお言葉をいただきました。時間の関係もあり、この辺りで面接は終了。
 最後に、「もう一度、志望動機を考え直した方が良い」とアドバイスをいただきました。この時点では、まだ官庁訪問自体に慣れていなかったので、「具体的にどういう風に直せば良いのか、どういった点を直すべきなのか、ご意見をお聞かせください」と問い返す余裕はなく「分かりました」とだけ答えて、結果的にどう直せばいいのか頭を抱えることになってしまいました。
 今思い返してみると、「業務内容は将来的に変わることもあるのだから、あまりピンポイントの業務を考えるのではなく、その省庁が究極的には何を目指しているのかという視点をしっかり持つこと」「中央官庁である以上、やはり政策を立案するという業務が極めて大きいので、法の適用という場面ばかりではなく、政策立案という側面についてもちゃんと目を向けること」が求められていたのかもしれません。

(3)二人目:2年目の係員 ⇒30分ほど
 今までの経歴について説明を受けた後、割と雑多な話をしました。特に踏み込んだ話はなく、エントリーシートに書いたことを軽く確認したり、「ここに書いてあることについて、もうちょっと詳しく説明してほしい」と言われたりした程度でした。
 面接官も法科大学院出身者ということでしたので、司法試験や法科大学院の話もちょっとだけしました。
 ちなみに、官庁訪問の際の「暗黙のルール」として、面接回数を重ねる度に面接官の年次が上がっていくのが原則で、年次が上の人がなかなか出てこない場合は、あまり評価されていないと考えた方が良い、というものがあるようです。
 ですが、最終的に私はこのA省から内々定をいただいたので、「例外もある」ということになります。果たしてどこまで通用する「原則」なのかは分からないところですが、あくまで「目安の一つ」として考慮する、という意味では一応有用なのかもしれません。
 採用というのも、結局は「お見合い」みたいなものなので、相手が「この人はあまり採りたいと思わないなぁ…」と思っているのに、それに気付かずにいつまでも執着していたら、他の省庁に気持ちを切り替える機を逸してしまうので、相手が自分をどう評価しているのかを推し量ることも、実は大事だったりします。

(4)三人目:9年目の課長補佐 ⇒1時間ほど
 志望動機や性格、趣味、学生の頃にやってきたことなど、定番の質問をされ、用意していた通りの回答をしました。これらの点については特に深く突っ込まれることもなく、和気藹藹と話が進みました。趣味だとか性格の話については、自分のことをそのまま話すだけなので、特に苦もなく、思った通りのことをそのまま話すだけでおしまいでした。
 ある程度の話をした後、「法科大学院制度の是非・功罪について語ってほしい」と言われ、思うところを長々と話したところ、相手も興味深く聞いてくれて、適宜レスポンスをいただきました。その他に、「最近の政治や経済のことで興味を持った話を聞かせて欲しい」と言われたので、調査捕鯨についてオーストラリア政府が国際司法裁判所に提訴した話や、憲法改正の話(および、そこから派生してやや政治的な話)をして、ここでも盛り上がりました。
 その後、「最近、A省が関わったことで気になったニュースはあるか」と問われたので、その日の朝に調べておいたニュースを適当に答えました。訪問先の省庁が関係するニュースについての質問は定番ネタなのに、あまり準備していなかったので、焦ってしまいました。ここは反省すべき点だと思います(後で控室に戻った時に周りを見てみると、A省が関係するニュースの記事をいっぱい切り抜いてノートにまとめている人が複数人いて、意気込みの違いを感じました)。
 その後、少し議論がしたいと言われ、A省の基本理念に関わる問題について、実際の事案をベースに面接官と議論をしたのですが、これは詳細に書くと差し障りがありそうな内容ですので、カットさせていただきます。
 あとは、定番の質問として、「上司と考えが対立したらどうする?」という質問も投げかけられました。「対立しても、まずは自分の考えを維持して、なぜ自分の見解が妥当なのか、なぜ他の見解が妥当でないのか、理由をしっかりと詰めて考え、説明できるようにする。組織である以上、上の言うことに従って一体性を保つことも大事だとは思うが、それは上司の言うことに何の疑問を抱かずに唯唯諾諾と動くと言う意味ではなく、組織としての最終決定には従うという意味にすぎないだろう。その最終決定に至るまでの間には、何度も上司と意見対立や議論を経ることになると思う。上司の言うことに、何も疑いを持たずにただ従うだけだと、自分の頭を使って考えるくせがつかず、公務員として働く上で必要な能力も身に付かなくなってしまうし、上司もただ従うだけの部下を見れば、自分で考えて行動することのできない奴という評価を下して、信頼が得られないことになりかねない。だから、対立してでもまずは自分の考えを主張する」といったことを答えたところ、そこそこ良い反応をいただけました。
 一通りの話が終わった後、面接官の経歴について話を聞き、それに対して2、3の質問をして終わりました。とても話しやすく気さくな人で、こちらが話せばあちらも沢山話してくれる人でしたので、上手い具合に盛り上がって良かったです。

(5)四人目:人事課の課長補佐(出口面接)⇒20分ほど
 誰と面接をして、どんな話をしたのかと聞かれたので、一人目の面接官から省庁の権限が変わることもあるという話を聞いて、苦しかったと答えました。その上で、面接の待機時間にA省の目指す目的について改めて考え、その目的がはっきりしているという「ビジョンの明確さ」に魅力を感じるようになったこと、何か社会問題が起こったときに関係省庁として法を使いながら対処していくのではなく、政策を立案・実行することにより社会問題の発生・拡大を未然に防ぐことの意義の大きさに気が付いたということを話しました。面接官からは「なるほどねー」くらいの、可もなし不可もなし、くらいの反応をいただきました。
 他の試験の受験状況も聞かれ、「地方自治体も受けたんだ。法執行に関心があるみたいだけど、地方自治体って法を執行するの?」、「司法試験に受かったらどうするの?」という質問をされました。国家公務員が第一志望であることを、今までの経験を交えつつ、なんとか説明するとまたもや「なるほどねぇ…」くらいの反応でした。そこまで厳しく問い詰めれる感じはなかったです。
 一通り話した後、第2クールの訪問時間を指定され、取り敢えずは次に進めるのだと分かって安心しながら、家路につきました。



 第1クールの1日目のことをざっと書いただけでも長くなってしまいましたね。
 これは完結までまだまだ時間がかかるかもしれません…。