いよいよ、官庁訪問についての話に入っていきます。
 「そもそも、官庁訪問って何だろう?」という方もいらっしゃると思うので、長くなってしまいますが、ここもゼロからご説明いたします。
 どうかお付き合いください。


【官庁訪問の基本知識】
 官庁訪問は最終合格発表の2日後から開始されます。官庁訪問は、3日間の「第1、第2クール」、2日間の「第3、第4クール」、1日のみの「第5、第6クール」と区分されていて、第6クールの日が「内々定解禁日」となっています。なお、どのクールについても、土日祝日は官庁訪問期間に含まれず、学生と省庁の接触は厳禁とされています。
 これらの「クール」は、誤解を恐れずにざっくり言ってしまえば「第1次面接」、「第2次面接」…みたいなもので、どんどんステップアップしていく仕組みになっています。なので、建前上はいつ訪問しても良い、ということにはなっていますが、「第1クール」の初日から官庁訪問を開始してください。よっぽど優秀な人を除けば、「第2クール」で初めてその省庁を訪問した、というのはまず選考を通りません。
 注意しなければならないことは、(受験生に配られる案内にも書かれていますが)同一クール内は同じ省庁を訪問してはいけない、ということです。例えば、第1クール初日にA省を訪問したけど、あまり評価してもらえなかったから、3日目にもう一度リベンジしてみよう、というのは認められていません。気を付けるようにしましょう。

 ちなみに、この「官庁訪問」には、いくつかの「暗黙のルール」があります。
 まず、どうしても行きたい省庁がある場合は「第1クール」の「初日」の「朝一(8時半)」で訪問するようにして下さい。採用担当者によっては、他の省庁に目もくれず、まず真っ先に自分の省庁に飛び込んできてくれたとなれば、当然「やる気があるんだ」と評価して好印象につながるはずです。
 事務処理的な面から考えても、優秀な人がいれば順次、次の選考に進むための日程調整をしていきますから、時間が遅くなればなるほど残された枠は小さくなって、どんどん苦しくなるのは当然なのだと思います。
 また、仮に「次のクールも来ていただきたいと考えております」と言われたら、それは「同じ日程、同じ時間に来てください」ということを意味します。具体例を挙げて言うと、第1クールの初日、朝9時に訪問した人が、「次のクールも来てください」と言われた場合、それは「第2クールの初日、朝9時に来てください」ということを意味します。
 もっとも、この辺りは「官庁訪問の流れってご存知ですか」と採用担当の方も確認してくださいますし、次のクールにも来てもらうという場合には「○月○日の××時に、またお越しいただけますか」とはっきりと仰って下さるので、あまり心配しなくても大丈夫です。
 これらの「暗黙のルール」は、今までの受験生の経験の積み重ねから見出された法則性(のようなもの)なので、果たして信憑性がどれほどのものなのか怪しいところではありますが、一つの参考として頭の片隅にでも置いておくと良いかもしれません。

 予備知識をさらっと書いた上で、ここから官庁訪問の概略についてご説明いたします。
 官庁訪問は、誤解を恐れずに言えば「業務説明会兼採用面接」で、官庁に直接足を運んで待合室に入りエントリーシートなどに記入した上でひたすら呼ばれるのを待ち、呼ばれたら別室で面接が始まります。官庁訪問の際の面接は、自己PRや志望動機を説明し、それに対して面接官がいくつか質問をするというごく一般的な「面接」と、面接官が自身の官庁での仕事の経歴を説明して、具体的な業務内容について教えてくれた上で、「何かご質問はありますか?職務内容以外のことでも構いませんよ」という質問を投げかけてくる「質疑応答」との組み合わせで成り立っています。
 大体、面接は一人当たり30分(長くても1時間)くらいです。
 ちなみに、第1クールの1回目の面接は集団面接をやる、というところもいくつかあるようです。
 この官庁訪問中の「面接」ですが、1人と面接したらそれでおしまいというわけではありません。面接が終わったら控室に戻り、また呼ばれたら今度は別の人と面接、という形になっています。大規模省庁であれば、1日に多くて8人、9人、小規模省庁でも1日に4人、5人と面接をすることになります。これに待ち時間が加わるわけですから、一つの省庁の官庁訪問は1日仕事で、ひどいときは朝一で霞が関に入り、終電で帰るということになります。こんな生活がほぼ毎日、約3週間続くので、精神的・肉体的疲労はかなり大きなものになります。
 このように一つの省庁に訪問するのは1日仕事な上に、第1クールの3日間は同じ省庁を訪問することができない、そして、第2クールから新しく訪問を開始したとしても(非常に優れた受験生でない限り)良い返答がもらえる可能性は低いという状況ですから、結果的には、官庁訪問期間は事実上3つの省庁しか回れないということになります。ですので、どこの省庁を訪問するかは、最終合格発表前からしっかりと考えておいた方が良いです。


【官庁訪問対策の一般論】
 次に、官庁訪問の対策について、一般論を説明します。あくまで「一般論」にすぎず、普遍的に通用するものではない、という点についてはご了承下さい。
 この点については、以前箇条書きでまとめたことがありますので、それをそのままこちらにも掲載させていただきます。いくつか上の予備知識とかぶるところがあるとは思いますが、その点はご容赦ください。

<1>
 抽象的ですが「熱意」が重要です。これは官庁訪問経験者、国家公務員経験者の方全員が口をそろえて言います。もう30年以上も国家公務員として働いている幹部クラスの方でさえ、「情熱」が重要だと仰っていました。
 熱意をアピールする方法はなかなか難しいですし、正直なところ、僕も未だに分かっていないのですが、その省が目指す究極の目標に理解や共感を示すことは極めて重要です。また、何か一つくらい興味のある業務分野を知っておくのもありだと思います。特に、前者は志望動機の中核にもなるので、訪問先の省庁が「何を目的としているのか」を分析することは大事だと思います。
<2>
 幹部クラスの方や、7、8年ほど官僚として働かれたご経験のある方にお話をうかがった際には、志望動機や自己PRにおいて「自分がやってきたこと」、「自分ができること(自分の能力)」をアピールすることも大事ではあるけど、それ以上に、その「自分がやってきたこと」、「自分の能力」がその省庁にどう役に立つのかをしっかり考えて欲しいと仰っていました。
 省庁も、あくまで「これから一緒に仕事をしていくのにふさわしい人材」「採用することで自分の組織にメリットをもたらしてくれる人材」を求めて採用面接をやっているので、「あなたを採用することに何のメリットがあるんですか?」という問題意識に応えられるようなPRをすることが重要ということのようです。これは民間企業で人事を経験された方も仰っていたので、採用面接一般に言えることなのかもしれません。
<3>
 「数ある省庁の中でも、なぜうちの省なのか」という点に応えるための志望理由を用意する際には、前述の通り、その省庁のやっている具体的な業務を知っておくと有益ではあります。「どんな業務をやっているのか全く知りませんけど、取り敢えず関心があります」では説得力がないでしょうし。
 ただ、あまり業務分野に深く突っ込むと、当然あちらの方が圧倒的に詳しいので、面接をしていても相手のペースに持って行かれてしまいますし、興味のある分野を絞りすぎてしまうと「でも、うちの省はこういう業務もやってるんだよ。当然、省の中でも異動はあって、君が関心のある業務以外のこともやってもらうことになるんだよ」と言われてしまいます(現に、私は全部の訪問先で言われました)。なので、これも抽象的ですが「ほどほど」にしておいた方が無難かもしれません。
<4>
 訪問先の省庁の業務に関する具体的なテーマから、「上司と意見が対立したときにどうするか」のような抽象的なテーマまで、議論を求められることも多々あります。
 基本的には相手の方が知識量も頭の回転も圧倒的に上で、何を言っても上手く切り返されてしまうので、「反論できないように言い負かしてやろう」とムキにならない方が良いです。それで頭に血が上ってしまって、全ての反論に再反論をしていたら、自分の言った再反論同士の間で論理一貫性がなくなってしまっていた、なんてこともあります。まともに議論をして勝てる相手ではないので、最終的には「なるほど、大変勉強になりました」、「すみません、勉強不足でした」と引き下がることも大事です。
 とはいえ、反論されてすぐに「勉強になりました」で引き下がってしまうと、自分の考えが非常に浅いものだったと自分で認めることになってしまいます。あちらが議論を求めて来るのは、こちらの「物事を論理的に考える能力」を測るためなので、積極的に食らいついて反論するなり、自分の意見を筋道立てて主張するなりすることは大事です。
<5>
 どんなに「こういう質問が来たらこう答えよう」という想定問答を緻密にシミュレーションしたところで、自分が想定してないような反論が飛んでくることはありますし、そもそも想定していないような質問が飛んでくることもあります。そして、答えられずに詰まってしまうこともいっぱいあります。
 うまく答えられないとどうしても気持ちがへこんでしまいますが、「あー、ダメだった…」で終わらせずに、面談終了後に応えられなかった質問や鋭い反論について、じっくりと考え直してみてください。修正すべき点は適宜修正して、どんなに考えても答えを修正する必要がないと感じたら、自分の考えの説得力を補強して、常に面談の内容を反省するようにしてください。待ち時間はうんざりするほどいっぱいあるはずですから。
 そうやって反省し続けて、自分の意見の修正や補強をして成長していくことが重要です。官庁訪問という長いようで短い時間の中で、その人がどれだけ物事を早く、より良く理解して成長していくかを見ているという側面もあるので、予め用意した話を何度も何度も繰り返しているだけでは、見込みなしと思われてしまう危険性があります。
<6>
 官庁訪問期間中に多くの職員に合うことになりますが、評価については全ての職員が共有しているものの、具体的にどんな質問をしたか、ということまではさすがに共有していません。なので、官庁訪問期間中は何度も同じ質問をされることになります。志望動機にいたっては、もう何回同じ問いかけをされたのか忘れるくらい何度も何度も聞かれます。うんざりしますが、ここが間接的にではあるものの「成長」を示す一つのチャンスだと思います。
 例えば、志望動機を例にとると、志望動機を何人もの人に話す中で、志望動機について色々質問を投げかけてきて、より深く、具体的な話を引き出そうとしてくる人は沢山います。揺さぶったりする人や、こちらの言うことを徹底的に叩き潰してくる人もいます。そういった質問や圧迫の中で志望動機を改めてじっくり見直して、その結果を反映して改善した志望動機を次の面談で話す、それに対してまた質問や圧迫をされたら、また考え直して、改善した志望動機をさらに次の面談で話す、このプロセスを経ることで、同じ質問に対する自分の返答もより洗練されたものになり、面接官も「お、この人は良く考えているな」と思ってくれるようになるはずです。
<7>
 各訪問日の最後には「出口面接」というものがあって、人事の課長補佐や企画官のような「キーパーソン」が出てきます。この人はその日の訪問の締めくくりのような人で、「今日は誰に会って、どんな話をしましたか?」という質問をしてくるはずです。
 ですから、面接してくれた方のお名前と所属(肩書)、可能であれば年次は必ずチェックして、何を話したか、どんな話が興味深かったかもしっかりとメモをとるようにしてください。私の場合は、「どんな話が興味深かったか」という質問に対して、「○○さんに、××という問いかけをされて、なかなか答えられませんでした(or 答えたら、こういう指摘を受けました)」と答えたら、「じゃあ、今改めて同じ質問をされたらどう答える?」と返されたので、「今なら~~~と答えます。」「~ ~という指摘を受けましたが、その点については~~と考えます」と答えたら、比較的良い印象を持って頂けたようです。ここでも、「ちゃんと人の話を聞いて、受けた指摘も考慮したうえで、しっかりと考えを掘り下げていく」という「成長」を示す事ができたのかな、と思います。
<8>
 最近の官庁訪問では、出口面接で割としっかりと評価を言ってくれるようになっています。僕も、某省では「今回はご縁がありませんでした」とはっきりと言われました。
 ただ、中には言葉を濁す人もいますし、行間を読まないといけない人もいます。一概には言えませんが、一般的には「次の面談については、決まり次第、また連絡します」といった反応は、基本的に”No”です。積極的に「次も来てほしい」と思っているのであれば、その出口面接の場で次の面接の時間を明確に設定してきます。
 また、明確に時間設定をしてもらったとしても、9時集合の朝一に呼ばれる人は「一軍」、それより遅い時間に呼ばれた人は「二軍」、「三軍」という扱いであることが多いようです。これは暗黙のルールですし、かっちりと決まったルールでもないので、例外も一杯あると思いますが、一つの目安として知っておくと良いかもしれません。あちらが「こいつは別にどうでもいいかなぁ…」と思っているのにいつまでも拘っていると、他の省庁に切り替えるチャンスを逃してしまうことにもつながりかねないので。
<9>
 あとは、小規模の省庁では妥当しませんが、多くの省庁の官庁訪問に当てはまる暗黙のルールとして「面接回数を重ねるごとに、年次や階級が上がって行くと評価が良い」、「早い時期から人事の企画官や課長補佐に会えたら、かなり好印象」というものがあります。逆にいえば、「いつまでも下っ端しか出てこない」という状態だと、あちらも大して重要視していないということになります。
<10>
 他の省庁はどこを回っているか、というのも定番の質問です。単に答えておしまいではなく、「で、回ってみてどうだった?」、「うちの省とどう違うという印象を持った?」、「それでもなお、うちの省に来たいと思う?」くらいの質問はされます。このあたりは答えられるように、他の省庁を回る際にも意識しておいた方が良いと思います。
<11>
 また、回った省庁があまりにもバラバラ(例えば、環境省と宮内庁と造幣局を回る、とか)だと、「何がしたいの?」と突っ込まれる可能性があります。私が訪問した省庁は、なんとか共通性を説明できたので厳しく問われませんでしたが、人によってはかなりつっこんでくるようです。そのあたりの整合性を気にし過ぎて、回る省庁の選択肢を狭めてしまうのはもったいないので、あまり深刻に考え過ぎない方が良いとは思いますが、そういう質問を投げかけて来る人がいるということは予想した上で、どう答えるかを一応は用意しておいた方が安全だと思います。
<12>
 面談は、基本的に「面接官が志望理由や、今までやってきたことについて質問をしてきて、それについて答えていく」というパターン、「面接官が今までの経歴を説明した上で。何か質問があるか聞いてくるので、質問をして話を掘り下げる(業務説明と面談をくっつけたようなもの)」というパターンがあると思います(両方が組み合わさったパターンの人もいます)。後者のパターンも多い(というか、後者の方が多い)ので、質問したいことは予めいくつか用意しておくべきですし、相手の業務内容も「どこかつっこめるようなところはないか」と意識しながら聞くことが大事です。
<13>
 「何か聞きたいことはありますか?」という質問はほぼ全員が聞いてきます。「何もありません」では関心がないと思われてしまうので、なんでもいいですから、質問を多めに用意しておきましょう。
<14>
 「何か聞きたいことがある?」と言われたら、業務内容に関する質問もした方が良いとは思いますが(でないと、あまり関心を持ってないと思われかねないので。関心はあるけど、業務について何も質問はありません、というのは通らないと思います)、抽象的な質問をしてみても良いと思います(「新人のうちは、事務作業のような仕事がほとんどだというのが実態だと思いますが、そういった中でどうやってモチベーションを維持していけば良いのでしょうか?」とか。実際、私はこの質問をしてみました)。
 自分が面接官に聞かれたら困ることを、逆に面接官に問いかけてみて参考になるような話を引きだしてしまって、以後の面接のネタにさせてもらう、なんてこともアリです。これも私はやりました。何でも聞けと言っているのだから、文字通り何でも聞いてしまえ、という思い切りも案外大事です。遠慮なんかする必要ありません。あまりにも不躾なことでなければどんどん喋らせて、面接官からネタを引きだしてしまいましょう。遠慮して聞かないと、「あー、あれも聞いておけば良かったー!」と必ず後悔します。
 「さきほど面接して下さった○○さんに、~~という話をしたら、~~というご指摘を頂きました。確かに、~~だとは思いますが、でも、~~だとも思うんです。この点について、どうお考えになりますか?」といった感じで、他の面接官との話の内容について、意見を求めるのもアリだと思います。私は、某省でかなり厳しい質問を投げかけられてぐうの音も出なくなってしまって困っていました。そこで、それ以降に面談して下さる人には、その人との面談内容を説明した上で、「こういった内容のご指摘をいただいたのですが、どうお考えになりますか?」という質問をぶつけて、ネタを引き出したりしました。
 ただ、自分が質問されて困ることを逆に先制パンチで聞いてネタを引きだしてやろう、という魂胆で質問すると、答えを言う前に「じゃあ、まず君はどう考える?」と返してくる人も少なくないです。なので、質問されて困るような事項についても、ある程度は自分の見解やそれに対する批判などを意識しておくことは重要です。
 質問する際も、「○○の点について、どうお考えになりますか?」という聞き方ではなく、「○○という点について、~~というご意見もあるようですが、私は~~ではないかと考えています。この点について、どうお考えでしょうか?」と、自分の考えを示したうえで聞いた方が良いかもしれません。
<15>
 中には、抽象的なダメ出しをしてくる人や、出口面接で単に「面接官からはあまり良い評価を得られていないようです」と言ってくる人もいるので、そういう人には、「もう少し具体的にお願いします」、「では、具体的にどういった点がマイナスに評価されているんですか?」と聞いてみましょう。自分がダメな点をはっきり意識することは大事なことなので、遠慮せず食らいついていった方が良いと思います。
<16>
 省庁によっては、待合室に若手職員がいて、受験生の輪に混ざって話をするところもあります。そのときは、先輩職員からどんどん面接で話すネタを引き出してしまいましょう。せっかく訪問先の業務内容などについて知っている上に、過去に官庁訪問を潜り抜けてきた人が目の前にいるんですから、利用しない手はないです。
<17>
 公務員一般の志望動機、その省庁の志望動機、自己PR(長所、短所、学生時代にやってきたこと、今までで一番力を入れた経験、今までで一番苦労した経験など)は面接でも何回も問われますし、訪問の受付の際に提出させられるエントリーシートにも記入することになるので、このあたりの定番の質問事項については、予めノートにまとめておきましょう。その場で考えているとエントリーシートを書くのにもたついてしまいますし、思い付きで書くとエントリーシートに何を書いたか忘れて、あとの面談で違うことを喋ってしまって大惨事になるおそれがあります。
<18>
 他の試験や就職活動との併願状況も聞かれるので、出来る限り正直に答えた方が良いと思います。下手に嘘をつくと、きっとどこかでボロが出ますし、「他に何も受けてません!これだけです!」なんて、いかにも嘘っぽくて信用してもらえないはずです。「じゃあ、仮にここがダメだったら、君は一体どうするつもりなの?」という質問も間違いなく飛んでくるでしょう。まだ若い人なら、「また来年チャレンジします」という回答もありうるのかもしれませんが、ある程度の歳の人だとそれも通用しないでしょう。
 正直に答えた上で、「ここが第一志望です」という態度はしっかりと示した方がいいです。多少は嘘っぽくなってしまうことあるとは思いますが、内々定を出した人が抜けられたら人事の採用担当の責任問題になるので、「他のところに通ったら、そっちに行くかもしれませんねぇ」という態度だと、容赦なく切り捨てるはずです。ただ単に「ここが第一志望です」というだけではなにも説得力がないので、他の進路ではなく、なぜここが第一志望なのか、より具体的に説明できるようにしておいた方が良いです。
<19>
 建前では「いつ来ても構わない」ということになっていますが、やはり「回る順番」はかなり気にしているようです。遅い時期に訪問してきても「あぁ、他の省庁の方がより関心があるのね」と思って、あまり真面目に取り合ってもらえない可能性があります。
 なので、「いつ訪問するか」も意識しておいた方が良いです。あちらが「意欲のあるなしを、回る時期から推測する」という意味だけでなく、現実的な問題として、早く来た人の中に良い人がいれば、早く来た人からどんどん内定候補者に入れていくということもあるので、やはり優先順位の高いところには早く行った方が良いです。
 実際、訪問時期が遅かった人からはあまり内定者は出ていません。特に、採用予定人数が少ない省庁だと、この傾向がシビアです。あちらも少ない人数を厳選して採らないといけないので、早く来てくれた熱意のある人を採りたいということもありますし、枠が少ない分、早く来た人が多ければあっさり枠が埋まってしまうので、後に来た人はどうしても不利にならざるを得ません。
<20>
 面接には人事面接(採用担当の人がやる面接。ごく一般的な内容の面接もありますし、「どういう人と話がしたい?」、「どういう業務に関心がある?」という質問をした上で、どんな面接官に合わせるかというマッチングもしています)と原課面接があって、後者は小さな会議室でやることもあれば、実際に仕事をしているデスクまでお邪魔して、その場でやることも多々あります。場の雰囲気に圧倒されないようにしましょう。
 人事面接は、省庁にやってはやらないところもあったりします。人事面接と原課面接でそんなに大きく態度や話す内容を変えなければいけない、というわけではないですから、「これは人事面接かな?原課面接かな?」と気にする必要はないとは思います。


 大体、こんなところでしょうか。予備校に通うのでなければ、官庁訪問に役立つデータは絶望的に少なく、かなり苦戦するでしょう。グーグルで関連する単語を入れて、試行錯誤しながら検索すれえば、いくつか官庁訪問体験記のようなものはヒットしますから、あの手この手を使って情報収集を試みてください。もちろん、このブログが参考になるのであれば、最大限活用してください。
 官庁訪問に関して何か読み物が欲しいという方は、この本を買ってみると良いかもしれません。私も買って斜め読みしましたが、そこそこ役立つ記載はありました。訪問先の絞り方に関する戦略なども説明されているので、早い時期から購入しておいて訪問する省庁を絞り、訪問予定の省庁について研究することは有意義だと思います。


 次回は、官庁訪問体験記を書こうかと思います。多分、体験記を書き上げたら、このブログは終了ということになると思います。
 もともと、ロー生が国家公務員試験を受験するにあたって必要になる情報を提供する、という目的だけで作られたブログですので。
 何か質問ですとか、ご要望があれば、ちょこちょこ更新することもあるかもしれませんが…。


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