きっかけはコロナ療養中にあっちゃん(中田敦彦さん)の動画を見まくっていた時です。

「何かムキムキでストイックそう!」
「文武両道?まさに私の目指している姿!」

三島由紀夫さんとは、昭和の文学界を代表する有名な作家さんです。執筆活動以外にも政治活動等幅広くやっていたようです。
有名なのはやはり最期。
自衛隊駐屯地で演説をした後、割腹にて自殺。
強烈ですよね。
また、元々身体が弱かったようですが、30歳から肉体を鍛え始めます。具体的にはボディビル、ボクシング、自衛隊体験入隊、空手、剣道…
凄まじい行動力です。

本書は入門書なだけあって三島さんの著書から引用され、解説されておりました。

まず第一に文書の表現力に驚きました。

「私のメカニズムは、直流発電機から交流発電機に成り変った。そして決して相容れぬもの、逆方向に交互に流れるものを、自分の内に蔵して、一見ますます…」
矛盾した動きをする精神と肉体のバランスをとるため、いったりきたりする状態を発電機に例えています。語彙力、表現力の高さに終始度肝をぬかれました。
また、彼の表現には対比が上手く活用されているのも印象的でした。
「文武両道」「精神と肉体」「思考と行動」「太陽と鉄」…

さていくつか要点を挙げてみます。

・なぜ体を鍛え始めた?
30歳にして何故彼は身体を鍛え始めたのでしょうか?それは「文書への説得力を上げるため」が1つの動機のようです。確かにいくら「運動して身体を引き締めて健康体を目指すべき!」といってもその当本人がデブだったら笑っちゃいますよね?
精神の存在証明をする為には行動が必要で、その行動をする為には機動力となる肉体が必要となるわけです。その為に身体を鍛える。
合理的じゃないでしょうか?
そしてこの行為を「自己開発」と表現するところもまた面白いです。

・日本の歴史
彼が生き抜いた時代は、戦争があり、そして終わり、終戦から日本が立ち直っていく時代です。戦後の日本とはアメリカの監視下にありました。教育や人々の活動は制限され、また再び日本が立ち上がらないように完膚なきまでに押さえ込まれていたと想像します。
そして出来上がった日本の国民性とは、「モラル」やら「安定主義」やらどこか覇気がない。
「空気を読む」のもそうです。
日本が目の前でそう生まれ変わろうとしている…
彼が自殺してまで訴えた事が何か想像できる気がしませんか?

・おわりの美学
現代は人生100年時代と言われています。
これは織田信長が「人間50年、化天のうちを比ぶれば…」と敦盛を舞っていた時代の2倍に値します。
これを実現したのは医療の発達、諸技術向上もありますが、「終戦」というのも大きな要因です。
常に死と隣り合わせだった時代が終わり、現代人にとっての「死」はどこか遠い存在となっていませんか?
終戦前までの日本人は死に場所を求めていました。それは愛国心なのか忠誠心なのか人によるとは思いますが、自分の満足の行く形で最期を迎えたいと。
現代の日本人からは当然この武士道が忘れ去られている。
私はこう読み取りました。
「いつまで生きれるつもり?」と。

長々と書いてしまいましたが、まとめます。
改めて私は「生」について考えました。
私は仕事をする為に生きている訳ではありません。心からやってみたい事、挑戦してみたい事をするための資金作りの手段に過ぎません。
少し前に読んだ片岡鶴太郎さんの本からも学びましたが、「人間行動あるのみ」なのです。
年齢や他人の目は関係ありません。
そして三島さんのように「命を引き替えにしてでも伝えたい事、成し遂げたい事を見つける」これこそが人間にとって「永遠の宿題」なのではないでしょうか?

もしかしたら明日死ぬかもしれません。
私の理想の死に場所も定まっていません。
命を引き替えにしてでも成し遂げたい事も見つかっておりません。
ただこれだけは言えます。
これからも自分の気持ちに正直に行動しようと。
今後も直感で動いて失敗も沢山すると思います。ただ悔いのないように生きていきたいと改めて思う1冊でございました。